日本語版が発売されて大人気の『Everdell』(エバーデール)。その拡張第一弾『Everdell: Pearlbrook』(邦題:エバーデール 拡張 真珠の入り江)ももうすぐ日本語版が発売予定。
……って、このままじゃアメリカで買ってきたのに遊ぶ前に日本語版出ちゃうじゃん!? と一年前に基本と一緒に買っていた『Everdell: Pearlbrook』を急遽友人を招いてお試しプレイ。そのファーストインプレッションを紹介します!
Everdell: Pearlbrookとは?
ゲーム概要
- ゲームデザイナー:James A. Wilson
- イラストレーター:Andrew Bosley
- パブリッシャー:Starling Games
- 発売年:2019年
- プレイ人数:1〜4人
- プレイ時間:40〜80分
- 対象年齢:14才〜
『Everdell』の世界、Ever Treeの下を流れる小川が続く先にあるPearlbrook River。揺らめいて光るその水面の下には、水に住む生き物たちの不思議な文明が待っていました——。
『Everdell: Pearlbrook』(邦題:エバーデール 拡張 真珠の入り江)は過去にプレイ記事を書いた『Everdell』(エバーデール)の拡張セットです。基本のエバーデールが無いと遊べませんのでご注意を。『エバーデール』の記事は下記リンクからどうぞ。この記事ではエバーデールの基本ルールは知ってる前提で、拡張される要素について紹介と感想を書いていきますのでよろしくお願いします。
本記事で遊んでいるのは2019年に発売済みの英語版です。2020年に発売された日本語版とは細かい差異があるかもしれませんので、その点はご了承ください。カードなどの単語の翻訳も日本語版の名前とは違うと思います。
また、冒頭の文章では「もうすぐ日本語版が発売予定」と書いてますが、遊んだ時に未発売なだけで本記事公開時には既に日本語版は発売されています。2020年12月17日からアークライトさんより発売済みですのでぜひどうぞ。
さて、拡張の名前になっている「Pearlbrook」ですが、「Pearl」は真珠、「Brook」は小川という意味の英語です。日本語版では「真珠の入り江」と訳されてますが、この拡張ではEver Treeの下に広がる広場の西の森、そのさらに西に広がる「Pearlbrook River」(原文)が追加されます。
上の画像がこの拡張で追加されるコンポーネントたち。画像に大きく写っているのがPearlbrook川のボードで、他にも川の水底で出会える生き物たちのカードや川底に行くためのカエルの外交官(カエル大使)のコマ、新たな資源であるPearl(真珠)にそれを使って作れる装飾品カードやWonder(記念碑)があります。
水底では蟹や鯉など、地上とは違った生物たちが住んでおり、この拡張ではそんな水底の生き物たちと交流を図ります。でも普通の動物は水の中には入っていけない……そのために、新しい仲間としてカエル大使が加わります。カエル大使を通じて彼らと交流することで、新しく貴重な資源である真珠を集めることができます。
カエル大使は通常のワーカーとは別にそれぞれ1匹ずつ追加されます。使い方はワーカーと同じく自分の手番で行き先に配置するだけですが、カエル大使は通常のワーカーが行けない川の行き先へと派遣することができます。逆にカエル大使は普通の場所には配置できません。
追加された川ボードには1ヶ所のShoal(浅瀬)と4ヶ所の川の行き先があります。どちらもカエル大使しか行くことができません。
浅瀬はカエル大使を送り資源とカードを払えば真珠が手に入る場所です。ここは何匹でも入ることができるので、他の川の行き先に行けない場合でもコストさえ払えれば真珠が手に入ります。
メインとなるのは4ヶ所の川の行き先で、こちらには川の行き先カードが裏向きで置かれます。ここにカエル大使を派遣すると未知の場所へと訪れることができるのですが……それぞれの行き先にカエル大使を派遣するには、街に特定のタイプ(色)のカードが2枚(3枚)以上という条件を満たす必要があります。
場所によって必要なカードタイプが異なるので、街の発展の仕方によって行ける場所も限られてしまいます。
そうした条件をクリアしてカエル大使を送ることができた場合、初めての場所(カードがまだ裏向きの場所)に行った場合にはまずボーナスで真珠がもらえます。その後、カードをオープンして水底の文明との交流が始まります。
川の行き先カードには2種類、Citizen(住民)とLocation(場所)があり、初めて訪れた場合にはどんな住民または場所が待っているかは分かりません。訪れてカードを表にすることで初めてそこにいる住民や場所のことが分かるわけです。(ただし、セットアップ時に4枚のカードのうち住民2枚・場所2枚になるようにはします)
オープンされたカードが住民でも場所でもやることは同じで、相手の要求するコストを支払うことで真珠を含むボーナスを受け取ることができます。交流というか取引ですね。
ただし、住民か場所かで要求するコストと真珠以外のボーナスが異なります。住民の場合は特定のタイプ(色)のカードを捨てることを要求し、その代わりにポイントトークンと真珠をくれます。一方場所を訪れた場合はポイントトークンと何かしらの資源を要求し、代わりにカードと真珠を獲得できます。こうした水底の文明との交流によってあなたの街が新たな発展を遂げるのです。
このポイントトークンを要求してくるというのは新しい要素。今までは点数をポイントトークンで得ることに特別な意味はなかったですが、この拡張ではコストにするためのポイントトークンを所持することに意味が出てきます。
こうして川にカエル大使を送って手に入るのが新しい資源である真珠。光沢があって見た目にもとてもキレイです。完全な球状ではなく一ヶ所が平たくなってるので転がっていく心配も少ないです。
この真珠は前述の通りカエル大使を使って川を訪れた時だけ手に入れることができ、後述する記念碑の建造や装飾品カードのプレイに使われます。他の手段で手に入れられることはかなり稀です。また、他の資源と異なり使わずに終了しても2点になる貴重品です。
川ボード以外で追加されたのが記念碑です。(英語版では「Wonder」ですが、日本語版では表記が「記念碑タイル」となっているようなのでこの記事でも「記念碑」と表記します)
記念碑はEver Treeの下に置かれていた基本イベントと置き換わり、ワーカーを送った上で真珠を含む多くの資源とカードをコストにすることで建造することができる象徴的な建造物です。これら記念碑は建造することができれば高得点を得られます。基本イベントが全て3点だったのに対し、記念碑は10〜25点。文字通り桁が違います。これも基本イベントと同じく早い者勝ちでそれぞれ一人しか建造できません。
建造できる記念碑は「Hopewatch Gate(希望見守る門)」「Mistrise Fountain(霧立ち昇る噴水)」「Sunblaze Bridge(陽光輝く橋)」「Starfall’s Flame(星降りの灯火)」の4種類。翻訳は私が想像で付けたものなので正しくは無いです。雰囲気。
どれも建造すれば街の名物となりそうなものばかりです。名物になるということは街が有名になるということで、街の発展具合を表す点数も非常に高いわけですね。
もう一つの追加要素は「装飾品」。こちらは他のカードよりも小さいカードで、ゲーム開始時にランダムに2枚ずつ配られます。
全ての装飾品は真珠1個でプレイすることができ、それぞれプレイした時に発揮する効果とプレイしていたらゲーム終了時にボーナスポイントとなる効果を持っています。その効果は強力で、通常は一度しか発動しない旅人タイプのカードの効果を再発動したり、街にあるカードに応じて多数の資源を獲得できたりと通常ゲームには無かった劇的な効果をもたらします。そうした効果を得た上でゲーム終了時にはボーナスポイントももたらすというなら作らない手は無いでしょう。
……と言いたいところですが、そもそも真珠を手に入れる機会が少ないのでホイホイと作るわけにはいかないでしょう。貴重な真珠を記念碑の建造のために貯めるか、装飾品のプレイに使って即効性のある効果とボーナス点にするかは個々の戦略にかかっています。
これら追加要素の他、山札に混ぜられる通常のカードも追加されます。新たな建物として海賊船や港、新たな動物としてフェレットの船頭やバジリスクのメッセンジャーなどが加わり、より賑やかなEverdellの世界を味わうことができそうです。
また、カワウソのワーカーも追加で入っています。プレイ人数は増えませんが、基本の動物たちに加えてお好みで選べますよ。
ゲームの流れ
基本的なゲームの流れは基本の『エバーデール』から変わりありません。
違うのは、
- 「カードをプレイ」の時に、通常のカードではなく「装飾品カード」をプレイしても良い。
- 「ワーカーを置く」の時に、通常のワーカーではなくカエル大使を川ボードの場所に配置しても良い。
だけです。なお、装飾品カードは手札には含まず、プレイしても街のカードの枚数としては数えません。
最終的な得点計算では従来の得点に加えて、建造した記念碑、プレイした装飾品カードのボーナス点、手元に残っている真珠1個につき2点、が加えられます。
その中で、従来と同じく冬の終わり〜新たな冬の始まりまでをプレイし、最も得点を稼いだ——最も繁栄した街を作ったプレイヤーが勝利します!
Let’s Play!
記事の冒頭でも書いた通り、この拡張は一年前にアメリカでエバーデール(英語版)を買う時に現地では既に発売していたため一緒に買ったもの。しかし拡張版というのはなかなか遊ぶ機会がなく……そのまま時が過ぎていたら、ついに日本語版の発売がすぐそこに迫っていることを知った私(※)。せっかく先に手に入れてるのに遊ぶ前に日本語版が出たら悔しいので近場の友人2人を召喚して急遽プレイすることに。
※発売日を知ったのが発売の二週間ほど前、このプレイをしたのはその数日後。
友人ズは基本のエバーデールも未プレイだったので一回基本を遊んだ後、本拡張『Everdell: Pearlbrook』を導入して3人プレイ開始です。
まずはボードをセットアップ。目を引くのは左側に追加された大きな川、Pearlbrookです。ボードも大きいし新たな資源である真珠も光っていて綺麗ですね。どんな水底の動物たちに出会えるのか楽しみです。
そして基本では基本イベントがあった場所は高得点のWonder(記念碑)に置き換わっています。一つ建てれば10〜25点と非常に高得点な上に、建造は早い者勝ちなので、相手の動向も見ながら獲得を狙っていきましょう。
使用する動物は友人Aがリス(赤)、友人Bがネズミ(白)、私は持ち主の権力で追加種族であるカワウソ(ベージュ)を選択。それぞれ最初の2匹のワーカーと、水底と交流するのに必要なカエルの外交官(カエル大使)を新たに仲間に加えてゲームスタートです。順番はリス(友人A)→ネズミ(友人B)→カワウソ(私)に決定。
自分の手番を待つ間に盤面と手札を見て戦略を考えます。毎回違う森カードは「果実x2+カード1枚」「果実x3」「任意の資源x2」「捨て札1枚につき任意の資源1個(最大3個)」……うーん、果実率が高い。任意の資源が取れるのは嬉しいですが、果実以外が欲しい場合はバッティングしやすそうで場所の取り合いになる予感。
そして手札とMeadow(広場)のカードをチェック。せっかくなので拡張で増えた新カードを使いたいところですが……見ると「Pirate(海賊)」と「Harbor(港)」が新カードのようです。海賊の種族はカモノハシかな。カモノハシって結構可愛い見た目してると思うんですけど、生態はめっちゃ肉食だしオスの後ろ足には小動物を殺せる強さの毒を持った蹴爪まであるんですよね。人間の場合は死ぬほどの毒ではないけどモルヒネも効かないくらいの激痛が数ヶ月続くこともあるとか。怖い。
海賊の効果は「手札を4枚まで捨てて同数のカードを山札から引く。引いたカードの基本点の合計が7以上なら追加で真珠を1個獲得する」とのこと。カエル大使を使わずに真珠が獲得できたらかなり強そうですが、使えるのはプレイした時の1回のみ。運頼みか……(←自分の運を信じれない人)。一方の港は「真珠を2個以上持っていれば好きな資源を2個獲得する」効果。一見強そうですが、真珠2個を手に入れるのはかなり難しいし、真珠が集まっても効果が発動するタイミングまで温存しないといけなくなるのでちょっと難しい。焦って取っても効果は薄そうかな?
住民と建物カードはそんなところですが、今回はさらに新要素の「装飾品カード」があります。全員2枚ずつランダムに配られたこちらもチェック。私が得たのは「Sundial(日時計)」と「Gilded Book(金塗りの本)」。日時計はプレイ時には自分の街にある〝緑の生産〟カード(最大3枚)の効果を再起動でき、最後は街の〝緑の生産〟カード2枚につき1点のボーナス。金塗りの本はプレイ時には街にある任意の〝青の運営〟カードのプレイコストである資源を回収(獲得)し、さらに街にある〝青の運営〟カード1枚につき1点のボーナスです。
〝青の運営〟カードが集められれば「金塗りの本」は強力な効果を発揮しそうですが……現時点では手札にも広場にも有望なカードは見当たらず。一方、〝緑の生産〟カードなら手札に「Twig Barge(小枝の艀)」とそれと連携する「Barge Toad(艀のヒキガエル)」がいます。まずはこれら〝緑の生産〟カードと装飾品の「日時計」で資源獲得の基盤を整えつつ点数アップを狙うことにしましょう。
※艀(はしけ):Bargeの和訳で、河川や水路で貨物を運搬するのに使われる平底の船のこと。重量物でも運べる上に平底で浅い河川でも航行できる。
そんなことを考えている間にも手番は進みます。スタートプレイヤーになったリスは初手で「果実x3」、二手目で「果実x2+カード1枚」と二連続でワーカーを送り大量の果実を集めてきます。対するネズミは「任意の資源x2」で小枝と小石を、次に樹脂2個を獲得。こちらも二連続でワーカーを出してきました。集めてる資源から考えればリスは動物カード、ネズミは建物カードを出すのが狙いでしょうか。
それに対し、私はカードを捨てて資源を任意の資源を獲得できる森にワーカーを配置。手番順が遅い代わりに初期手札が多い(初期手札はスタートプレイヤーから5枚→6枚→7枚→8枚と手番が遅いほど多くなる)ので捨てても余裕はあります。ここは最大数の3枚を捨てて小枝、樹脂、小石を1個ずつゲット。二手目で小枝の艀をプレイし、街に最初のカードを配置します。艀があればヒキガエルをノーコストでプレイできるのでその準備です。
ここでリスとネズミたちも動き始めます。リスはかき集めた果実を使ってなんと「Queen(女王)」をプレイ。それ自体が4点と高得点な上、ワーカーを置けば基本点3点以下のカードをノーコストでプレイできる効果を持つ強力なカードです。高コストなカードなので最初の冬に出てくるのは想定外。いきなり勝負に出てきました。
ネズミは「Storehouse(倉庫)」をプレイ。資源を倉庫の上に蓄え、ワーカーを送ることで倉庫の上の資源を全て獲得できるカードです。プレイしたところで最初は小枝3個を倉庫に蓄えます。〝緑の生産〟カードなのでこの後季節が春に移った時にも効果が起動、追加の資源をさらに倉庫に蓄えることができ、その後1匹のワーカーで一気に回収できるので効率的なタイミングです。
一方の私は戦略通りヒキガエルをプレイ——する前に。最初に手に入れていた樹脂1個と「小枝の艀」の効果で手に入れた小枝2個を使い、広場にあった「Farm(農園)」を先にプレイします。「艀のヒキガエル」は[街にある農園の数x2個]の小枝が手に入るので、農園を先に置いておきたいのです。それに手札のヒキガエルと違い、広場にある農園は他人に取られる可能性もあるので確実に確保する意味もあります。
ここでワーカーも資源もほぼ底をついたリスとネズミは「季節の準備」を実行。季節を春に移し、ワーカーを手元に戻します。正確にはカエル大使がまだ残っていましたが、残念ながら条件が整わず冬のうちに川に送ることはできなかったようです。
私はまだ季節を移す気はありません。予定通り「艀のヒキガエル」を手札からプレイ、小枝の艀があるのでノーコスト、先に農園を置いていたので小枝x2個もゲットです。
さて、先に春を迎えたリスはまず資源集めに集中。「任意の資源x2」に「小枝x3」と今度は果実以外の資源が取れる場所を占拠していきます。ただ、どうにも噛み合うカードが見つからず次の手に悩んでる様子です。
同じく春を迎えたネズミは倉庫に蓄えた小枝と小石を回収し、私の街と同じ「小枝の艀」をプレイします。倉庫にあった小枝と合わせて小枝がたくさん集まってきました。
未だ冬の私は2匹目のワーカーを「果実x2+カード1枚」に配置。最初に資源のために手札を捨てているため、カードを補充しつつ果実を獲得します。
その後は手に入れた果実を使って手札から「Innkeeper(宿屋の主人)」をプレイ。彼がいれば動物カードをプレイする時に果実のコストを3個下げられる(彼自身はいなくなるけど……)ので、これで高コストの動物カードのプレイに備えます。
ここでリスは春の最後のワーカーを女王のところへ送り、広場から「港」をノーコストでプレイしてきます。港の効果は真珠が無いのでまだ発動しませんが、純粋に基本点3点と高得点。カードは少ないですが高得点のカードで着実に点数を伸ばしてきました。この先真珠を手に入れて秋になれば資源も手に入るので、思わぬところで点数を掻っ攫われないように気をつけなければ……!
ネズミは集めた小枝を消費して農園(Farm)をプレイ。艀に農園……うちの街がパクられてる!?(違います)
そして私の手番。街には〝緑の生産〟カードが3枚……カエル大使の出番だ! 〝緑の生産〟3枚が条件の場所にカエル大使を派遣します。他の二人が冬にカエル大使が使えず真珠が無いのに対して、冬の時点で真珠が手に入るのは大きなアドバンテージになるはず!
この場所には最初の派遣なのでまずはボーナスで真珠1個を獲得。そしてカードをオープンします。さて何が待っているかな?
カワウソたちの街の代表としてカエル大使が訪れたのは、「Watermill(水車小屋)」でした。地上の水車小屋と違って全部が水に浸かってるのか……水車というよりは風車みたいな感じで潮の流れを受けて回るのかな?
さて、カードは「Citizen(住民)」ではなく「Location(場所)」でしたので、要求されるのは資源(小枝)とポイントトークン。小枝は持ってますが、残念ながらポイントトークンはまだ未所持。追加の真珠を持ち帰ることはできずにカエル大使の任務は終わりです。
続くリスたちもカエル大使を派遣してきます。まだ街にカードが少なく川カードの条件は満たせないようなので、代わりに「Shoal(浅瀬)」にカエル大使を送り真珠を獲得します。
次いでネズミは「Ruins(廃墟)」をプレイ。廃墟はプレイ時に街の建物カードを捨てることでそのカードのコストの資源を獲得し、加えてカード2枚を引くことができます。建物を解体、廃墟にして資源を回収するイメージですかね。
廃墟化に選ばれたのは倉庫。『保管物が無くなった倉庫に用は無い』と言わんばかりに解体されます。倉庫の物を回収するために既に配置されてたワーカーが廃墟に残されたのがなんだか寂しい雰囲気ですね……。
とはいえ、これで資源を再回収した上にカードを補充してきます。カードを2枚引いたプレイヤーですが、カードを見て「ぶっ」と吹き出した様子。なんか面白いカードを引いたようです。このタイミングで笑っちゃうカード……なんだろう?
(後で聞いたら「Ever Tree」(このゲームで最大の基本点を誇る高コストカード)と「Palace(宮殿)」(同じく高コストカード)だったようで。このタイミングで引いても使い辛いし、そりゃ笑っちゃうね)
さて、私の方はカエル大使も使い終わったしそろそろ次の季節への移行も考え始めますが……まだできることもありそうだな、と冬のまま続行。さっきプレイした宿屋の主人を捨て札にする代わりにノーコストで広場の「Judge(裁判官)」をプレイ。さらに追加の農園(Farm)をプレイします。農園のコストに必要な樹脂が手持ちに無いですが、そこは裁判官の効果で果実を代わりに支払うことで解決です。(裁判官はプレイコストの資源1個を任意の他の資源で代用できる効果を持つ)
これで街には農園が2個。季節を春に移した時にヒキガエルが取って来てくれる小枝の数がさらにアップです。
リスは先ほど集めた建築資源で「Mine(鉱山)」をプレイ。小石が手に入れられる上に2点の基本点を持つ有用なカードです。しかし、ここで資源もワーカーも尽きてしまい季節の準備アクションを実行。春が終わり夏へと移りました。
未だ最初の冬の私に対して春も過ぎ夏へと移ったリス。こちらの方が上手くカード効果で回せてるとは思いますが……リスの街は3枚しかカードがないのに合計基本点は既に9点。私は枚数こそ5枚と多いですが合計点は6点と負けてます。もちろん巻き返すつもりではありますが、街の枚数は15枚と上限があるので、調子に乗ってカードを出し過ぎると高得点のカードを出すスペースが無くなるかもしれないのは注意しないと。
ネズミは広場から「Inn(宿屋)」をプレイ。さらに宿屋にワーカーを送り、ノーコストで「University(大学)」をプレイします(宿屋はワーカーを置くことでコストとなる資源を3個減らして広場のカードをプレイできる)。
こちらも宿屋が2点に大学が3点と高得点のカードを出し始めてきました。街の合計基本点も7点と僅かに私を上回っています。まだまだ油断はできません。
そして私の手番。ワーカーは使い終わり、資源も果実2個(+真珠1個)のみ。手札も少なくなったので「そろそろ季節を移すか……?」と悩みつつも、できることがないか広場のカードを確認します。
広場を見るとPearlbrook拡張の新カードが新たにお目見えしています。画像の下段、右から2枚目の「Pirate Ship(海賊船)」は既に出ている「海賊」に対応した建物カード。ワーカーを置くと他プレイヤーの街の空きスペースに移動した上で、相手の持つ真珠1個につき任意の資源1個と1点のポイントトークンを獲得できます(最大3個)。真珠という富を蓄えてるところを襲撃して物資を手に入れてくるわけですね(実際に奪うわけではないですが)。このカード、資源と点数を得る手段という意味もありますが……それよりも〝街のスペースを奪われる〟のが地味に嫌ですね。海賊船自体は0点なので自分の街に置かれても得はありませんし。相手のワーカーがどいてくれた後に自分のワーカーを置ければまた他の街に移動させることはできそうですが、結構な嫌がらせだなあ……。
もう一枚、新カードの「Messenger(メッセンジャー/使者)」もいます。画像の上段、左から2枚目のカードです。すごい勢いで水の上を駆けてるイラストが印象的な彼はおそらくバシリスクでしょう。テレビとかでもお馴染みの水の上を走るトカゲ(イグアナ)です。水の上を走れる理由には長くて節のある足の指とか足裏の微細な構造とか色んな話がありますが……最大の秘訣はめっちゃ高速で後脚を動かすこと。沈む前に脚を出す。努力の賜物なんですねー。ちなみにバジリスク(伝承上の毒蛇)ではなくバシリスク。名前の由来ではあるので無関係では無いですけど。
……完全に脱線しました。メッセンジャーの効果は「プレイ時にカード1枚と1点のポイントトークンを得る」でメッセンジャー自身の点数は0点。これだけ見ると微妙ですが……プレイされたメッセンジャーは必ず街の空きスペースではなく既にある建物カードの場所に配置されます。そしてメッセンジャーのカード種別は小麦色(旅人)ですが、Pearlbrookの川にカエル大使を送る時に限りメッセンジャーは配置された建物と同じ色としてみなされます。前述の通り川の行き先にカエル大使を送るには街に条件となる色のカードが2枚(緑のみ3枚)配置されてる必要がありますが、どれかの色の建物とメッセンジャーがいればそれだけでその色は2枚ある——カエル大使を送る条件が整うわけですね。しかも川の行き先では〝Location(場所)〟ならポイントトークン、〝Citizen(市民)〟なら特定の色のカードが取引のコストとして必要になるので、最初に書いた「カード1枚とポイントトークン獲得」は水底へ向かうのに大事な効果。さすが使者ですね。
とはいえ、どちらも面白い効果ではありますが今の私にはちょっと噛み合わない。どうしたもんかと少し悩んだ末……「せっかくの拡張カードを活かすチャンスは使ってやる!」と賭けに出ることに。
まずはなけなしの果実を使って広場から「Wanderer(放浪者)」をプレイしてカードを3枚ドロー。放浪者は街のスペースも埋めないので資源さえあれば確保しておきたい1枚ですので。
そしてカードが補充できたところで——本拡張の新要素、装飾品の「Sundial(日時計)」の登場! さっきカエル大使で手に入れた真珠を使ってこれをプレイします。効果は前述した通り街にある〝緑の生産〟カード3枚までの効果を再発動できるもの。この効果で艀のヒキガエルと農園2枚を再発動、小枝4個に果実2個をゲットしました!
そして小枝を補充できたところで広場にある農園をプレイ。足りない樹脂は裁判官の力で果実を代わりにし、街に3枚目の農園を配置します。すっかり農村ですね。
さて、広場から農園をプレイしたところで補充されたカードを見ると、出てきたのは新カード「Bridge(橋)」。効果を見ると、真珠を手に入れるたびにカードを2枚引ける上、所持する真珠の数だけ手札上限が増えるとのこと。真珠を手に入れる機会はそう多くはないですが、手札上限が増えるという効果は非常に貴重な気がします。秋だけ使える旅スペースとか、持てる手札が多いに越したことはないですからね。ついでに言うと既に出てるメッセンジャーに対応した建物カードのようです。
さて、私が装飾品まで使ってカードのプレイを続けるのを漫然と見てるだけのリスとネズミではありません。
リスは回収し人数も増えたワーカーを使って順調に資源を蓄えています。真珠も手に入れているので私のように装飾品を使ってくるか、そのまま記念碑を狙ってくるか……油断はできないな。
ネズミは「カワウソ早くどいてよー」と季節が変わらないせいで森の場所を占拠し続ける私に文句を言いつつ他の場所で資源を集め、その後「Doctor(博士)」をプレイ。大学があるのでこのプレイはノーコスト(なんで文句言われたんだろう……?)。さらに博士の効果で果実3個をポイントトークン計3点に交換してきます。
そしてネズミたちのカエル大使もついに動き出します。「宿屋」と「大学」と赤のカードが2枚あるため、新たな川の行き先にカエル大使を送り込んできました。
まずは新しい場所に来たことでボーナスの真珠をゲット。あとはカードの条件(コスト)を満たせるかで追加の真珠が手に入るかどうかですが、果たして?
ネズミのカエル大使が水底で見つけたのは「Market(市場)」。魚たちが何やら商品を売り買いしてますね。
先に出た「水車小屋」と同じく「市場」もLocation(場所)タイプなので必要なコストは任意の資源とポイントトークン。さっきの私はポイントトークンが無く諦めざるを得ませんでしたが、ネズミには先ほど博士で手に入れたポイントトークンが。ポイントトークン1点と資源を支払い、追加の真珠1個、さらにカード3枚を手に入れました。ぐぐぐ、これがただの農村と大学のある近代的な街の文化の差か……!
真珠が2個になると記念碑の獲得も視野に入ってきます。一方のこちらは装飾品のプレイで使ってしまったので現在の真珠はゼロ。記念碑は早い者勝ちなのでできれば高得点を手に入れたい。そのための真珠を手に入れるにはカエル大使を戻す、つまり季節を進める必要がありますが……いや、ここで焦ってはダメだ。元々の予定通りまだ冬を続けるぞ。
ゲームも中盤?になり、各々プレイ方針もかなり絞られてきたようで、この辺りからゲーム進行も加速し始めます。私は広場から新カードの「橋」、次いで橋に対応した「メッセンジャー」をノーコストでプレイします。裁判官のおかげで小枝と果実で建設が進むのが良い感じ。
リスはこれまでに集めた資源を使って「Lookout(見晴らし台)」に「Resin Refinery(樹脂精製所)」と建物を連続して建造していきます。
ネズミはカエル大使を送り終えたところで「季節の準備」を実行。リスに続きネズミも季節が夏へと移り、カエル大使を含む全てのワーカーが回収されます。
さて、ここで私も日時計で得た資源もほぼ底を突きましたのでようやく季節を移すことに決めます。「季節の準備」を実行し、春の追加ワーカーと共にワーカーとカエル大使を手元に戻します。さらに春になったことで〝緑の生産〟カードの効果がまたもや起動。「農園x3」の効果で果実を3個、そして「小枝の艀」「艀のヒキガエル」の効果で小枝を合計で8個獲得! 日時計まで使ってここまで回し続けた甲斐があったというものです。
……とはいえ、手に入ったのは小枝と果実のみ。裁判官で1個は任意のコストを代用できるとはいえ、高コストな建物カードを出すには樹脂と小石が全く無いのはあまり良い状況ではありません。それに記念碑の建造には裁判官も使えません。ワーカーも戻ってきたので、また資源集めに走ってもらうとしましょう。
続いてリスは放浪者をプレイ(見晴らし台があるのでノーコスト)し、カードを補充。そして先ほどネズミが開けた川の行き先「市場」へとカエル大使を送り、真珠と共にさらにカードを補充してきます。
リスはこれで夏のワーカーも使い果たし、「季節の準備」を実行。リスは最後の秋へと季節を移動させます。秋になることで〝緑の生産〟カードの効果が起動、最初に配置していた「港」の効果も真珠2個でしっかり条件を満たし、たくさんの資源を獲得。こっちと違って樹脂や小石と貴重な資源が得られるのが羨ましいな……。
ネズミは残ってるワーカーで足りない資源を補充しつつ「Mine(坑道)」「General Store(雑貨屋)」を建設、さらに雑貨屋を作ったことで「Shopkeeper(店主)」を、坑道を作ったことで「Miner Mole(モグラの鉱夫)」をそれぞれノーコストでプレイ。上手いカードの組み合わせで少ないコストでカードを出しつつ、〝緑の生産〟系カードを増やして最後の秋に備えてきます。坑道と店主は直前の「季節の準備」で広場から回収していたカードなので狙っていたのでしょう。やりおる。
この中だと店主は〝緑の生産〟ではなく〝青の運営〟ですが、果実がコストである動物カードを出すと果実が得られるという使い勝手の良いカードです。
また、モグラの鉱夫の効果は「他の街にある〝緑の生産〟のカード効果をコピーする」というもの。ここでネズミはリスの街にある「港」を指定。ネズミも真珠を2個持ってますので任意の資源を2個ゲット。むむむ、なかなか上手いやり方だな……。この後で秋を迎えた時にも同じことができるので、大量かつ良い組み合わせの資源を手に入れてくる予感がします。気をつけねば。
さて、私はようやく春になり戻ってきたワーカーを早速再派遣して資源を集めつつカードをプレイしていきます。小枝と果実はたくさんあるので、ワーカーを使って足りない小石や樹脂を補充。そして街に「Dungeon(ダンジョン)」と「Clock Tower(時計台)」を建設します。
さらにカエル大使を再び水車小屋に派遣です。まだ未公開の青2枚が条件の行き先に派遣することもできましたが……既に公開された2箇所はどちらも〝Location(場所)〟なので、未公開の2箇所が〝Citizen(市民)〟なのは確定。市民はカードを要求してきますが、資源を得るために捨て札にしたこともあり現在の手札はゼロ。確実に条件を満たせないし、今回はカードを手に入れたいためカード補充ができる既存の場所に派遣です。
今度はメッセンジャーで得たポイントトークンがあるので取引条件をクリア。真珠1個とカード2枚を獲得、さらに真珠を手に入れたため「橋」の効果で追加で2枚ドロー。計4枚のカード、良いの来い!
……うーん、いまいちピンとくるカードが見当たりません。どうしようかな……。
私が頭を悩ませてる間に、最後の秋になったリスも戻ってきたワーカーで資源を集めます。『果実3個』に加え、自分の見晴らし台(任意の森の場所と同じ資源が入手できる)にもワーカーを派遣。私が占拠した場所も使って確実に資源を集めた後、まずは「Post Office(郵便局)」を建設。まだ資源は有り余ってるのでこれでは終わらないでしょうけど。
ネズミもカエル大使を再び川の「市場」に送り真珠とカードをゲット。
ここでネズミから「本当は小麦色の行き先に送りたかったけどカワウソにメッセンジャー取られたからなー」とのぼやきが。どうやら私が広場から取ったメッセンジャーを狙っていたようで、それを先に取っていれば〝小麦色の旅人〟2枚が条件になっている未公開の行き先にカエル大使を派遣できる予定だったようです。ふふふ、残念だったな。
続く私はここで「Castle(城)」をプレイ! これまで低得点のカードばかりプレイしてきて街も埋まり始めたので、そろそろ高得点のカードのプレイに切り替えて点数を稼ぐ狙いです。ただ、高いコストを払うべく橋にいたメッセンジャーをさっき建造したダンジョンに送ることに(ダンジョンは街の動物カードを裏にしてダンジョンに入れることでプレイ時のコストを下げられる)。ありがとうメッセンジャー。
ここからゲームは一気に終盤戦の様相へ。
リスは郵便局を使って「Postal Pigeon(郵便屋の鳩)」をプレイ。鳩は山から2枚のカードを表にし、3点以下のカードをノーコストでプレイできる効果を持ちます。このチャンスにリスは3点の「Theater(劇場)」を引き当て街に追加。ぐぬぬ、運の良いやつめ。
さらに女王にワーカーを送り農園をノーコストでプレイ。そして農園があることで「Husband(夫)」もノーコストでプレイしてきます。ここに来て資源を使わず一気に4枚も街が増えました。
一方のネズミはこの季節最後のワーカーを大学に送り宿屋を破壊します(大学の効果は街のカードを捨て札にすることでカードのコストだった資源+任意の資源+ポイントトークンを獲得)。宿屋の力で建設された大学なのに、大学の力で潰された宿屋……文化の発展に犠牲は付き物ということでしょうか……(違う)
冗談はさておき、これで資源を回収したネズミは最後にメッセンジャーをプレイし、「季節の準備」を実行。こちらも最後の季節、秋へと移ります。
秋に移ったところで増えていた〝緑の生産〟系カードの効果が発動。大量の資源に加え、博士によるポイントも着実に獲得していきます。資源を見ると小枝・樹脂・小石・果実・真珠を3個ずつ並べて……ん?
げ!? 各資源3個ずつって最高得点(25点)の記念碑「Starfall’s Flame(星降りの灯火)」が建てられるじゃん!?
しかもワーカーが戻ったところなので今から追い上げて掻っ攫うことはほぼ不可能。チラッとネズミのプレイヤーの顔を見ればわずかにドヤ顔してる気がする。ぐぎぎ、25点は諦めるしか無いか……次点の20点の記念碑を狙おう。
そんな悔しい気持ちを抱きつつ、私は私で練り上げた戦略を実行に移します。まずはワーカーを『Haven(安息地)』に配置し、先ほど引いて微妙だった4枚のカード、手札全てを捨て札にして資源に変えます。
これで手札もワーカーもなくなったところで「季節の準備」を実行、季節を夏に移行します。夏に移行したタイミングは広場から2枚カードを引けますが……ここで私は「港」と「海賊船」をチョイスし手札に加えます。
これにはリスのプレイヤーもネズミのプレイヤーも「?」という顔。実際、どちらもあまり今の状況で役に立つカードでは無いのですが——〝役に立ちにくい〟からこそ選んだカードなのです。
その次の手番で私はワーカーをリスの街にある「郵便局」に送り込みます。
郵便局は手札2枚を対戦相手に渡した後、手札を上限まで補充する効果を持ち、『OPEN』なので他のプレイヤーもワーカーを配置することが可能です。私は先ほど広場から引いた〝役に立ちにくそうな〟港と海賊船のカードをリスに押し付け渡し、手札を上限まで補充。私は「橋」の効果で手札上限が増えているため、一気に9枚のカードをドロー。これには他プレイヤーも「あー、なるほど!」とちょっと感嘆した様子。どやー。
これで有利な状況を作ることはできましたが……この時点では点数が増えたわけではありません。他プレイヤーも驚きはしたものの各自点数を伸ばすべく行動は続きます。
リスはワーカーで樹脂と小石を獲得。ネズミは他のプレイヤーはまだ記念碑の建造はできないと後回しにしてカエル大使を〝小麦色の旅人〟2枚が条件の川の行き先へ送ります。新しい場所なのでまずはボーナスで真珠を獲得。そしてカードを表にします。
出てきたのは「Bosley The Artist(芸術家のボズレー)」。カニさんが石に絵を描いてますね。要求は異なる色のカード3枚を捨て札にすること。ちゃんと手札を貯めていたネズミは要求をクリア、ボーナスを合わせて真珠2個とポイントトークン1点を獲得します。
ちなみに名前の「Bosley」ですが、エバーデールのイラスト担当、Andrew Bosleyさんの名前から取ったっぽいです。とても幻想的で雰囲気たっぷりのイラストをありがとうございます。
私も記念碑を建てるべく負けじと資源を集めます。カードは大量に集まったので捨て札にして資源に。小枝は2個ですが、樹脂・小石は3個になりました。「星降りの灯火」には足りませんが、それはどうせ取れないので無視。次点の「Sunblaze Bridge(陽光輝く橋)」を取るべく、あとは真珠を集めるだけです。(現在の真珠は1個)
続くリスは再び市場へカエル大使を派遣します。水車小屋も条件は満たしてますが、内容は市場の方が完全に上位互換ですからね……。これでリスもカードを引きつつ真珠を1個獲得です。
ネズミは周りが資源を集めてきたのを見てそろそろ危ないと思ったのか、ついに記念碑の建造へ。建造するのは当然最高得点の「星降りの灯火」です。
最高得点の記念碑は取られてしまいましたが、私も記念碑を建造すべくまだ未公開の行き先、〝青の運営〟2枚が条件の川へとカエル大使を送ります。まずはボーナスで真珠1個を獲得(ついでに「橋」の効果でカードを2枚ドロー)。ここで内容不明の要求をクリアできれば追加で真珠を獲得、真珠3個で次の手番で20点の「陽光輝く橋」を建造できます。最後のカードは〝Citizen(市民)〟なので要求は確実にカード。手札が大量にある私なら問題ないはず……!
出会ったのは「Iluminor The Inventor(発明家のイルミナ)」。イルミネーション好きのウツボでしょうか。
要求は〝小麦色の旅人〟2枚——危ねえ! 直前の「橋」の効果で引いたカードと合わせて2枚しかなかった!引けてなかったら要求を満たせないところだった……救われたぜ。
そして次はリスの手番。リスはそのワーカーを「陽光輝く橋」の場所へ配置——え?
げぇ!? 先にリスに取られた!?
……完全に油断してました。リスもしっかり真珠と資源を貯めていて、一手先に取られてしまいました。これは手痛い失敗です。
悔しいですが取られたものは仕方なし。ネズミが装飾品の「Bell(ベル)」を出すのを横目に、私は大人しくもうワンランク下の「Mistrise Fountain(霧立ち昇る噴水)」を建築します。
これで記念碑の取り合いは終わりでしょう。スペシャルイベントはカードの巡り的に誰も達成しそうな見込みは無く、ここからは各々自分の点数を高めるべく行動を続けます。
リスは既にワーカーを使い切っていて残りはできる限りカードをプレイするだけ。手元の資源は果実しかないので動物カードのプレイで高得点を目指すようです。
まずは再び「郵便屋の鳩」をプレイ。また3点のカードを引き当てることを願いますが、高得点は出ず1点の「雑貨屋」が追加。続いて「Teacher(先生)」をプレイしてカードを補充しつつ2点を追加します。
さらに拡張の新カード、「Shipwright(船大工)」をプレイ。イラストだけ見ると建物カードっぽいですが動物カードです。姿が小さいのでわかりにくいですが、動物はビーバーですかね? ビーバーといえばダム作りで有名ですし、大工が似合います。
通常なら果実4個のコストのところを、「港」があるためノーコスト。〝紫の繁栄〟のカードで、効果は「街にあるPearlbrook拡張のカード1枚につきボーナス1点」です。リスの街には拡張のカードは少ないですが、それでも確実に点数を増やしてきます。
最後は「Bard(吟遊詩人)」をプレイ。手札全て、4枚を捨て札にして4点を獲得。これでリスは手札・ワーカーを全て使い切り全ての手番が終了です。なんだかんだ最後は街の上限である15枚をきっちり埋めてきました。
(ちなみに「Bard」は吟遊詩人で、鳥は「Bird」。英語違うんですねー)
一方のネズミ。こちらも季節は秋になっているものの、まだワーカーも残っています。「星降りの灯火」を建てて果実以外の資源は一気に減りましたが、まだ伸び代はありそうです。
まずは残っていた資源で「Cemetery(共同墓地)」をプレイ。共同墓地はワーカーを置くことで山から4枚のカードを表にし、1枚をノーコストでプレイできるもの。ただし置いたワーカーは季節が変わっても手元に戻って来なくなるのですが……秋では関係ないですね。
さらに「Historian(歴史学者)」「Undertaker(葬儀屋)」「Ranger(レンジャー/自然保護官)」と立て続けに動物カードをプレイします。中でも葬儀屋は共同墓地があるためノーコストかつ広場からカードを引くことができ、歴史学者の効果と合わせてプレイした分以上にカードを補充。さらにレンジャーではワーカーを動かして資源をゲットと怒涛の勢いで街を拡充していきます。
そしてワーカー1匹を共同墓地に生贄として送り、4枚のカードをオープン。高得点のカードのプレイを狙いますが……?
山札から登場したのはお馴染みの農園に「Wife(妻)」と「Husband(夫)」のセット。農園に住む夫婦ですかね?
ネズミのプレイヤーは「俺にはこの夫婦を引き離すなんてできない!」と言いながら、もう1枚の「School(学校)」を街にプレイ。農園と夫婦のセットは仲良く捨て札行きになりました。なんかカッコつけて言ってますが、実際は学校が一番点数が高くなるっていう合理的な選択をしただけなんだよなぁ……。
まだ夏真っ盛りの私はまずネズミと同じ歴史学者をプレイ。カードをプレイするたびにカードを引けるようにすることで高得点のカードの入手とプレイを狙います。
ここで私はシンキングタイムに。現在の真珠は1個で、次の秋でカエル大使を川に派遣して1個増えるので、使える真珠は合計2個。考えるべきはこの真珠の使い道です。
今考えられる使い道は2つ。Ever Treeの下にはまだ取られていない最後の記念碑「Hopewatch Gate(希望見守る門)」があり、真珠を2個使って10点に。それと私の手元にはもう1枚の装飾品「Gilded Book(金塗りの本)」があり、これはプレイするには真珠1個が必要です。2個の真珠では両方は選べません。
冒頭でも述べましたが、金塗りの本はプレイ時に〝青の運営〟カード1枚のコストの資源を獲得し、〝青の運営〟の枚数だけ点数になる装飾品。当初こそめぼしいカードが無かったので選択肢から外していましたが、現在では街の〝青の運営〟は5枚。これで資源が手に入って高得点のカードがプレイできれば総合的に記念碑を取るよりも高得点になる可能性は十分にあります。
でも確率高いとは言っても運次第なんだよなぁ……と自分の運を信じられない私はしばし悩み——そして決断します。
「どうせなら賭けるなら両方取れる可能性に賭ける!」
私は広場に残り続けていた「海賊」をプレイ。海賊は数少ないカエル大使以外で真珠を手に入れられる可能性のあるカード。手札から最大4枚のカードを捨て札にして同数のカードを山札から引き、引いたカードの点数の合計が7以上なら真珠を獲得できます。つまり運試し。
得意じゃない運試しですが、もしこれで成功すれば記念碑の建造と装飾品のプレイが両方でき、かなりの得点アップが期待できます。カモノハシ船長、頼む! 4枚を捨て札にして、山札から表にした4枚のカードは——。
……うん、まあ、やっぱり運試しなんてそんなもんですよね。
4枚の合計は5点で残念ながら真珠は獲得ならず。単純に手札を入れ替えただけで終わりです。
ですが、ここで挫けてる暇はありません。私の街の残りスペースは4枚。少しでも高得点になるように配置するカードは考えていきましょう。
私は手札から捨て札にすることで建物カードのコストを下げられる「Crane(クレーン)」をプレイ。「宿屋の主人」の建物カード版ですね。そして先ほど海賊の効果で手札にやってきた「大学」を「クレーン」を捨て札にすることでノーコストでプレイします。
そして新たに配置した大学にワーカーを送り、街にある「ダンジョン」を捨て札にして資源を得ます。資源を得るのもそうですが、ダンジョンは0点で点数にならないので取り壊してスペースを空ける作戦です。
ダンジョンが無くなって空いたスペースには「Husband(夫)」をプレイ。人畜無害な見た目をしてますが点数は2点と意外と高得点なんですよね。しかも農園があるのでノーコストです。やっぱり食料は大切ということか。奥さんがいなくてすまんな……。
さて、ここで広場を見ると「Monk(修道士)」の姿が。修道士はカードの点数は0点ですが、手持ちの果実を他プレイヤーに渡すことで1個につき2点(最大2個の4点)を獲得できます。私の街には農園が多く、次の秋になればたくさんの果実が手に入ります。点数アップには良さそうです。今は果実1個だけですけど……。
そこで私は再び手札から「クレーン」を出し、その効果で広場の農園をプレイして果実を獲得。その果実を使って広場の修道士を街にプレイします。これで修道士のプレイに果実1個を使っても残る1個を他プレイヤーに渡し、2点獲得です。
さて、一方のネズミも街には既に14枚のカードが埋まり、残る街のスペースは1つだけ。最後の1枚まで点数を上げるべく苦心してきます。
残るワーカーでいくつか建築資源を集めた後、大学にワーカーを送り「雑貨屋」(1点)を捨て札に。それで空いたスペースに「Palace(宮殿)」を建築してきました。通常でも4点と高得点な上、〝紫の繁栄〟カードの効果として街にある『Unique Construction(特別な建物)』の数だけ追加でボーナス点がもらえるもの。ネズミの街は特別な建物は多くはなさそうですが、それでも数点のボーナスは確実です。
そして最後のワーカーを再び「共同墓地」に送り、再び高得点カードのノーコストプレイを狙ってきます。表にした4枚からネズミが選んだのは「Wife(妻)」。通常は2点ですが「夫」のカードとペアになると+3点、合計5点になる〝紫の繁栄〟のカードです。ぐぐ、良いカードを引いたな。さっきは見捨ててたのに。とはいえ夫がいなければただの2点だし、そこまで脅威ではないはず。これで街の15枚も埋まったし。
ここでネズミは1個残っていた真珠を使って2枚目の装飾品をプレイしてきます。出てきたのは「Tiara(ティアラ)」です。
効果はプレイ時に街にある〝紫の繁栄〟1枚につき1個の資源を獲得し、ゲーム終了時には〝紫の繁栄〟1枚につき1点のボーナス点を与えるもの。「紫のカードが全然出なくて困ってたけどようやく使える!」とネズミ。確かに直前までは〝紫の繁栄〟カードはほとんど無かったのに、ここにきて「学校」「宮殿」「妻」と3枚に増えてます。
ティアラの効果で3個の資源——果実3個を獲得したネズミは、手札から「夫」をプレイ。ネズミの街は既に15枚埋まってますが、夫と妻は1枚のスペースに2枚一緒に置くことができます。
……ってこれで「妻」が5点になったか! ぐぐぐ、最後の最後にかなり点数上げてきたな……。
とはいえ、これでネズミもワーカーを使い切り街も埋まったことで手番は終了。点数を数えつつリスと共に、私(カワウソ)の手番が全て終わるのを待つことに。
残りは私一人。終わりに向けてできるだけ点数を稼ぐべく自由にプレイを進めていきます。
まずはカードをプレイしている途中で歴史学者の効果で引いたカードから見つけた「妻」をプレイ、既にいる「夫」に重ねます。農園はたくさんあるのでこっちもノーコスト。ちゃんと一緒に農園仕事してくれる奥さん見つけてきてやったぞ。
さらに「宿屋の主人」を再びプレイ(果実が無いのは裁判官の効果で小石で代用)した後、その効果で「Woodcarver(木彫刻師)」をプレイ。自身が2点を持つ上に小枝を支払うことで1個につき1点(最大3個)が獲得できます。とはいえ、今は小枝を持っていないのでボーナス点は無し。
さて、ここで私もワーカーも使い切り街も15枚埋まりました。資源もほぼ枯渇してできることがなくなったので……「次の季節の準備」を実行です! 私はまだ次の秋があるのだ!
秋になるので〝緑の生産〟カードの効果が再起動。4枚もある「農園」の効果で果実を、「小枝の艀」と「艀のヒキガエル」の効果で大量の小枝を獲得。さらに修道士と木彫刻師の効果で手に入れた果実と小枝を点数に変換、合計7点のポイントトークンをゲットします。
そして派遣してたワーカーとカエル大使、そしてずっと待ち続けていた秋のワーカー2匹を手元に戻し、最後の秋の行動を開始です。
まずはカエル大使を派遣して真珠を取りに行きます。市場は埋まってるのでまたもや水車小屋へ。4回中3回も水車小屋へ行ったなあ。現地の住民ともすっかり顔馴染みになったことでしょう。
小枝もポイントトークンもあるので無事に取引成立。カード2枚と真珠を獲得します。さて、手に入れたカードは……?
「King(王様)」がいる!
王様は4点の高得点カード。本来のコストは果実6個と高いですが、私は「城」があるのでノーコストでプレイできます。とはいえ、今のままでは街のスペースが埋まってるので王様の居場所がありませんね……。
そこでワーカーを大学に派遣。修道士に街から退いてもらいます。木彫刻師と違って修道士はカード自体の点数は0点だからね……ごめんね……。
修道士がいなくなって空いたスペースに王様をプレイ。ようこそおいでくださいました。お城を作っておいた甲斐があったというものです。
さて、街をどうにかするのはこれが限界でしょう。しかしまだワーカー5匹も手札も余っています。そこで今ある手札を点数に変えるべくワーカーを『旅』に出すことに。手札が9枚あるので5枚と2枚を持って2匹のワーカーを旅立たせます。
手札を2枚余らせましたが……ここでワーカーを再びリスの街の「郵便局」に派遣、残った2枚の手札を渡し、手札を上限まで補充します。真珠が2個あるのでなんと10枚補充。
まあここまであっても意味はないんですけどね。残り2匹のワーカーの1匹を4点の旅スペースに送り、4枚を捨て札に。
そして最後の1匹ですが……忘れてはいけない、記念碑建造。2個の真珠と各種資源1個ずつ、カード2枚を捨てて「Hopewatch Gate(希望見守る門)」の建設スペースにワーカーを送ります。
これで私もワーカーを使い切り、プレイできるカードも無くなったので手番終了。リスとネズミを大変待たせましたが、ようやくゲーム終了、点数計算です。
さて、最終の得点計算です。他の資源と違い真珠は余っていれば1個2点。基本からある街のカード、ポイントトークン、旅スペース、〝紫の繁栄〟ボーナスの得点に加え、拡張の新要素である記念碑と装飾品のボーナス点を合わせて——最終結果はこちら!
- カワウソ:91点
- ネズミ:76点
- リス:55点
91点で私の勝利! 俺の街が一番だー!
プレイ後の感想
拡張を加えての初プレイ……といってもエバーデール自体が以前記事を書いた時以来のプレイでした。雰囲気は覚えてましたけど、どんなプレイングが良いかとかはほとんど覚えてなかったですね(笑)。
今回は最初の手札の運が良かったこともあり、かなり自由にプレイさせてもらいました。まさか他二人のプレイが完全に終わった後に秋を迎えることになるとは思わなかったです(笑)。おかげで最後の秋は「ずっと俺のターン!」状態でした。結果的に待たせることになったのはごめんねー。
「橋」の手札上限アップと「郵便局」の上限まで手札補充のコンボで大量のカードを引いては捨てたおかげで、拡張で増えたはずの山札が3人ゲームにも関わらずほとんど使い切られました(笑)。
さて、遊んだ感想に移りましょう。まずはゲームルール部分の感想を。
拡張『Pearlbrook』を加えたことで感じたことは、「真珠の入手と記念碑の建造が勝敗にかなり影響する」ことと、それに伴って「季節を変えるタイミングの重要性が高くなった」というところでしょうか。
記念碑(英語版ではWonder)は通常の基本イベントと置き換わる形で置かれます。基本イベントは全て1個3点だったのに対し、記念碑は最低でも10点〜最大で25点です。もちろん支払うコストも段違い(そもそも基本イベントは条件があるだけでコストはなかった)ですが、1匹のワーカー配置で手に入る得点が大きく異なるので、基本イベントと異なり記念碑の建造は勝敗に直結する可能性があります。
でも「じゃあ記念碑だけが重要なゲームになったの?」と聞かれれば答えはNOです。記念碑を建てることは重要ですが、高得点の記念碑を建てれば勝てるゲームにはなっていません。
1個の記念碑を建造するには真珠が2〜3個必要ですが、本拡張で導入された真珠の入手方法は非常に限られています。
前述のプレイ記でも出た「海賊」の効果などほんの一部の例外を除けば、真珠を入手できるのはカエル大使を川に送った時のみ。そして一度の派遣で手に入る真珠は原則1個、運が良くて2個(初めての行き先+公開された条件を達成した場合のみ)です。
そしてカエル大使は各チームに1匹しかいないため、一度派遣したら季節を進めて手元に戻さないと再びは使えません(ちなみにカエル大使はワーカーではないのでワーカーを再使用する系の効果は受け付けないです)。そのため手に入る真珠は各季節に1〜2個、季節は4回あるのでゲーム中に最大でも8個……現実的には4〜5個程度でしょう。真珠の使い道は『記念碑』だけでなく『装飾品』もあることを考えれば、複数の記念碑の建造は難しいと考えられます。(上のプレイ記では運良く2個建造しましたが……)
『エバーデール』はワーカープレースメント(コマを置いた場所に応じてできることが決まる、同じ場所には置けないので場所の取り合いになる)系のゲームですが、相手の邪魔をしてもあまり得にならない(というかあんまり邪魔できない)ため相手の動向は見ても基本的には自分の点数のことだけを考えてプレイできるゲームです。そのため基本のエバーデールでは「季節の準備」はワーカーを戻して次のアクションを取れるようにするための手段であり、また春と秋になる時は〝緑の生産〟の効果が起動することを考えれば、基本的に「季節の準備」を急ぐ理由は特に無い——今回の私のように季節を進めずにカード効果で回せるなら回した方が強い場合が多いと思います。従来の基本イベントもそれぞれを取るのは早い者勝ちですが、どれを取っても点数は変わらないので仮に取れる数が変わらなければ急ぐ必要もありません。
しかし今回の記念碑は取る物によって点数が大きく異なります(コストも違いますが)。そのため従来の基本イベント以上に「先に確保する」ことが重要です。しかし、そのために真珠をたくさん集めるにはカエル大使を何度も派遣しないといけない……つまり「季節を早く進めて真珠を早く集める」という選択肢が現れたのでは、と感じました。それが最初に書いた「季節を変えるタイミングの重要性が高くなった」という感想の元です。
また、真珠を多く手に入れるにはまだ未公開の川の行き先にカエル大使を派遣して、かつその場で公開された取引条件を満たせなければなりません。これも他の人よりも〝先に〟カエル大使を送らなければいけないので季節を早く進める理由になり得ます。
ただし。川にカエル大使を送るには街に各色のカードが2〜3枚あることが条件です(これは基本イベントのアップグレード版をイメージしてるからですかね)。なので闇雲に早く季節を進めてもダメ。さらに言えば闇雲に季節を進めると〝緑の生産〟の効果が活用できず、街が育ち切らずにゲームを終える可能性も出てきます。そうなると高得点の記念碑を建造しても街の点数で伸び悩み負け、という結果もあるでしょう。
でも、季節を進めずにカードが回せるからといってやり過ぎると高得点の記念碑を取られて、街の点数は伸びても記念碑の点数の差で負ける、ということもあり得ます。今回のプレイ記でも1位のカワウソ(私)と2位のネズミの点差は15点。今回は3人ゲームだったので10点と15点の記念碑を両方取ることができ、記念碑の合計点数としてはネズミと同じ25点にできましたが、もし4人ゲームで15点の記念碑も他のプレイヤーに取られていた場合、私の点数は-15点されて76点、2位のネズミと同点になってしまいます。さらに4人目のプレイヤーに秋しか使えない「旅」のスペースも取られていたりすればもっと減っていた可能性もあるでしょう。(さすがに残りの装飾品を使ったりで1位は守れたと思いますが……)
他にも、追加された通常の動物・建物カードにも真珠が手元にあることで効果を発揮するものがあったり、強力なプレイ時効果を持つ装飾品のプレイにも真珠を使います。記念碑はあくまで高得点になるだけで有利な効果等はありませんので、「どの季節でどこまで頑張るか?」「記念碑の建造を急ぐか? 装飾品のプレイやカード効果に使って街の発展を優先させるか?」といった悩み(選択肢)が貴重な真珠の存在によって増してきます。「未公開の川の行き先に最初に行けそうなのは誰だ?」「誰がどの記念碑を取れそうだ?」といった他人の動向を見て考えることの重要性が増したことは、よりゲーム性を高めたように思います。
先に述べたように『エバーデール』はあまり互いに邪魔し合うゲームではなくマラソンのように各自の頑張りを競うゲームで、この拡張を追加してもそれは変わりません。ただ、この「真珠と記念碑の重要性」と「真珠の獲得には1匹しかいないカエル大使が必要」という点が基本のみのエバーデールよりも〝他者の存在〟を感じさせやすくなり、実際のマラソンと同じようにより〝他者と競う〟ゲームに変化したな、という風に感じたところです。
一応ゲーマー的に思う難点を強いてあげるなら「運要素が増えた」と感じるところでしょうか。一度に2個の真珠を手に入れるには未公開の川の行き先で要求を満たさなければいけないですが、要求が不明な以上できるかは運次第。後半なら住民か場所かの予想くらいはできますが、最初とかは予想不能な完全なランダムですからね。特に最初の冬でカエル大使を使えるかは初期手札でかなり左右されそうなので、その辺りの運が悪いと出遅れることはあると思います。
とはいえ、理不尽に感じるほどの運要素ではないと思います。基本の『エバーデール』の時点でカード引きの運は必要なゲームになってますからね。拡張された要素でも同程度の運次第な側面がありますよ、というくらいです。
こんな感じでよりゲーマー向けのルールになったイメージなので、ゲームに慣れた人同士で遊ぶならぜひ導入してほしい拡張です。
——さて、長々と書きましたがルール部分の感想はここまで。この拡張の素晴らしさはルールだけではありません。
ここまでの画像を見ていただけば言わずともわかると思いますが、追加された川ボードは基本のボードにイラストも含めてちゃんとくっつくようになっていて、まさに『Everdellの世界』が拡張されたという雰囲気が素晴らしい。
新しいコマであるカエルの造形も良いし、新たなカワウソのワーカーも可愛い。追加資源の真珠も光沢があってキレイですし、川の行き先カードに描かれた水の住民たちのイラストはこれまでと同じテイストの絵柄なのに、地上とは違った世界を感じさせてくれる丁寧なイラストで、水底の文明への想像をかき立てられます。
記念碑(Wonder)も街に置くと「これがうちの街のシンボルです!」という感じで街が映えますね。インスタ映え……まではしませんが、カードだけの街よりもさらに愛着が湧いてきます(基本イベントもタイルでしたけど)。基本イベントの部分を記念碑タイルを獲得する場所にアップグレードするための紙も元のイラストにぴったり合うように作られていて、いかに作り手が〝世界観〟を大切にしてるかが伝わってくるようです。まさに「ゲーム」の拡張であると同時に、「世界観」の拡張でもあると思えます。
……すっかり長く書いてしまいました。そろそろ終わりにしましょう。
まずは基本の『エバーデール』で遊んで、「面白い!」「もっと楽しみたい!」と思ったのならぜひ導入してほしい拡張でした。初プレイで導入するとちょっとルールが複雑になると思うので、まずは基本で遊んでからがオススメですかね。
というわけで、『Everdell』の第一弾拡張『Everdell: Pearlbrook』のファーストインプレッションでした! 日本語版もこの文章を書いてる時には既に発売されてますので、ぜひ購入して遊んでみてくださいね! 水底の住民たちとの出会いをお楽しみに!
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