現在TRPGのリプレイをメインに書いている私ですが、TRPGよりも前に根っからのボードゲーマー。およそ15年ほど前から海外製のボードゲームを知り、買っては遊ぶ日々を過ごしています。
大学時代にアナログゲームを遊ぶサークルに入り、現在でもその仲間と定期的に集まってボードゲームを遊んでいますが、先日は「合宿」と銘打って群馬県高崎市のログハウスを借りて友人たちと泊まり込みのボードゲーム会で遊んできました。
少し天気が悪いものの、出かける気ゼロの我々には全く関係無し。到着して荷物の確認等を済ませたらあとは遊ぶだけ。……というわけで、遊んだボードゲームの一部をご紹介。
トランスアメリカ&ジャパン(Trans America & Japan)
各地に鉄道網を伸ばしていき、いち早く自分の目標となる5つの都市を繋いだプレイヤーが勝ちとなる鉄道路線ゲーム。2002年にドイツで発売された「トランスアメリカ」を、今年にグループSNE/cosaicが日本語版として日本マップを追加して発売した新作を友人が持ってきてくれました。私は元の「トランスアメリカ」は所有してますが、今回は追加の日本マップで初プレイ。
全国各地に散らばる都市から全員に異なる5つの都市(5色の地域で1つずつ)が秘密の目標地点となり、自分の手番が来たら二本の線路を伸ばしながら他人よりも先に目標の5都市を一つの線路網で繋ぐことを目指します。
最初は自分の起点からしか線路コマを伸ばせませんが、実は線路コマは全員共通。そのため、途中で他人の線路と繋がれば、お互いの線路網は一つの線路網として共有されることになります。ゲームでは自分で伸ばすところと他人が伸ばしてくれた線路網に乗っかるところを見極めながら、効率よく自分の目的都市を伸ばすこと考えていきます。誰かが目的の5つの都市を繋げたらラウンド終了。得点計算を行ない、これを規定の点数になるまで繰り返します。非常にシンプルなゲームで1ラウンドが短く繰り返し遊べるので気軽に楽しめます。
基の「トランスアメリカ」では誰かが目的を達成した時点で足りない線路数が失点になるルールでしたが、今回の日本語版では改定されたのか、繋いだ人は4点、その他は足りない線路数に応じた点数がもらえる加点方式に変更されていました。目的都市の選ばれ方の運もあるので、この方がバランスは良いかな?
この時はだいぶアスペクト比の狂った日本に鉄道網を引くのにだいぶ苦戦。地域の分布のしかたからか、本州に路線が広がる→九州側に線路が渡る→最後に北海道という展開が繰り広げられました。私は他プレイヤーと目標都市がうまく合わずなかなか点数がもらえずにラウンドが進み、最後は少し盛り返すも追いつけることはなく敗北。残念。高知と根室が嫌いになりそう。それと日本海側には海の上まで線路が引けるのに千葉県は線路を引くことすらできない未開の土地となっていたのが可哀想なマップでした。
サイズ -大鎌戦役-(SCYTHE)
1920年代の東欧地域を舞台に、自分の国を拡大するべく地域を探索、労働者を送り資源を得て、時には他国と戦争しながら自分の国を東欧一の富と名声を持つ国にすることを目指すゲーム。Kicksterterで出資を募り、約2億円を調達したことでも有名になった重厚なゲームです。私も所有していますが、今回は友人が持ってきてくれました。
特徴的なのは重装甲兵器(メック)の存在。マップの真ん中に存在する大都市国家「ファクトリー」が作った時代を超越した巨大機械兵器。各国はこのメックを使って労働者を各地に輸送し、地域を守り、時には他国の地域を侵略します。
このメックの存在を見ると巨大兵器で殴り合う陣取りゲームかと想像しがち(私も買う前は思ってた)ですが、実際は戦うことは少なく、ほとんどはにらみ合いながらの領土取りになります。ゲームの目的も戦いに勝つのはほんの一部でしかなく、労働者増やす、施設を建造する、民衆の支持を増やすといった多数の目的があり戦争はまさに最終手段といったところ。むしろ進軍して他国の労働者を追い散らすと自国の支持が減るというデメリットもあるほどです。デザイナー(Jamey Stegmaier氏)によると、タイトルの「サイズ(大鎌)」は農耕具であり同時に武器になるという点から、このゲームの二大要素である生産と戦争を表しているとのこと。国の発展には戦うだけでなく労働者を庇護し拡大できる資源の基盤が必要なのです。
今回は拡張の「彼方よりの侵攻」も加えて、最大の7人プレイ。私は山と地下が得意なザクソン帝国(黒色)を担当です。
前半は領土を拡大せずにツンドラ地域でオイルを得ては改良アクションで動きやすくなるよう基盤作りに注力。他国はファクトリーを目指して進軍を進めるのを横目にグッとこらえます。中盤、ある程度改良が進んだところでメックの生産を進めつつ軍備を増強していきます。今回のプレイヤーマットでは軍備の増強と改良が同じエリアだったため、改良と同時に戦闘カードも補充して進軍に備えます。
軍備が増強できたところでいざ進軍。渡河能力を使わず、地下ルートの能力で山岳からトンネルを抜け、ファクトリーを目指してダッシュ。そしてファクトリーを確保すると同時にファクトリーに施設「鉱山」を建設。この鉱山は自国だけが使えるトンネルになる施設。この後はファクトリーを一度奪われるも、地下ルートの効果で本拠地から瞬時にファクトリーへ進軍しすぐに奪い返します。
最後は私が戦いに勝利して得た星章で終了条件の6個目となりゲーム終了。最後にファクトリーを支配できたことで地域のボーナス点が増えたことが大きく、我がザクソン帝国が勝利を収めました。やったね!
プレイ時間は長いものの、遊んでみるとわかりやすく作られた手順でプレイ感は良好。久しぶりのプレイでしたが、やっぱり重ゲーはいいなと思わせてくれました。(結構重ゲー好きの私です)
シドマイヤーズ シヴィライゼーション:新たな夜明け(Sid Meier’s Civilization: A New Dawn)
こちらは今回の合宿のために私が新たに購入したボードゲーム。廃人が生まれるほど面白いと世界的に有名なPCゲーム、シヴィライゼーションを基にしたボードゲームです。過去にもシヴィライゼーションのボードゲームは出てます(私も持ってる)が、これは拡張とかではなく完全な別ゲーム。前のボードゲームよりもかなりシンプルになっています。といっても、一般的には重ゲーの部類だと思いますが。
シヴィライゼーション(文明)という名前の通り、未開拓の世界で自国を文明的に発展させ、支配地を拡大し、時に外交で力を得て、時に戦争で勝ち取りながら決められた目標を達成することを目指すゲーム。目標には世界遺産の建設/科学技術の発展/多数の都市の建造/都市国家の征服などがあり、いくつかの選択肢の中から3つを先に達成したプレイヤーの勝利となります。
今回のシヴィで特徴的なのはアクションの選び方。横に並んだ5つのスロットに5種類のアクション(軍事、産業、経済、科学、文化)がセットされていて、毎手番に1つのアクションを選びます。スロットの右にあるほどアクションの効果が上がる(一度に上がる技術レベルが増える、キャラバンの移動量が増えるなど)のですが、使用したアクションは一番左に移動し、その他が右にずれていく、というシステム。そのため、同じアクションを続けて選んでも効果が薄く、スロットの配置を見ながら行動の順番を考える必要に迫られます。
とはいえ、逆に言えば手番にできるのは5種類のアクションのうちの1つを選ぶだけ。各アクションも内容はシンプルなので、初めてでも中盤にはゲームの流れがほぼ理解ができるくらいの難易度です。
私の担当国はエジプト。世界遺産が建設しやすい国です。勝利条件にも経済遺産の建設と軍事遺産の建設があったので、世界遺産の建設を重視しようと決めてプレイ開始。
まずは遺産建設のコストになる資源と自然遺産(何度も使える資源になる)を集めるべく首都周辺に少しだけ支配を広げる。近くの蛮族を排除しつつ、都市国家ブエノス・アイレスと外交を行なうことで、さらに遺産の建設コストを下げて早期の遺産建設を行ないます。
建設したアポロン神殿はスロットのアクションカードの位置を入れ替えられる能力を持つため、ここから遺産の建設を行なう「産業」のアクションを右に動かすことで順調に遺産を建設していきます。
……が、中盤で狙っていた軍事遺産を先に取られたところから徐々に失速。遺産は早い者勝ちで、後半の方が能力は高い代わりに建設コストが上がるため思った通りの建設ができず。また、世界遺産は各都市に1つしか建設できないため世界遺産を増やすには先に都市を建設しなければいけないのに、都市の建設と遺産の建設は同じアクションのため最後は大きく失速。軍事力を増強していなかったため隣国のフランスから都市を奪うこともできません。
最後は軍事力を増強していた隣国フランスが一挙に各都市国家を征服して3つの目標を達成して勝利。こちらは惜しくも2つの目標までしか達成できませんでした。悔しいー!
簡略化された要素のために本家シヴィライゼーションほどの自由度はありませんが、シヴィライゼーション「らしさ」をしっかり残したままシステム面にボードゲームならではの楽しいプレイ感が光る良作でした。初プレイでしたがとても面白かった。
なお、一緒にプレイした一人が大変ハマってくれたためこの後にもう一回プレイしたところ、今度は勝利したことを悔しいので追記しておきます。
これら以外にもいくつかのボードゲームを遊び、充実した時間はすぐに流れ……合宿も終わり。現地で解散して帰路につくことになりました。さよなら相間川。
マイ・リトル・サイズ(My Little Scythe)
「……あれ、帰ったんじゃないの?」と思われた方。確かに帰りました。実は今回の合宿は2台の車で分乗し、1台は私の車だったので友人2人は私の車に乗って家に帰ったのです。というわけで、帰宅後に三人で「解散する前にワンゲームしよう」となりました。二次会in自宅。
遊んだのはマイ・リトル・サイズ。上で紹介した「サイズ」をベースにファミリー向けに改変されたゲーム。サイズのファンの一人が自分の小学生の娘と一緒に遊ぶために、娘さんが好きなマイリトルポニーをテーマにしてサイズを子供も遊べるように改変した自作ゲームを作って公開したところ、実際に販売に至ったとのこと。娘さんも父親と一緒にゲームデザインに参加していて、デザイナーには父娘の名前。そんな素敵な出自を持つゲームです。
プレイヤーは動物七王国の勇者として収穫大競争に参戦。魔法を使いながら各地のリンゴや宝石を集め、城に配達し、時にパイ投げで他の勇者と戦います。いくつかの目標から最初にトロフィーを4つ獲得した勇者が勝利、ポム王国の新たな王となるのです。
ルールはサイズがベースになっていてマップも似ています。しかし、プレイ感は結構異なるのが印象的。サイズでは資源の生産や改良で地道に力を蓄えていきますが、こちらは各地を探索してはリンゴや宝石を集め、時にはイベントをクリアしながら動き回ることになります。必要なリンゴや宝石は探索アクションでマップに出現しますが、この時に他プレイヤーの勇者の場所にリンゴや宝石を置くと友情の値が増加します。この友情はトロフィーの目標に関わる他、下がりすぎるとトロフィーが得られなくなる(=勝利条件が達成できない)ため、相手の喜ぶことをする必要があるのもほのぼのとした世界観にマッチしていて好感触。トークンやカードも多くないので、かなり気軽に遊べますね。
実際のプレイでは探索するも思ったように欲しい資源(リンゴや宝石)が出ず苦戦。もうちょっとで城に配達できる!……と思ったら他のプレイヤーに奪われて断念。(奪ったプレイヤーは友情値が下がったが、後で資源をこっちの勇者に渡してきて回復していた)
移動力を強化した相手が素早く資源を集め、順当にトロフィーを獲得したため残念ながら敗北。王の座は譲ることになりました。
これを遊び終わったところで本当に解散。楽しいボードゲーム合宿(+α)でした。
コメント