『Everdell』(エバーデール)をプレイ! 森の動物達が織りなす童話的な世界。ただしゲームはシンプルながらも戦略的なワーカープレースメント!

動物達の世界、Everdellを舞台に街づくり!

アメリカで買ってきた『Everdell』(エバーデール)をお試しプレイしたのでそのファーストインプレッションを紹介します!

※2020年12月27日追記
拡張版である『Everdell: Pearlbrook』(エバーデール 拡張 真珠の入り江)を入れて遊んだ感想も書きました! 下記リンクよりどうぞ。

Everdellとは?

ゲーム概要

この世界観を代表する存在、Ever Tree(奥の樹)は立体的なボード。思ったよりでかい。
  • ゲームデザイナー:James A. Wilson
  • イラストレーター:Andrew Bosley
  • パブリッシャー:Starling Games
  • 発売年:2018年
  • プレイ人数:1〜4人
  • プレイ時間:40〜80分
  • 対象年齢:14才〜

『Everdell』は森の谷間にある巨大な樹、Ever Treeに見守られた土地で文明を築いてきた動物達の一員となり、その中で新たな街を作るリーダーとして自分の街をより発展、繁栄させることを目指すゲーム。後で知りましたがクラウドファンディングで作られたようです。ゲームデザイナーはJames A. Wilson、パブリッシャーは2018年設立のスターリングゲーム。日本ではまだメジャーでは無いようですが、今後有名になりそうですね。

ゲームはワーカープレースメントとカードによる街づくり。各地に自分の仲間の動物であるワーカーを派遣して木材やベリーなどの資源を集め、その資源を使って自分の街に建物や住民の動物達を増やしていきます。街に建物や動物達が増えれば収穫祭のようなイベントも催せるようになるでしょう。こうして街を発展、繁栄させていきます。

手前のカードが自分の街、右奥に見えるのが相手の街

最初は一年の始まり——冬の終わりから始まります。最初のワーカーはたったの2匹。しかし、季節が進むごとにワーカーは増えていきます。春が訪れ、夏が過ぎ、秋になればワーカーは6匹にもなります。そして秋の終わり——新たな冬の訪れでゲームは終了。この時点で最も街を繁栄させていた(ポイントが高い)プレイヤーが勝利となります。

ゲームの流れ

自分の手番でできることは次の3つのアクションのうち、どれか1つです。

  • ワーカーを置く
  • カードをプレイする
  • 次の季節に備える
ワーカーはハリネズミ、リス、カメ、ウサギの4種類。能力差はないので好みで選ぼう

『ワーカーを置く』アクションでは1匹のワーカーをどこかに派遣します。基本的には行き先によって資源やカードが得られます。資源には4種類——木材、樹脂、小石、ベリーがあります。街に建物を建てるには木材/樹脂/小石が、住民となる動物を呼ぶにはベリーが(コストとして)必要です。一度ワーカーが置かれると、基本的にそのワーカーは後述の『次の季節に備える』アクションをするまで置かれたままになり、再使用できません。しかもほとんどの場所は1匹のワーカーしか入れません(共有スペースを除く)。そのため、他プレイヤーの動向にも注意して相手より先んじて派遣先を考える必要があるのです。(ついでに言えば、相手がいつ『次の季節に備える』で戻すかも重要です。後述しますが、ここが他のワーカープレースメントと少し違うところかな?)

左は樹脂が2つ手に入る場所だが1匹しか入れない。右は樹脂1つとカード1枚が手に入る場所で、複数のワーカーが入れる共有スペース(円の下側が欠けているのが目印)
手に入る資源は左上から樹脂、木材、ベリー、小石

行き先の中には資源を得るのではなく、イベントを催すための場所もあります。そこにワーカーを置いてイベントを催すことで勝利点を得ることができます。イベントによって街の知名度や活気が向上するイメージでしょうか。ただし、イベントを開催するには自分の街が特定の条件をクリアしている必要あります。例えば収穫祭を開催するには自分の街に“Green Production”(緑の生産)のタイプを持つカードが4枚あることが条件になります。イベントにも毎回同じ基本イベントとゲーム毎に変わるスペシャルイベントがあり、全て早い者勝ちなので自分の持つカードやゲームの流れに応じてどのイベントで点数を稼ぐかが重要になりそうです。

Ever Treeの下にあるのが基本イベント、上にあるカードがスペシャルイベント

『カードをプレイする』アクションでは、手札にあるカードかボード上のMeadow(草地)にあるカードを指定されたコストを支払うことで自分の街に加えることができます。カードは大きく分けるとConstruction(建物)とCritter(動物)があります。前述の通り、建物は木材/樹脂/小石を、動物はベリーをコストとして支払うことでプレイが可能です。また、動物は指定の建物が既に自分の街にあればノーコストでプレイすることもできます。例えば「郵便局」があれば「郵便屋の鳩」がノーコストで出せたりします。その建物に住み着くのでしょう。さらにそれぞれがコモンとユニークに分けられます。ユニークはそれぞれの街に同時に1枚しか存在できない代わりに、コモンよりも特殊で強力な効果を持つものが多いです。中には自分をコストにして他のカードのコストを抑えたりするものも。

左側が動物カード、右側が建物カード。例えばPalace(右側の左下)があればQueen(左側の右下)をノーコストで出せます。
下の広場がMeadow。ここのカードは誰でもプレイすることができます。

こうしてカードをプレイすることで少しずつ自分の街を形作っていきます。ここはカード引きの運もあるので、状況に合わせた柔軟な対応が必要です。さらに街は最大で15枚までなので、あまり無駄なカードをたくさん置くわけにもいきません。

最後が『次の季節に備える』アクション。これはワーカーも置き終わり、これ以上プレイしたいカードも無くなったところで行います。配置した全てのワーカーを手元に戻し、かつ新しいワーカーが仲間に加わるのです。他にも春か秋が訪れる時には緑の生産カードの効果が再発動したり、夏の訪れでは草地のカードを引いたりできます。

季節が訪れるのを待つワーカーたち

重要なのは、この季札の変化は他のプレイヤーと同時に行う必要がないということ。不思議なことに他のプレイヤーと違う季節を同時に過ごすことができます(笑)。先に春に進んだプレイヤーは、他のプレイヤーがまだ冬の終わりだろうと関係なくワーカーを手元に戻し、また配置していくことができるのです。緑の生産カードのように季節の変わり目に効果を発揮するカードもありますし、逆に言えば他のプレイヤーも春になるまでは配置したワーカーを戻さないということ。パスは最後までできないので、相手の様子も窺いながら、ベストなタイミングで次の季節に移行する必要があるでしょう。

自分の季節が秋になり、秋でもできることがなくなったところでパスをしてその人はゲーム終了。全員がパスしたところで最後の得点計算を行います。街の建物や動物達のカードのポイントにイベントのポイント、カード効果によるポイントを合計し、最もポイントが高いプレイヤーが、Everdellで最も繁栄した街を作った者として勝利、表彰されることになります!

Let’s Play!

というわけでお試しプレイ。ちょうど仕事が休みだった父親(元ゲーマーだがボードゲームはあまりしてない60歳過ぎ)との2人プレイです。

初期セットアップ

ルールブックに従って準備をしてプレイ開始。私はリス、父親はウサギのコマを選びました。

最初はたった2匹のワーカー。一緒に頑張ろう!
最初の手札。どれが使えるのか……?

先手は私。初プレイなので方針に悩むも……まずはカードを増やすべく3枚のカードが引けるエリアにワーカーを送ります。ここで建物のCrane(クレーン)をドロー。どうやら小石1つで建てた後、これを捨てることで他の建物の建築コストを下げられるらしい。しかもクレーンの建物があれば草地にいるArchitect(建築家)がコスト無しで呼べる! これはチャンスと2枚を街に加えます。

カード3枚と小石1個が手に入る場所へワーカーを送ります
Craneを建て、Architectをノーコストでプレイ!
その間に父親は堅実に資源集めで樹脂2個を獲得(奥のウサギ)

さて、クレーンで何の建物を建てるかと考え……クレーンを捨てて草地にあるダンジョンを建築。これは街にいる動物をダンジョンに送る(裏にしてダンジョンの下に入れる)ことでやはり他のカードのコストを下げられるカード。さらにダンジョンが建ったことで手札にあったレンジャーをコスト無しでプレイ。レンジャーの既に配置したワーカーを動かす能力でHaven(安息地)へ移動、手札を捨てる代わりに資源を獲得します。さらにベリーが手に入るGeneral Store(お店)を建造。順調に街が発展してきたぞ!

建物と動物と……街ができてきた

一方の父親は資源を大量に手に入れるものの、カードがかみ合わず早々に春の季節に。英語があまり読めないのもあって、随時カード効果を説明しながらのチュートリアルプレイ。説明する中でどうやら建物の資源では木材<樹脂<小石の順でレア度が高く、強力な建物は小石が必要なことがわかってきます(ボード上でも木材は一度に最大3個、樹脂は最大2個手に入るのに対し、小石は1個のみ)。父親の手札も小石が必要な建物カードが多いようなので早速春を迎えて増えたワーカーを使い小石の確保を進めて資源が手に入るStorehouse(倉庫)やカードが引けるFairgrounds(屋外イベント会場)を建造。遅れながらも成長の基盤が出来始めました。

一方の私は最後にMiner Mole(モグラの炭鉱掘)を加えて『次の季節に備える』アクションで春へ。春になる時は緑の生産のカードの効果が再発動するので、たった今出したモグラさんの効果を再使用。相手の街にある緑の生産のカード効果をコピーできるので、父親の街にある屋外イベント会場の効果でカードをドローします。緑の生産のカード効果はプレイした時にも発動しており、二連続ドローで手札を盤石なものとします。

春になりました
先に春を迎えていた父親は小石を確保

春になったところでレンジャーをダンジョンに送り、奥から女王を救出しました! ……実際はコストを下げて手札からプレイ、ダンジョンに送ったレンジャーはそのままですが。女王はワーカーを送ることで価値3以下のカードをコスト無しで出せるようなのでJudge(裁判官)をプレイします。ダンジョンがあって王女に裁判官、炭鉱掘……ファンタジー世界の小国みたいになってきたなあ。プレイ中に自然とできた街にイメージや愛着が湧くのも街づくりゲームの面白さですね。

王女を迎えてファンタジーな街になってきました

ここで共通の場である草地に王様が登場。高コストですが点数も高いキャラクターです。自分の街に女王……いや王妃(女王も王妃もQueenなので)がいるので、せっかくなら揃えたい! ということでベリーを集め、さらに再びダンジョンを使うべくレンジャーを準備します(レンジャーがいるとダンジョンに2人目の動物を送れる)。準備ができたところで、既に父親が溜め込んでいた資源を使って城を建造。城はコストが高い代わりにポイントが高い上に王様をノーコストでプレイできます。これはマズいとなりつつも、ギリギリ準備が間に合っていたベリーとダンジョンを使って王様を先に確保。無事に我が街に王と王妃を据えることに成功です。(ちなみに父親は手札から王様をプレイ。持ってたんかい。)

右奥が父親の街。城と王様をプレイして一気にポイントアップ。

夏は順調に資源集めと街の充実に励みます。郵便局を建てて郵便屋の鳩を迎え、お店にはShopkeeper(店主)を迎えます。そして季節は最後の秋へ。

秋は最後の季節。最後の一踏ん張りだ!

先に秋を迎えていた父親は緑の生産カードが増えた街でこのゲームで初めてのイベント、Harvest Festival(収穫祭)を開催します。そして最後のワーカーを旅に送ってポイントを増やし(旅は秋の季節にだけ使える配置場所で、手札を捨ててポイントを得られる)、全ての手番を終了します。

一方の私はこれまでに発展させてきた街の力で一気にイベントを開催します。収穫祭こそ取られたものの、それ以外の基本イベント、City Monument(街の記念碑)の設置、Grand Tour(周遊ツアー)の開催、Cartographer’s Expedition(地図調査)の実行を網羅し、さらに全てのタイプのカードを2枚ずつ揃えたことで、スペシャルイベントの『The Everdell Games』を獲得! なんと9点。基本イベントは全て3点なのでかなりの高得点を獲得です。最後は最大まで街を充実させて残ったワーカーを旅に送って私もゲーム終了となりました。

最終的な私の街(左のWandererは街の枚数に含まない効果を持ってます)

最終得点は父親が31点に対し私が57点。私の大勝利で終わりとなりました。

王と王妃の統治下で様々なイベントを催したのが高得点に繋がりました

プレイ後の感想

ゲームの進行はとてもシンプル。基本的に手番にやることはワーカーを置いて資源を得るか、資源を使ってカードを置くかのほぼ二択。ただ、資源を手に入れるためのワーカーが思った以上に少ない(最初に2匹→春に3匹→夏に4匹→秋に6匹で合計でも15回しか置けない)ので、カード効果をうまく連携させないと15枚の街の上限に達するのも難しいといったところ。今回は2人プレイでかつ不慣れな父親が相手だったので結構自由にプレイできましたが、人数が増えたり相手も慣れてくると場所や共通カードの取り合いが起きると思うので、相手に合わせて街の発展方針を変えるなど勝つためには先のことを見据えたプレイが必要そうです。

それに連携させようにもカードの種類が多いので欲しいカードが出る確率も高くないのが難しい。今回のプレイでも、General Store(Farmがあれば追加のベリーがもらえる)、Wife(Farmでコスト無し)、Husband(Farmでコスト無し、さらにFirmとWifeがいれば好きな資源を獲得)、Barge Tord(街のFarm 1枚につき2個の木材を獲得)が前半から最後まで何枚も出たのに、肝心のFarmは最後の最後に1枚出ただけ。それもそのはず、カードは全128枚中でFarmは8枚なので1/16枚だけですし、そもそもゲーム中で全カードの半分も使っていません。それにFarmは多い方で、他のカードはほとんど2〜4枚ずつな上に直接的な連携効果は基本的に1対1のみです(ダンジョンにレンジャー、郵便局に鳩、城に王様のような感じ)。人数が増えれば出てくる枚数も増えるでしょうが、自分の手札に来るかは別問題なことを考えると、思い通りのプレイができるかはカード引きの運も必要でしょう。逆に言えば、その中で思い通りのプレイができた時の幸福感も格別。場所の取り合いはあるものの直接的な妨害はあまりできないので、相手の動向とカード引きの運を考えて賭けに出るか堅実に行くか……この悩ましさが楽しいところですね。

と、プレイ感はゲーマーズゲームなところもありますが……それを補って余りあるほどの素晴らしい世界観に素晴らしいイラスト。立体的なEver Treeに並ぶカード、色だけでなく形も違うワーカーなど童話的な世界観に浸らせてくれるコンポーネントの素晴らしさはぜひ色んな人に見て、実際に遊んでほしいですね。

60歳過ぎの父親もプレイ後の感想で「英語だったこともあるが、カードの種類や効果が多くて把握するのは大変。ただ手番でやることは単純で分かりやすかったし、何よりイラストや雰囲気がとても良い。今回も楽しかったし、もう少し慣れればかなり面白そう」とのこと。

ボードゲーマー的には要素の多くがアイコンで示されているし、カードの効果も一部の特殊カードを除き大半はシンプル(何かの資源を得る、カードを引く、特定のカード1枚毎に1点など)なので、少しゲーム慣れしていればすぐ理解できる範囲かなと。

……というわけで、『Everdell』(エバーデール)のファーストインプレッションでした。アークライトさんで日本語版製作中で、そろそろ発売も近いそうなので、皆さんはぜひ日本語版を買って遊んでみてください!

かわいく愛らしい世界観の中で楽しい時間を過ごせますよ。

Everdellで最高の街を目指して!

※2020年12月27日追記
拡張版である『Everdell: Pearlbrook』(エバーデール 拡張 真珠の入り江)を入れて遊んだ感想も書きました! 下記リンクよりどうぞ。

※2019年11月30日追記
日本語版の発売日が2020年1月9日に決まったようです!
アークライトゲームズから発売予定の『エバーデール 完全日本語版』、オススメです!

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