二人用のゲーム欲しいなーと思って衝動買いした『パッチワーク』。プレイできたのでファーストインプレッションをご紹介!
パッチワークとは?
ゲーム概要
- ゲームデザイナー:ウヴェ・ローゼンベルク
- イラストレーター:クレメンス・フランツ
- パブリッシャー:ホビージャパン(日本語版)、Lookout Games(原語版)
- 発売年:2015年(日本語版)、2014年(原語版)
- プレイ人数:2人
- プレイ時間:〜30分
- 対象年齢:8才〜
『パッチワーク』(原題:Patchwork)は様々な形の布片(パッチ)をつなぎ合わせてパッチワーク作品を作り、ボタン(お金代わりのもの)をたくさん集める二人用のゲームです。タイトルのまんまのテーマですね。
ゲームデザイナーのウヴェ・ローゼンベルクさんはボードゲーマーに超高評価の重ゲー『アグリコラ』のデザイナーでもあります。アグリコラも農場というほんわかテーマに似合わぬ非常に戦略的なガチゲーだったなぁ。ちなみに古くはライトな交渉ゲームとして人気の『ボーナンザ』やピザ作りカードゲームの『マンマミーア』も作ってたようです。重ゲーばかり作ってるわけではないんですね。
パッチワークで主に使うのは様々な形をしたパッチタイル、それを配置するための各プレイヤーのキルトボード、各プレイヤーの〝時間〟を表す時間ボード、そしてこのゲームにおけるお金になるボタンチップです。
ゲームはパッチタイルを購入し、自分のキルトボードに配置していくことで進んでいきます。
それによってキルトボード上にパッチワーク作品が作られていきますが、ゲーム終了時にパッチタイルが置かれていない空きマスがあると、1マスにつき2点のマイナスになってしまいます。
キルトボードは9x9の81マス。この上に様々な形のパッチタイルをできるだけ空きマスが残らないように置くことを目指すことになります。
必ずしも全てのマスを埋める必要はない(というかたいていは埋められない)ですが、9x9マスの中でも7x7マスを完全に埋めることができるとボーナスとして7点になる特別タイルをもらえます。これは早い者勝ちなので、相手の配置を見ながら時には先手を取るために強引な配置をするといった選択肢も出てきますね。
肝心のパッチタイルは余った端切れの布だけあって大小様々な形をしています。四角や直線といった単純な形はむしろ珍しく、ほとんどは歪な十字やT字、階段や凹形などいかにも繋ぐのが面倒な形のものばかりです。
そんなパッチタイルを購入するには〝ボタン〟と〝時間〟を消費する必要があります。パッチタイルに付いた値札には必要なボタンの数と消費する時間が記されており、内容はパッチタイルによって様々です。価格(ボタン)は安いけど時間は多く消費するパッチやその逆、また両方高い代わりに後述する決算用のボタンが付いているパッチなど、どれを選ぶかが戦略に大きく関わってくることでしょう。
ただし、このゲームでは購入するパッチタイルを自由に選ぶことはできません。詳しくは「ゲームの流れ」の項で説明しますが、常に3枚の中から選ぶことになるため「もっと欲しいのがあるけど、この状況だとこれを購入するのがマシか……?」といった〝ベスト〟ではなく〝ベター〟な選択を迫られることも多々あります。
時間ボードでは両プレイヤーの時間を管理します。前述のパッチタイルの購入の他、購入せずにボタンチップ(お金)を手に入れる場合にも時間が進みます。
パッチワークでは手番を交互に行いません。時間ボードでマーカーが後ろ、つまり時間が進んでいない方が常に手番を行います。なので相手が多くの時間を消費するパッチタイルを買った後などでは、連続した手番を行うことも可能です。
時間ボードの途中にはボタンのマークとスペシャルパッチのマークがあります。
ボタンのマークを通過すると、通過したプレイヤーは〝決算〟となり、キルトボード上にあるパッチタイルに描かれたボタンの数だけボタンチップを得られます。これは決算の度に何回でももらえるので、早いタイミングでボタンが付いたパッチタイルを持ってるとお得ですね。とはいえ、それらのパッチタイルは大体価格が高いんですが……。
スペシャルパッチはこのゲームで1マスだけを埋めることができる唯一の革のパッチです。これは時間ボード上に置かれていて、そこを先に通過したプレイヤーが無料で獲得することができます。決算は後でも先でも変わらないですが、スペシャルパッチは後からではもらえないのでスペシャルパッチを取るためには上手く時間の進み方を調整する必要があるでしょう。
ゲームが進み、両プレイヤーの時間マーカーがどちらもゴールマスに到着したらゲーム終了です。肝心の勝敗はキルトボードを埋めた数——ではなく、ボタンの数で決まります。
ゲーム終了時に持っているボタンの数が得点となり、そこからキルトボードの空きマス1つにつき2点をマイナスします。それと7x7の特別タイルを持っていれば+7点です。その結果、点数が多いプレイヤーが勝利となります。
なので、もしキルトボードを完璧に埋めたとしても最後に手元にボタンが残っていなかったら0点になるわけです。噂では慣れないうちはどちらもマイナス点で終わることも多いとか。勝つためには闇雲にボードを埋めるのではなく、パッチタイルの購入に必要なコストとそれによって得られる利益をしっかり計算することが必要になるでしょう。
ゲームの流れ
まず各プレイヤーは自分のキルトボードと初期資金になるボタンチップ5枚を受け取ります。時間ボードは真ん中に置き、各自の時間マーカーを時間ボードのスタートマスに置きます。
その後、時間ボードの周りにパッチタイルを円状に並べていきます。並べる順番に決まりはなく、適当に置いていきましょう。この並びはこのゲームで唯一のランダム要素でもあります。また、スペシャルパッチは時間ボード上の指定された場所に配置します。
パッチタイルを並び終えたら、最も小さいパッチタイル、1枚だけある2マスのタイルを探します。そしてそのタイルから時計回りに次のタイルの間にポーンコマを置きます。このポーンコマは後述するパッチタイルの購入に関わってきます。
これで準備完了。スタートプレイヤーから手番開始です。
前述の通り、このゲームでは手番は交互に行われません。時間ボード上の時間マーカーが後ろにいる方が手番を得ます。
手番では以下の2種類のアクションから1つを選んで実行します。パスはありません。
- 時間マーカーを進めてボタンを得る
- パッチタイルを購入してキルトボードに配置する
時間マーカーを進めてボタンを得る場合、自分の時間マーカーを相手の時間マーカーの1マス先まで進めます。そして進んだマス数だけボタンチップを受け取ります。4マス進めば4ボタンを得るわけですね。ボタンを得る手段はこのアクションと〝決算〟しかないので、シンプルかつ非常に重要なアクションです。
ただし、このアクションは進むマス数を自由に選ぶことはできません。必ず相手の1マス先に移動することになるので、相手の位置によって得られるボタンの数も決まってしまう上、手番も必ず入れ替わることになります。
パッチタイルを購入する場合、プレイヤーは取りたいパッチタイルを選びます。
ただし、選べるパッチタイルはポーンコマから時計回りに3枚先のパッチタイルまでです。4枚以上先や逆方向(反時計回り)にあるパッチタイルは選べません。
パッチタイルの値札には必要なボタンの数と消費する時間が書かれています。当然ながら所持しているボタンの数が足りないパッチタイルは選べません。(時間はその数だけマーカーを進めるだけなので足りないとかは無いです)
購入するパッチタイルを選んだら値札に書かれたボタンを支払ってそのパッチを取ります。そしてポーンコマをそのパッチがあった場所に移動させます。この移動によって、次に選べるパッチタイルが変わっていくわけですね。
パッチタイルを取ったら即座に自分のキルトボードに配置します。置き方にルールは無い(端から置くとか既にあるパッチに隣接しなければいけないとか、そういう縛りは一切無い)ですが、一度置いたパッチタイルは一切動かすことができません。先々のことを考えて、良い感じの場所に置きましょう。
また、この時キルトボードの中で先に7x7マスを隙間無く埋めることができたプレイヤーは特別タイル(7点)を受け取ります。早い者勝ちなので、先に取られた場合には後から埋めてももらえません。
パッチタイルを配置し終えたら、そのパッチタイルの値札に書かれた時間の数だけ時間マーカーを進めます。この場合は相手のマーカーを追い越さないこともあり、その時は連続して手番を行えることになります。
どちらのアクションをした場合でも必ず時間マーカーが進むことになりますが、その時にスペシャルパッチのマークかボタンのマークを通過した場合はイベントが起こります。
スペシャルパッチのマークを通過した場合は、そこにスペシャルパッチがあれば取得してすぐに自分のキルトボードに配置します。これは早い者勝ちなので、後から通過したプレイヤーはもらえません。コスト0で1マス埋められる(しかも隙間でも置ける)のは大きなメリットになります。
ボタンのマークを通過したプレイヤーは〝決算〟を行います。その時点で自分のキルトボード上にあるパッチタイルに描かれたボタンの数だけボタンチップを受け取ります。これはボタンマークを通過したプレイヤーだけが行い、先でも後でも内容は変わりません。
これを繰り返し、両プレイヤーの時間マーカーがゴールマスに到着したらゲーム終了。
最終的に[所持しているボタンの数]点から[キルトボードの空きマスの数×2]点を引き、特別タイルを持っていれば7点を追加します。その点数が高いプレイヤーの勝利です。
Let’s Play!
時は2020年5月上旬。新型コロナウイルスの影響で(父親にとっては)未曾有の連休が続き、暇を持て余した父親から「何かボードゲームでもやるか?」と言ってくれたので、二人用ゲームとして選んだのが『パッチワーク』。事前情報では見た目と異なり結構なゲーマーズゲームと聞いてますが果たして?
箱を開いてまずはゲームのセットアップ。二人用だし、小さいちゃぶ台でいいだろうとルールブックを見ながらボードとパッチタイルを並べていきますが……うん、思ったより場所使うね。パッチタイルを円周状に並べるのに机の端全体を使いました。
もうちょっと詰めれば小さな円にもできそうですが、外側にボードを置くのは難しそう。ということで、時間ボードとお互いのキルトボードは広めに並べたパッチタイルの内側に配置しました。まあ、これはこれでキレイに配置できたので良しとしましょう。皆さんは広めの机を使って遊びやすいようにしてくださいね。
パッチワークのスタートプレイヤーは「最近針仕事をした方」。私は針仕事なんて人生で数えるくらいしかしたことがないのに対し、父親は国内では絶滅危惧種らしい靴職人。毎日のように革を縫う針仕事をしてるということで父親からスタートです。
初手、まずはパッチタイルを買ってみようと父親は価格3のパッチタイルを購入。そのままボードの角を埋めるように置きます。砂時計は1なので時間マーカーも1つ進めます。
これだけ見るとつい『ブロックス』を思い出しちゃいますね。まあこのゲームでは角から始めなきゃいけないわけじゃないんですが。でも角から置きたくなるのが人情ってもんです。
続く私の手番ですが……ポーンから3枚先までのパッチタイルが「価格5」「価格10」「価格10」とみんな高い。初期のボタンは5枚なので最初のは買えますが、いびつな形で置きにくそうな上に手持ちのボタンが0になってしまう……ぐぬぬと悩んだ末、価格5のパッチを買うことに。
形はいびつですが、面積は広いのでボードを埋めるには使えますし、決算のボタンも1個付いてるので使えるだろうとの判断です。形的に角には置けないけど、いきなりど真ん中も微妙だよなあ……と優柔不断さが表れた微妙な位置に配置。この置き方が吉と出るか凶と出るか。
次は父親の手番ですが、次の3枚のパッチの最低価格が3に対して父親の手持ちボタンは2。ボタンが無ければパッチは買えぬと先のパッチの購入で前に進んでいた私を追い越して3枚のボタンを獲得します。
一方の私も同じく金無しなので父親の時間を追い越して2枚のボタンを獲得。さらに早速の決算でさっき置いたパッチタイルから1ボタンを追加です。
再び父親の手番となり、手に入れたボタンで価格3のパッチタイルを購入してきます。
時間は6マスも進むものの、決算のボタンが2枚も付いています。インベーダーゲームの自機みたいな形をしてますが先に置いていたパッチと凸部分が噛み合うように配置、さらにここでちょうど決算を通過してボタン2枚を即座に回収。むう、なかなか上手い動きの気がするぞ。
ここからしばらくはお互いにいびつな形のパッチタイルを購入しては置き方に悩む時間を過ごします。四角形とかでキレイにはまりそうだと置きたくなるところですが、全体のパッチタイルを見ると直線やL字といったシンプルな形はどちらかというと少数派のようで、余りのマスがキレイな直線や四角になるとむしろ後が辛くなることにお互い気が付き始めます。
そんなこんなで何巡か進み、お互いのボードが少しずつ埋まってきました。
父親(黄色のボード)は隙間を埋めるようにパッチを置いていきます。最後は十字のタイルを配置して少しカクカクになりましたが、決算のボタンは5個と多めの配置です。
一方の私(緑色のボード)は比較的安くて広い面積が埋められるパッチで最後の失点を減らす作戦に出ます。ただ、最後に取った十字架のような形の無料タイルの配置に悩まされ、最終的には上の写真の配置に。左下のL字の4マスが空きましたが、ここをぴったり埋められるパッチは全体で2枚しかありません。何とかこの角を埋めるパッチタイルを手に入れられることを祈りつつ父親の手番に移ります。
……と考えてたそばから2枚中の1枚のL字タイルが取られました。まあ十字架を取った時点で手番順で取られそうなことは分かっていたんですけどね。残りの1枚は意地でも取りにいくことにしましょう。
少し手番は進み、再び父親の手番。父親はすごく使い辛そうな横長の凹形のパッチを購入。ただ、この購入で一気に時間が5マス進んだ父親は最初のスペシャルパッチを獲得してきます。先に置いていた十字のパッチに合わせると1マス空いてしまうところをスペシャルパッチでしっかり埋めてきます。ちょっとしてやられた感じです。(父親は「特別感があるから、とりあえずスペシャルパッチを取ってみたかった」と言ってますけどね)
私の方はL字は取られたものの、もう一つ狙っていた4マス直線のパッチをゲット。左側に空いていた直線部を埋めることに成功します。さらに長めのZ字?のパッチを合わせることで左上の角を埋めることができました。
お互いのボードも半分弱埋まってきて、ゲームはここで中盤戦といった雰囲気になります。
だんだんと残りのパッチタイルが少なくなってきたことで、お互いに自分のボードの空きマスをキレイに埋められるパッチの種類が限られてきたことを認識します。ここからは自分の欲しい物をいかに手に入れるか、相手の行動も予想しながら動く必要がありそうです。
ここで父親の手番。4枚先には私の欲しいL字パッチがあります。購入できるのはポーンから3枚先までなので、適当なパッチを取って私に手番を回してくれれば嬉しいのですが……?
父親が選んだのは3枚先のいびつな安いパッチ。私から見て右側を埋めるのが難しくなってきたものの、内側は上手く埋めてきました。
よし、ここで私がL字をゲット——と言いたいところでしたが、父親が購入したパッチの消費時間は1マスのみ。3マス先にいた私を越えることはなく連続で手番を続けた父親は、さらに3枚先にあるこのゲームで最小の2マスのパッチを選択。私の欲しい4マスL字パッチは取られこそしなかったものの、ポーンが飛び越えてしまって買えるタイミングが遠ざかってしまいました。うう、辛い。
これも時間が1しか進まず、父親はさらに手番続行。またもや小さいL字パッチを購入して隙間を埋めてきます。さらにスペシャルパッチをまたもや獲得しますが……残りのパッチの形状を考えると上手な配置が思いつかない様子。
悩んだ末、ポーンの少し先にあるH形のパッチと相性が良さそうな形でスペシャルパッチを置いてきました。
ここで私の手番。当初は3マスのパッチで隙間を埋めることを考えていましたが……父親の様子を見て予定変更です。父親が欲しがったH形のパッチを購入します。
元々の作戦である「広い面積のパッチで失点を減らす」の方針に沿った上に相手の邪魔ができるとなれば取らない手はありません。それに二人対戦ですからね。多人数戦では相手の損はみんなの得ですが、二人対戦では相手の損は自分だけの得になるのです。
さらに、この次は父親の手番ですが次の3枚は父親のボードには置き辛い形状ばかり。ふふふ、増えろ失点!
「やられたー」という顔の父親はここでボードを隙間なく埋めることを断念し、隙間が出来ても広く埋められる大きいパッチを選んできました。選んだ長い十字のタイルは7マスの大きさで価格1。良い置き場がなく隙間はできてしまったものの、空きマスは確実に減らしてきました。
作戦は成功したものの、こちらにとっても置き辛いパッチタイルが残ってるのも事実。直線5マスのパッチは隙間を埋めるのに魅力的ですが価格が7と高い。うーむ、どうしたものか。
しばし悩みますが……ここでどれも時間の進行が少ないことに気が付きます。父親の時間マーカーは3マス先なので、3マスまでなら連続で手番が取れる——と気付いた私は「ここは勝負の時」とポーンの次のZ字パッチ(時間2)とその次の直線5マスパッチを連続で購入。これで父親と同じマスまで時間が進みますが、同じマスなら追いついた側、私の手番がまだ続きます。そこでさらに2枚先のT字パッチも購入です。
連続で3枚も購入したパッチで右側と上側を埋めていきます。右上に2x2の四角形が開いてしまったものの、直線とT字で上側はキレイに埋めることに成功です。さらに最後の購入で初めてのスペシャルパッチを獲得したので、細長いパッチでしか埋められないであろう直線状に空いた部分を埋めるのに使いました。
いよいよ残りの時間とパッチタイルも少なくなり、ゲームも終盤戦といったところでしょうか。ここからは互いに埋められるマス数とそのパッチの購入に必要なボタンと時間を鑑みて、より失点の少ない手を考えるように変化してきました。
まずは父親の手番。右上の空きマスにちょうど収まるパッチを購入・配置してきました。5マス埋めて価格・時間がともに2とコスパの良いパッチタイルです。
余談ですが、私はこの四角に煙突が生えたような形がなんとなく好きなんですよね。パズルとかでたまに見る形ですけど、どっしり安定感がある感じというか、縦向きと横向きで違う置き方になるのにどちらも安心感があるというか……マニアック過ぎます?
さて、この購入で進む時間は2。私の時間マーカーと同じマスになるので引き続き父親の手番が継続です。続く父親の一手は——。
……私が狙っていた最後の4マスL字パッチを取られてしまいました。父親はさっきやられたことの意趣返しとばかりに笑ってます。ぐう、悔しいいい。
しかもスペシャルパッチまで取られてしまいました。これで全5枚中3枚のスペシャルパッチが父親のところに。1マス埋めれば2点も失点が減ることを考えれば、ボーナスだけで6点も失点を抑えてることになります。うむむ、まずい流れだ。
泣いてばかりもいられません。こちらは負けじとT字のパッチを購入します。
決算のボタンが2個付いているとはいえ、価格・時間がともに5と終盤戦の今ではコスパが少し悪い気はします。でもこれを取れば……。
このT字の配置で7x7マスのボーナスを達成です!
上の画像の通り、ボードの左上側の7x7マスが隙間なく埋まっています。これで7点のボーナスを獲得です。スペシャルパッチの父と7x7ボーナスの私、果たして勝つのはどっちか?
いよいよゲームもクライマックス。続く私は右下を大きく埋められるパッチを購入します。時間5マスに加えて価格10とコストは高いものの、6マス埋められる上に残り決算2回で3枚のボタンが得られるなら得だろうとの判断です。
父親は横長のパッチ2枚を連続で購入して、上側の隙間を大きく埋めてきました。さらに最後のスペシャルパッチも獲得してきます。
ただ、残りのパッチタイルの形が残る空きマスに合わないため、ボードを埋めるのはここまでに。残りの時間をボタンに変えつつ私の手番が終わるのを待ちます。
一方の私も残りの時間はあと少し。買えるのは次の2x2の正方形パッチで、右上にキレイにはまるパッチではありますが、価格6に時間5と非常に高コストな代物です。決算のボタンが2個付いてますが、残りの決算は1回だけで埋められるのも4マス。時間はボタンに変えられるので、コストが実質11に対して得られるのは失点埋めの8+決算2の10。これだと購入した方が損になりそうだし、購入はパスして時間をボタンに変えて終わろうかな……。
……が、ここではたと気付きます。これ、パッチを購入する時に時間は足りなくてもOKだと。
先に時間を進めてボタンを得ればゴールまでの残りの時間が2マスだけになります。そこでパッチを買えば本来5マス使う時間が2マスで済むのです。つまり価格6に時間2で実質コストは8——得になる!
これで二人とも時間マーカーがゴールにたどり着き、最後の決算の収入を得てゲーム終了です。
さあ、最後の得点計算です。空きマスは私の方が少なさそうですが、あくまで得点になるのはボタン。勝敗はまだわかりません。
父親は空きマスが9マスで失点は18。最後の所持ボタンは35なので、35ー18で、最終得点は17点となりました。
対するは私は空きマスが7マスで失点は14。最後の所持ボタンが30なので30ー14でボタンは16点。「お、勝った——」と父親が喜びの声を上げようとしたところですが……こっちには7x7ボーナスの7点があるのだ!
ということで、最終得点は父親が17点に対して私が23点。
私の勝利です!
プレイ後の感想
二人用のボードゲームは頭脳と頭脳の真剣勝負になるものが多いですが、『パッチワーク』も例に漏れずガチガチな頭脳戦ゲームの要素が満載ですね。
パッチタイルの並びがランダムな以外はランダム要素が一切無く、ランダムなパッチタイルの並びやお互いの所持ボタンなどは全てオープン情報。よってゲーム開始後の運要素はゼロです。
できる行動は「時間を進めてボタンを得る」か「時間とボタンを消費してパッチを買う」ですが、時間を進める場合には必ず相手の1マス先に進めなければいけないこと、パッチを買えるのはポーンの3枚先まで、というのが非常にうまい作りになってます。これによって「これをすれば次の相手の手番でできるのはアレかアレ」という風に相手の数手先を考えることもできますし、相手の所持ボタンの数と今のポーンの位置から相手の行動をある程度コントロールすることも可能です。
ただ、当然それは相手も一緒です。ボードのマスを埋めるという単純なルールのためお互いが狙っているパッチタイルもすぐにわかってしまいます。そのため、勝つためには相手のやりたいことと自分のやりたいことをしっかり考えて、相手の一歩先を行く戦略が求められそうです。
また、リソースがボタンと時間という2種類に分かれてるのも奥深さを増していますね。時間を進めればボタンを得られるので、時間もボタンも得点としての価値は同じと言えます。しかし、ボタンは足りなければパッチを買えないのに対し、時間は消費さえすれば〝足りない〟ということはありません。ただ、相手と時間が離れ過ぎると相手に連続した手番を与えることにもなりえます。価値は同じでも使い方が異なる2つのリソースの先を見据えたやりくりこそがこのゲームの肝でしょう。
相手と自分の時間マーカーの距離、ポーンの現在位置、お互いの所持ボタン……そうしたオープンな全ての情報から「相手が取り得る行動」を考え、それによって相手が得る利益を想像し、そこから「自分の利益が最大になる行動」ではなく「相手よりも利益が高くなる行動」を選べるかが勝利には重要になりそうです。
……と、ゲーマーな私はガチガチな戦略ゲームの側面を長々と説明してしまいましたが、それはそれとしてコンポーネントは結構可愛いです。ゲーム中のプレイ感も「様々な形のパッチをボードに埋めていく」というシンプルな楽しみがあって、なかなか楽しく遊べます。本気で勝つためには上述の頭脳戦が必要になるとは思いますが、タイルでボードを埋めるというプレイ体験そのものは万人が楽しめるテーマだと思います。
遊んでる最中の父親も「やっぱりキレイに敷き詰めたいなー」と言ってましたし、私もプレイ中は結構そういう気持ちが強かったです。途中過程でもキレイにはまると嬉しいですし。まあ、途中がキレイに揃ってる方が最後に苦労しやすいところもありますが……詰め込みパズルのサガですね。
ゲーム性は真剣な頭脳戦ではありますが、テーマやプレイ感は万人にオススメできる良ゲーです。まずは気軽に遊んでみて、その奥深いゲーム性を楽しみながら感じてみてはいかがでしょう?
あなたを悩ませるたくさんの布切れ(パッチ)の繋ぎ合わせ、ぜひ楽しんでください!
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