『ニュクトフォビア 完全日本語版』をプレイ! 暗闇の森を手探りで進み、殺人鬼の魔の手から逃げのびろ。本当にプレイヤーが〝暗闇〟を体験する恐怖のホラーテイスト鬼ごっこゲーム!

君は殺人鬼の魔の手から逃げ延びることができるか?

ゲームマーケット2019秋で先行販売していた『ニュクトフォビア』を初プレイしたので、そのファーストインプレッションをご紹介!

ニュクトフォビアとは?

ゲーム概要

「えーっと、北が樹木で……」「な、なあ。殺人鬼来てないよな?」
  • ゲームデザイナー:Catherine Stippele
  • イラストレーター:Peter Wocken
  • パブリッシャー:アークライト(日本語版)、Pandasaurus Games(原語版)
  • 発売年:2020年(日本語版)、2018年(原語版)
  • プレイ人数:3〜5人
  • プレイ時間:30〜45分
  • 対象年齢:9才〜

——真っ暗闇の森の中。自分がどこにいるのかもわからない暗黒。いや、自分が本当に〝ここ〟に立っているのかさえ、もはや信じられなくなってきている。
ついさっきまで、僕と友人たちはただキャンプを楽しんでいただけのはずだ。なのに、なぜ皆バラバラにはぐれているんだ? なぜ僕は暗闇の森を彷徨っているんだ? そしてなぜ——僕の目の前には、血塗られた斧を振り下ろそうとする男がいるn——。

***

『ニュクトフォビア』(原題:Nyctophobia)は暗闇の森の中で殺人鬼に追われる逃走者となり、手探りで森を捜索し、誰かが命を落とす前に車を見つけ救援を呼んで森から脱出することを目指す、ホラーテイストの鬼ごっこゲームです。2〜4人のプレイヤーが逃走者として協力して暗闇の森を脱出することを目指すのに対し、プレイヤーの1人は殺人鬼として逃走者を追い回し、その命を狙います。

「暗闇の森って言っても、所詮ボードゲームでしょ?そんなに怖くならないよ」と思ったあなた!
このゲームでは逃走者となるプレイヤーたちは実際に暗闇の世界へと誘われるのです。

それを実現するのがこちら!

暗闇メガネ

「暗闇メガネ」。
パッと見はサングラスっぽいですが、実際は完全な黒。透過率ゼロの目隠しメガネです。逃走者となるプレイヤーはこれを付けることで、本当に何も見えない状態でゲームをプレイすることになります。

かけると完全に視界が塞がれます。

何も見えない状態でどうやって遊ぶのか、ですか?
いえいえ、全員が何も見えないわけじゃありません。プレイヤーの中の1人は逃走者とは別の進行役としてゲームに参加し、暗闇にいる逃走者たちを導く役を果たします。

暗闇にいる逃走者たちは、進行役の指示に従いながら指先で実際に盤面を触ることで自分の周囲の状況を把握し移動していくのです。そして、指先で得た盤面の情報を他の逃走者たちと言葉で共有します。バラバラにはぐれてはいますが、逃走者たちは言葉で情報をやり取りしながら救援を呼ぶべく森の中にある車を探すことになります。

「俺は北のほうにいるみたいだ。西に道があるからそっちに行くよ」「東側に車は無さそうね。もっと南の方を見てくるわ」

しかし、この森にはそんな逃走者たちの命を脅かす存在がいます。斧を持った血に飢えた狂人、もしくはバケモノのような魔術師——そう、殺人鬼です。そして、この殺人鬼は進行役が兼任します。つまり、1人のプレイヤーは進行役として暗闇にいる逃走者を正しく導くと同時に、殺人鬼として逃走者たちの命を脅かす存在にもなるのです。

血に飢えた狂人か、人智を超えた力を操る魔術師か。どちらにせよ危険な殺人鬼なのは間違いない。

殺人鬼は逃走者たちが出す音や近くの気配に応じて移動していきます。そして暗闇の中、逃走者の隣に来た殺人鬼は容赦無く逃走者に襲いかかります。殺人鬼に襲撃された逃走者は一回目は怪我を負いながらも退避することができますが、もし二回目の襲撃に遭えばその命を落とすことになるでしょう。

逃走者のHPを表すトークンは心臓。この2つが無くなった時、命も亡くなります。

逃走者は石つぶてをぶつけることで殺人鬼に怪我を負わせ一時的に足止めすることもできますが、一時しのぎにしかなりません。生き残る術はただ一つ、殺される前に救援を呼び、逃げることだけです。

ゲームは逃走者の誰かが車にたどり着き、救援が来るまで全員生きていれば逃走者たちの勝利。その前に殺人鬼によって逃走者の誰か一人でも命を落としてしまった場合は殺人鬼の勝利となります。

逃走者が目指す車。ここに到着すれば救援が呼べるぞ!
車に到着! でも殺人鬼もそこまで迫っている。生き延びられるのか?

ゲームの流れ

主にゲームに使うのは8×8マスのゲーム盤、ゲーム盤の上に森の迷路を形作る樹木の壁、各逃走者および殺人鬼のコマとゴール地点になる車のコマです。その他いくつかのトークンや殺人鬼の行動を決めるカードセットなども使用します。

ゲームに使うボードとコマ類。コマはみんな白色です。どうせ逃走者には見えないので。

まず逃走者となる2〜4人のプレイヤーは、暗闇メガネと自分の逃走者コマ(+カード)とHPトークン2個を受け取ります。このたった2個のHPトークンを失った時、帰らぬ人となるのです。加えて石つぶてマーカー1個とキャラクターカードを受け取ります。キャラクターカードは石つぶて無しで反撃ができる「ボクサー」や樹木を乗り越えられる「登山家」など、各自が固有の能力を持ちます。

逃走者セット

同時に机の上にゲーム盤を準備しましょう。盤面の四方には東西南北のカードを置き、ゲーム上での方角を決めます。盤面に対して斜めに座ると方角がわかりにくくなるので、各プレイヤーは四角い盤面の四辺に位置するように座るのがオススメです。

東西南北のカードを設置。ゲーム中は実際の方角ではなく、このカードの方角で会話しよう。
こんな感じでゲーム盤の各辺にプレイヤーが座るようにしましょう。でも机の上に乗るのはやめましょうね?

まだ実際のマップは作りません。その前に逃走者たちは自分のコマの形状をしっかり触って確認します。各逃走者コマは十文字形や三角形などコマの上部に固有の凹凸が作られています。これをしっかり目と指で確認しましょう。それと各プレイヤーから見たゲーム盤での方角もしっかりと確認しておきましょう。

逃走者コマは固有の凹凸を持っている。指の感触をしっかり確かめよう。

確認が終わったら暗闇メガネを掛けます。これ以降、逃走者たちはゲームが終わるその時までメガネを外すことは許されません。ちょっとでも盤面が見えてしまったら面白く無くなってしまうので、隙間などから見てしまわないように気をつけましょう。
もしも途中でどうしてもトイレに行きたいなどがあれば、進行役の人に言って盤面を見ないように気をつけて行動してくださいね。

さて、逃走者たちが暗闇の世界に入ったのを確認したら進行役兼殺人鬼の準備です。まずはゲーム盤にマップを作ります。マスとマスの間に樹木の壁を置いて逃走者たちが迷い込む森を作ります。その後、プレイヤーたちの逃走者コマと殺人鬼コマ、そして車を森の中に配置します。また、[プレイヤー人数-1]個の石つぶてマーカーを森の中に適当にばら撒いて配置します。

こんな感じの森を作り、コマを配置したらセットアップ完了です。

これでゲーム盤のセットアップは完了です。ルールブックにはシナリオとしてこのセットアップ例が4種類掲載されているので、初めはそれを使用すると便利です。ちなみに本家(パンダザウルスゲームズ)のホームページには追加シナリオも掲載されているみたいですよ。

もう一つ、殺人鬼プレイヤーは使用する殺人鬼カードを選びます。殺人鬼には「狂人」と「魔術師」があり、殺人鬼の行動を決めるカードの内容が異なります。「狂人」は斧を持ち、時に樹木を破壊しながらもシンプルに自ら逃走者のところへと移動していくのに対し、「魔術師」は催眠術で逃走者を動かす、幻覚により道を変化させる、魔術によって方角を変える(ゲーム盤を回す)、果ては2つのコマの位置を入れ替えるなど、非常にトリッキーな行動が可能です。初プレイには「狂人」が良いと思いますが、「魔術師」もゲーム慣れしたら楽しそうではあります。

狂人セット(左)と魔術師セット(右)。初めはシンプルな狂人セットの方がいいかな?

使用する殺人鬼のカードを選んだら手札として2枚のカードを引きます。最後に、進行役のプレイヤーは車の存在する方角について何らかのヒントを逃走者に与え(「北半分に車がある」など)、ゲームスタートです。

殺人鬼プレイヤーの左隣の逃走者から時計回りに手番を進めます。逃走者が全員行動する→殺人鬼が行動するを繰り返していきます。(ただし逃走者が4人いる場合は、逃走者2人が行動→殺人鬼が行動→残りの逃走者2人が行動→殺人鬼が行動、と1周の間に殺人鬼が2回行動します)

手番の逃走者は以下の行動を行います。

  • 捜索と2マス移動
  • アクション

まず手番になった逃走者プレイヤーは片手の人差し指を前に出します。進行役のプレイヤーはその手を取って、人差し指がそのプレイヤーの逃走者コマに触れるように誘導します。

逃走者プレイヤーに人差し指を出してもらって……。
コマのところに指を置くように誘導します。

その後、「捜索」として自分のコマに隣接したマス(斜め不可)を指で調べることができます。これによって樹木で区切られたところと移動できる空いたマスを調べます。
捜索後、逃走者は必ず2マスの移動をしなければなりません。空いたマスの方向に1マス移動し、また捜索を行ないます。そして再び空いたマスに移動します。移動後には再度捜索もできます。これで捜索と移動は終了です。

捜索中。「西側は何もなし……と」

ただし、この移動中に殺人鬼と隣接してしまった場合、即座に殺人鬼に襲撃されます。襲撃については後述しますが、殺人鬼と出会わないように注意して移動しましょう。

アクションは2マス移動の前か後に1回だけ行なうことができます。できることは以下の通り。

  • ダッシュ
  • 潜伏
  • 投石
  • 救援要請

ダッシュアクションは2マスの通常移動に加えてさらに1マス移動するアクションです。ただし、ダッシュでは移動後に捜索ができません。

潜伏は殺人鬼から隠れるアクションです。潜伏を実行した場合は自分のコマをひっくり返します。潜伏中は原則としてゲームに存在しないかのように扱われます(マスは占有しますが)。そのため、カードの効果や襲撃の対象になりません。潜伏は次の自分の手番の開始時まで続きます。
ただし、潜伏中のプレイヤーは他プレイヤーに話しかけることが禁じられます。もし間違えて喋ってしまうと潜伏が解除された上に騒音マーカーが置かれることになってしまいます。注意しましょう。

潜伏中の十文字の逃走者(上)に近付く殺人鬼(下)。隣接したが潜伏中なので気付かれず、襲撃もされない。

投石は持っている石つぶてを投げるアクションです。
逃走者は自由な方角に持っている石つぶてを投げます。投げられた石つぶては樹木や他のコマ、ゲーム盤の端にぶつかるまで真っ直ぐ飛んでいきます。そして、石つぶてが何マス進み、何にぶつかって止まったかを知ることができます。そして石つぶてが落ちたマスで騒音が発生します(騒音マーカーを置く)。
もしこの投石を殺人鬼に当てることができれば、殺人鬼を負傷させ後退させることができます。負傷した殺人鬼は次の手番には1マスしか移動できなくなるため、足止めにもなります。
ただし、間違えて他の逃走者にぶつけてしまうとその逃走者はHPトークンを1個失ってしまいます。誤って仲間を殺してしまわないように注意して投げてくださいね。

「くらえー!」「ぐおぉ!」
負傷マーカーを置く。石を投げつけられれば殺人鬼も負傷します。

最後は救援要請アクション。これは車に乗り込んでいる場合に実行可能です。このアクションを実行した後、このプレイヤーの次の手番が終了した時、救援が到着して逃走者たちの勝利となります。ただし、救援要請アクションを実行すると潜伏ができなくなるので、油断は禁物です。

車に乗って救援要請! あとは生き残るだけだ!

逃走者たちが行動し終えたら殺人鬼の手番です。
殺人鬼は手札の2枚のカードから1枚を選んでプレイすることで行動します。

カードには騒音時(盤面に騒音マーカーが存在する)と静音時(騒音マーカーが無い)で異なる行動が記されています(一部どちらでも同じカードもあります)。カードを出したら騒音マーカーの有無に応じて騒音時か静音時の行動を実行します。

例えば狂人の「血の渇望」は、騒音時は3マス移動、静音時は条件の逃走者に3マスか2マス移動となる。

殺人鬼が移動をする場合には、騒音マーカーがある時は騒音マーカーに最短距離で近付くように移動します。騒音マーカーが無い場合は最も近くにいる逃走者に最短距離で近付くように移動します。

騒音マーカーがあるなら騒音の方向に移動するのが基本。これなら歯車の逃走者も逃げられる……はず。

この移動により(または逃走者自身の移動により)逃走者と殺人鬼が隣接すると、「襲撃」が発生します。襲撃された逃走者は必ずHPトークンを1個失います。HPトークンは2個あるため、1回目は生き延びますが、2回目の襲撃を受けた時、逃走者は死亡して殺人鬼の勝利となってしまいます。

一文字の逃走者(右)は殺人鬼(左)と隣接してしまった! 襲撃により一文字の逃走者はHPトークンを失うことに。

1回目の襲撃で生き延びた場合に、石つぶてを持っていれば反撃ができます。石つぶてを殺人鬼に投げるのです。それにより殺人鬼は負傷しつつ後退していきます。その後、逃走者は1〜2マス退避し、必要なら潜伏することができます。とにかく生き延びるように頑張りましょう。

また、殺人鬼のカードには「演出」という項目があります。ここには「〇〇をあざけりなさい」や「ゲームの状況に関して真実(またはウソ)を語りなさい」といった指示が書かれています。殺人鬼プレイヤーはこの指示に従って、「ふはは、〇〇よ、そんな場所で隠れたつもりか?」「〇〇、俺はお前の2マス先まで迫っているぞ」「くくく、このままだと次の手番には〇〇は俺に殺されるだろう」などの発言を自分の手盤中のどこかでしなければなりません。
とはいえ、これはゲームの雰囲気を盛り上げるための要素。ルール的に厳密なことを考えるよりも雰囲気重視で喋るのがよいでしょう。どうせ真実かウソか逃走者にはわからないですからね。

演出はカードによって「真実とウソを語りなさい」「真実を2つ語りなさい」「車から遠い逃走者をあざけりなさい」と多種多様。ぜひ雰囲気のアピールに使ってください。

殺人鬼プレイヤーはカードの行動をし終わったら手番終了。再び逃走者の手番に戻ります。

これを繰り返し、逃走者が救援を呼んで脱出するか誰かが死亡するまでゲームを続けることになります。

Let’s Play!

逃走者は目の見えない暗闇の中、進行役に手を取られながら手探りで遊ぶ……ということで初プレイはゲームに慣れていて気心知れたメンバーがいいかな、ということで大学のボードゲーム仲間三人を召喚。私が殺人鬼兼進行役、友人が逃走者三人となっての四人プレイでお試しです。便宜上、この記事では友人たちを武田・輪島・野沢と呼びましょう。もちろん全部仮名です。

まずは逃走者となるプレイヤーたちにコマとキャラクターカードを配ります。キャラクターは武田がボクサー(石つぶてが無くても反撃できる)、輪島が登山家(樹木を乗り越えて反対側に移動できる)、野沢が森のガイド(探索で二マス先まで確認できる)となりました。

そして、それぞれ自分のコマの形状を目と指でしっかり確認してもらった後……みんなを暗闇にご招待。暗闇メガネをかけてもらいます。これ以降、ゲームが終了するまでこのメガネは外せません。ふふふ、暗闇で彷徨うがいいわー。

……うん、大の大人が真っ黒なサングラス的な物をかけると結構怖いですね。顔出しはアレなので写真は出しませんが、特に輪島のヤクザ感がスゴイです。実際は温厚な男なのにどうしてこうなった。皆さんも男友達で遊ぶ時は暗闇メガネをかけた姿を写真で撮ってみるといいですよ。

みんなは「本当に何も見えねー」とかワーキャー楽しそうですが、暗闇メガネをかけた強面の三人の男に囲まれたこっちの方が怖いのでは?……なんてことを思いつつ、盤面の森をセットアップしていきます。
ルールブックにはシナリオとしてセットアップ例もありますが、今回は写真も載せるのでオリジナルのセットアップに。初プレイなのでどれくらいのバランスがいいのかさっぱりわかりませんが、まあ何とかなるでしょう。

セットアップ完了。

セットアップした盤面が上の写真です。私が座るところを南側にしたので、写真の上側が北になっています。西に輪島(一文字のコマ)、北に武田(十文字のコマ)、東に野沢(三角形のコマ)を配置し、森の真ん中に殺人鬼(平らのコマ)を置きました。今回は初プレイなので殺人鬼には狂人セットを使います。みんなの目指す車は南側に。さてさて、たどり着けるかな?

まずは最初のヒントとして「車は南側半分にある」と伝えたところでゲームスタート。手番順は武田→輪島→野沢→私(殺人鬼)です。
というわけで最初は武田の手番。人差し指を出してもらって、それを北にあるコマのところへ持っていきます。

恐る恐るコマを触る武田。

そして東西南北の四方向を指で確認してもらいます。本来触れないものに触らないようにこっちでも手首を持ってサポートしつつ、ゆっくりと確認してもらいます。これによって東西が樹木で塞がれ、南北に道が開けていることがわかったようです。

武田は移動で北に行くことを選択。一歩移動した後にまた指で周囲を確認し、ここが北の端であることに気付きます。さらに西に移動して周囲に何も無いことを確認。

その後のアクションでは南にダッシュを選択。「まずは進もう」と、危険でも手早く探索することを優先したようです。

北の端にいることがわかった武田(上端の十文字コマ)。この後南にダッシュしました。

続いて輪島の手番。人差し指を出してもらって、西にあるコマのところへ導きます。

やっぱり恐る恐る触る輪島。

周囲を手探りで確認し、自分が西の端にいることがわかったようです。移動では東に進み、そこが北と東が樹木で塞がれていることから南へ移動。お、殺人鬼に近付いて来たな?と少し期待しますが……ダッシュでさらに南へ。ま、まずい。車のすぐ近くまで来てしまった。

一文字のコマが輪島。すぐ近くに車が。

内心は少し焦りますが、暗闇にいる輪島は車が近くにあることはまだ知る由もありません。こちらも声は平静を装います。

次は野沢の手番。指で周囲を確認すると自分が東の端にいて、南と西は樹木で遮られていることがわかります。当然北に移動すると西が開けたところで西に、さらに周囲が何も無いとわかると最後は南にダッシュします。こちらも車に近付いてきます。

東の端から北→西→南と移動してきた野沢。その先に恐怖が待ち構えているとも知らずに。

——しかし、ここで殺人鬼の手番です。近くにはノコノコと近付いてきた野沢の姿が。ぐふふ……。

手札を見ると、騒音マーカー関係なく1マス移動できる「転倒」と、樹木を無視して2マス移動する「忍び寄る恐怖」があります。「転倒」は殺人鬼に近い逃走者が転倒して音を出してしまうことで、その前の騒音が無駄になってしまうイメージでしょうか。
とはいえ、今回は誰も騒音も出していないし、1マス移動では襲撃できません。そこで「忍び寄る恐怖」を選択します。

手札は2枚。野沢を襲撃するには2マス移動しなければ。

指定された演出は「車から一番遠い逃走者をあざけりなさい」。一番遠いのは武田なので、「ふふふ、武田よ。そんなところにいて車にたどり着けると思っているのか……?」と低めの声音で笑います。そして「樹木を無視して2マス移動するぞ」と言って移動を開始。武田は「俺が襲われるのかー!?」とビビっていますが、騒音マーカーが無い今回は殺人鬼に一番近い逃走者に近づくので……野沢のところへヒタヒタと。
そして野沢の西に移動したところで、「ぐおー! 野沢に斧を振るう!」と襲撃を宣言します。武田は「俺じゃなかったー!」と笑っていますが、襲われた野沢は「うわー!」と悲鳴を上げながら重傷を負うことに。

東にいる野沢を西から襲撃! 「ぐおー!」

しかし、襲われた野沢も黙っていません。持っていた石つぶてで反撃してきます。「くらえー!」と投げつけられた石によってこちらも傷を負い、「ぐおお」と言いながら2マス後退します。どっちに後退しようか悩みますが、一応「逃走者から離れるように」とのルールブックの指針もあります。この逃走者が反撃した人だけか他の逃走者も含むかわかりませんが……今回は全員から離れることにして、元いた位置に戻るように後退します。
襲撃された野沢も北方向に逃げていきます。

反撃を受けて後退した殺人鬼。この後野沢も北方向に退避します。

襲撃したところで殺人鬼の手番は終了。また逃走者たちの手番へと移ります。

北にいる武田は南に移動しつつ、南にいる他の逃走者を守るため北方向に投石をして騒音を鳴らしてきます。北方向に殺人鬼を誘導する腹積もりのようです。

続く輪島は車を探すべく東へ進み——そのまま車を発見します。「おお、車だ!」と歓喜する逃走者たち。そのまま乗り込み、救助要請のアクションを実行します。これで次の輪島の手番が終われば逃走者の勝利です。

車を発見した輪島。早速救援要請アクションを実行!

野沢は殺人鬼に襲撃されると死んでしまう身のため、さらに北方向に逃げることを選択。その途中では西に他の逃走者の姿があることに気付きます。

野沢の西に十文字の逃走者が。野沢は「森のガイド」なので2マス先まで見える。

野沢「(指で触って)西に十文字の人がいるね」
武田「十文字なら俺だ。えーっと、襲撃された野沢がそこにいるってことは……アレ? もしかして俺のところって殺人鬼が近い?

——その通り。先ほど北方向に投石をした武田のすぐ近くに殺人鬼はいるのです。ノコノコと南に移動してきた武田を待ち構えるように。

野沢の手番が終わり、殺人鬼の手番。
選んだのは「狂暴化」のカード。指定された演出は「真実とウソを一つずつ述べなさい」。そこで「野沢よ、その程度の逃げ方で逃げられるわけがないだろう」(実際は手の届かないところにいる)とウソを述べます。野沢は「ええ!?」とちょっとだけビックリしてますが、続けて「武田、お前はこれから斧の餌食になるのだ」と真実を述べると、

武田「絶対近くにいるー!」

……ということで殺人鬼の移動。前の手番で野沢から反撃にあったことで1マスしか移動できませんが、それで十分。騒音の方向に移動すると、そこには北方向に投石をした武田の背中が。

殺人鬼「ぐははー!」
武田「やめろー!」

あえなく斧を受けて片腕を落とされた(ということにした)武田。しかし一撃目なのでまだ死にはしません。そしてボクサーのパンチによって反撃を受けた殺人鬼は南西へと後退していきます。殺人鬼の後退した方向を知らない武田は落ちていた石つぶてを回収しつつ西へ移動したようです。

反撃で南西に後退した殺人鬼(左下)と西へ移動する武田(左上)

……おや、意外と殺人鬼の近くに来たぞ?

続く武田の手番。西に移動して西端にたどり着いたと知ると、なぜか南へ移動してきます。すぐ南東には再び殺人鬼がいるとも知らず……。

ここで東か南にダッシュをしてくれれば再び襲撃して殺人鬼の勝利だ——とちょっとだけ思いつつ、さすがに愚かでは無い武田は投石を選択。殺人鬼には当たりませんが、自分から突っ込んでくることはありませんでした。

そして再び訪れた輪島の手番。移動はしなければいけないのでビビりながらも東・北と移動。キレイに殺人鬼のいる方向を回避して——救援が訪れます。
逃走者たちの勝利です!

無事に生きて帰ることができた逃走者たち。ぐぐぐ、逃げられてしまったぞー。

プレイ後の感想

今回は殺人鬼兼進行役でプレイしたため、暗闇を手探りする逃走者の気持ちはわかりませんが……友人ズの感想を聞くと「いや、全然状況がわからない!」「本当に何も見えないから結構怖い」とのこと。全部見えてるこちらからすればスムーズに車にたどり着かれてしまったなー、という気持ちでしたが、当の本人たちは思った以上にビクビクだったようです。

マップの8×8マスも広さがどうなのかなと思いましたが、移動とダッシュを含めれば1手番で3マスも移動できるので、思ってたよりは狭い印象。今回ほどスムーズにいかなくとも、車を見つけるのにそう長時間かかることはなさそうです。
それに、運悪く車の方向に進めなかった場合にはすぐに殺人鬼に襲われて死にそうな気がします。たった2回の襲撃を受けるだけで逃走者は死んでしまいますし、殺人鬼も行動の制限があるとはいえ、殺人鬼役が本気で襲いにかかれば何も見えていない逃走者を襲うのは容易です。

初めて遊んだ感想としては、「これは雰囲気を楽しむゲームだな」といったところでしょう。一応ルール上は殺人鬼プレイヤーvs逃走者プレイヤー達ではありますが、進行役でもある殺人鬼プレイヤーは勝つことを目指すよりも、逃走者をビビらせ、ドキドキさせ、如何に逃走者プレイヤー達を暗闇の中で惑わせるかが楽しむコツな気がします。そのためにも雰囲気たっぷりに殺人鬼を演じたりできれば楽しそうです。もちろん、その上で逃走者を惨殺できればさらに嬉しいですけどね!

今回は初プレイということで逃走者が指で確認するときも「それは樹木」「それは何も無いマス」と説明しながらプレイしましたし、殺人鬼のアクションも「2マス移動する」といったように説明を入れていました。ただ、みんながプレイに慣れてきたら指で触る時も(必須なもの以外は)説明せずに無言でやる方が雰囲気は出そうかな。殺人鬼のアクションも何も言わずに「ヒタヒタと足音がする」とか演出的なセリフにするとより怖い面白い体験ができそうです。ぜひやってみたい。ルール上も殺人鬼のアクションの説明はしてもしなくても良いとなっているので。

殺人鬼も今回は狂人を使いましたが、前述の通り狂人はシンプルに自分が移動していくのに対して、もう一つの魔術師だと「盤面を90度回転する」とか「二つのコマの場所を入れ替える」とかがあるので、何も言わずにプレイしたらますます混乱しそう。そして、このゲームはそういう混乱そのものを楽しむ(殺人鬼プレイヤーはその混乱する様子を見て楽しむ)ゲームなのかなと思います。

ちなみに私は「見えてなくても机に対して指が置かれた大体の位置でどっちの方角に寄ってるかくらいはわかるのでは?」と思ったので、逃走者が行動する時には毎回盤面の位置を少し動かしたりしてました。その他、ルール上では曖昧な点もいくつかあったのですが(逃走者の後退方向とか)、細かいルールの厳密さを求めるよりは雰囲気重視で面白そうな遊び方にすればいいと思います。

とはいえ、今回はあくまで初プレイのファーストインプレッション。潜伏とかもしなかったですし、まだまだ奥は深そうです。慣れた人同士で遊べばもっと色々なことが起こるかも?

皆さんも暗闇の世界を体験してみませんか?

……というわけで、『ニュクトフォビア』のファーストインプレッションでした!
皆さんもぜひ暗闇の森で殺人鬼に追われる恐怖を(もしくは追い回す愉快さを)楽しんでください!

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