ゲームマーケット2019秋で購入した『宝島』を遊んだので、そのファーストインプレッションを紹介!
宝島とは?
ゲーム概要
- ゲームデザイナー:マルク・パキン
- イラストレーター:ヴァンサン・デュトレ、サブリナ・トバル
- パブリッシャー:アークライト(日本語版)、Matagot(原語版)
- 発売年:2019年(日本語版)、2018年(原語版)
- プレイ人数:2〜5人
- プレイ時間:45分
- 対象年齢:10才〜
『宝島』(原題:Treasure Island)は海賊となって島の中に隠された宝物を探す、宝探しゲームです。
タイトルの〝宝島〟はイギリスで書かれた有名な海洋冒険小説、ロバート・ルイス・スティーヴンソン著の「宝島(Treasure Island)」のことです。小説の初版はなんと1883年。100年以上も愛され続けている小説がこのボードゲームのテーマになっています。残念ながら私は読んだことがないですが、調べてみると面白そうですね。
このゲームではプレイヤーは全員海賊となり、島に隠されている宝物を見つけることを目指します。舞台となる島はおよそ20マイル(32km)四方に収まる広さ。絵を見る感じでは、奄美大島くらいの面積ですかね? ちなみに奄美大島は日本で第9位(本土4島を除けば5位)の広さを持つ島だそうです(wikipedia調べ)。そう考えるとかなり広いなあ。
島の中には森や岩場に湖、町の建物や塔、遺跡や崩壊した神殿に壊れた船——宝物が隠されていそう場所がわんさかあります。
そんな広い島で宝探しをするのですが、何も手掛かりなくさまようわけではありません。
実はプレイヤーの中の一人——シルバー船長ことロング・ジョン・シルバーは宝物の場所を知っています。ですが、それ故に仲間である海賊たち(他のプレイヤー)によって島にある塔の中に幽閉されてしまったのです!
海賊たちはジョン・シルバーを尋問し、宝物の場所を聞き出そうとします。しかし、狡猾なジョン・シルバーは真実とウソのヒントを与えて海賊たちを惑わしてきます。そして時が経つとジョン・シルバーは脱走し、隠された宝物を手に入れようと走り出すのです。
というわけで、このゲームではプレイヤーの一人がジョン・シルバーとなって宝物を隠し、海賊たちである他のプレイヤーはジョン・シルバーから与えられる本物とニセのヒントを基に宝物を探します。海賊たちが先に宝物を見つければその海賊の勝利。宝物を見つけられる前に脱走し、隠した宝物の位置にたどり着けばジョン・シルバーの勝利となります。
さて、そんな宝探しをどうやってするのかと言うと——使うのは大きな島の地図にマーカーペン、定規にコンパス……そう、島の地図に実際に線を描くことで宝物を探すのです!
大きなコンパスとか、コンポーネントを見るだけでも心が躍ってきますね。まさに宝の地図を手に入れた気持ちになります。
海賊たちはこの島の地図の上で移動する時は直線を引き、探索する時は円を描きます。時にはジョン・シルバーのヒントを書き込むこともあるでしょう。そうすることで、地図上には各自が探した場所やヒントが描かれ、徐々に宝物の場所があぶり出されていくのです。
——あ、もちろん描いた線はティッシュ等で拭き取れば消えるのでご安心を。何度でも遊べますよ!
また、海賊たちは自分専用のミニマップとメモ用紙も持っています。探索した場所や全体へのヒントなどは公開情報ですが、中には自分だけが得るヒントもあります。そういった情報はスクリーンの裏に隠した自分だけのミニマップに描き、他の海賊よりも先んじて宝物を得ることを目指すのです。
海賊たちがジョン・シルバーから得られるヒントは大きく分けて4種類あります。「ヒントタイル」「エリアヒント」「羅針盤ヒント」「宝箱マーカーの情報」です。
まず「ヒントタイル」はこのゲームで最も大きな情報となるものです。日付が進む中で、ジョン・シルバーは決められたタイミングでヒントタイルをプレイしなければならず、それによって海賊たちは宝物の場所についての新たなヒントを得ることになります。海賊たちの尋問に対して答えた内容ということでしょう。日付が進むと7枚までプレイされます。
ヒントタイルには「初期ヒントタイル」と「黒丸ヒントタイル」の2種類があります。7枚のうち最初の3枚は初期ヒントタイル、後半の4枚は黒丸ヒントタイルになります。黒丸ヒントタイルの方がより宝物の位置を絞れるヒントになっているため、後半のヒントはより重要度が増していくのです。
ヒントタイルの内容は様々です。「宝物は火山エリアから4マイル以上先」や「(あるコマ)の位置から8マイル以内に宝物がある」のように特定のコマや場所からの距離を示すヒントや「(あるコマ)から見て北東か南の方角に宝物がある」のように宝物の方角を示すヒント、他にも「(ある海賊)の最後の移動は宝物から離れた/近付いた」や「海賊の質問に『はい』か『いいえ』で答える」といった様々なヒントがあります。ジョン・シルバーはこれらのヒントタイルを選んでプレイし、海賊たちにヒントを与えるのです。
ただし、ジョン・シルバーはこのヒントタイルにはニセのヒントを混ぜることができます。それを示すのが〝真実マーカー〟と〝うそつきマーカー〟です。合わせて真偽マーカーと呼びます。
真偽マーカーはヒントタイルをプレイする時に裏向きで一緒に出します。出した真偽マーカーが〝真実マーカー〟ならそのヒントには真実を答えなければなりません。ですが〝うそつきマーカー〟を出した場合にはそのヒントには本当とウソ、どちらを答えても大丈夫になります。つまりそのヒントは全く当てにならない情報になるのです。
ただし、〝うそつきマーカー〟はゲーム中に最大で2枚しか出せません。しかも最初は所持しておらず、日付が進んで手に入れるまでは使えません。また置いたマーカーは海賊たちも〝検証〟という行動によって見ることができます。ジョン・シルバーは真実とウソを上手に使い分けて海賊たちを混乱させなければならないのです。
次は「エリアヒント」。島は白い点線によって11のエリアに分けられています。各エリアヒントはその中の1つのエリアにドクロマークが描かれており、そのエリアに宝物が無いことを示します。このヒントはゲームの開始時に海賊たちに1枚ずつ渡されます。先ほどのヒントタイルと違い、海賊たちは基本的に自分のエリアヒントだけを見ることができるため、海賊ごとに違う情報を持つことになります。
「羅針盤ヒント」は海賊たちが自分のアクションによって得られるヒントです。詳しくは後述しますが、自分の現在地から見て、8つの方角のうち宝物が無い方角を2つ知ることができます。ヒントタイルと違って必ず真実なので、上手く使えば他の海賊を出し抜くこともできるでしょう。
最後は「宝箱マーカーの情報」です。これは探索を行なうことでジョン・シルバーから渡されることがある宝箱マーカーで得られるヒントです。「現在の位置より西/東に宝物がある」「今いるエリアに宝物は無い」という内容で、これも自分だけが秘密裏に得られるヒントになります。これがもらえるかはジョン・シルバーの気分次第なので大きな期待はできませんが、もらえれば重要なヒントとなるでしょう。
こうしたヒントを基に島中を探索し、最初に宝物を発見した海賊の勝ち、もしくはその前に塔を脱出して先に宝物にたどり着いたジョン・シルバーの勝ちとなります。
ゲームの流れ
ゲームはジョン・シルバー役のプレイヤーが宝物を隠すところから始まります。
ジョン・シルバーは島の中の好きな場所を宝物の隠し場所に決め、自分のミニマップ上にその位置を記入します。もちろんこのミニマップはスクリーンの裏に隠されているため、他の海賊には見えません。海賊たちはその位置を探し当てるべく奔走することになります。
その後、海賊たちは最初のヒントとしてエリアヒントタイルをランダムに1枚ずつ受け取ります。それが終わったらラウンドスタートです。
各ラウンドは次の手順で進みます。
- カレンダーボードのマーカーを動かして日付を進める。
- ジョン・シルバーがカレンダーイベントを実行する。
- 現在の日付にマーカーが移動した海賊が手番を行う。
ラウンド(日付)の進行や発生するイベントはカレンダーボードで示されます。ボード上には海賊たちのマーカーが並んでおり、最後尾にいる海賊のマーカーを次の日付に進める→その日付のイベントを解決する→動かしたマーカーの海賊が手番を行うという流れを繰り返します。1日の間に行動する海賊は1人だけです。
各日に発生するイベントはシンボルで示されています。イベントは何種類かありますが、大半を占めるのが「ヒントタイルをプレイする」イベント。この日付にマーカーが来た時、ジョン・シルバーは前述のヒントタイルをプレイすることになります。ジョン・シルバーは常に手札として3枚のヒントタイルを持ち、その中から選んでプレイすることができます。
ただし、いくつかのヒントタイルには宝物のシンボルが描かれています。これらは後述する「宝箱マーカー」を海賊に渡していないとプレイすることができません。宝箱マーカー自体は海賊へのボーナスになるだけですが、それを渡すことで、ジョン・シルバーはプレイするヒントタイルの選択肢を増やすメリットがあるわけです。
イベントには他にも「うそつきマーカーを手に入れる」や「ジョン・シルバーが塔に幽閉される」といったものがあります。そしてカレンダー上の最終日には「ジョン・シルバーが脱走」のイベントが起こり、ジョン・シルバーも宝物の場所に向かって移動を始めることになります。
イベントを解決した後は海賊の手番です。日付を進める時にマーカーを動かした海賊が手番を行います。手番で行えるアクションの回数は日付の下の★で記されていて、前半は1回だけ、後半は1手番で2回のアクションが行えるようになります。
海賊が手番に行えるアクションには3つの通常アクションと3つの特殊アクション、加えてキャラクター固有の特殊アクションがあります。内容は以下の通り。
- 通常アクション
- 移動(馬) …… 6マイルまで移動する。
- 移動(徒歩)&簡単な探索 …… 3マイルまでの移動と探索円(小)を使った探索の両方を行う。
- 詳細な探索 …… 探索円(大)を使った探索を行う。
- 特殊アクション
- 検証(2回) …… ヒントタイルに置かれた真偽マーカー1つの内容を(密かに)確認する。
- 全力疾走(1回) …… 島の好きな場所に移動する。
- 羅針盤(1回) …… 羅針盤ヒントを得る。
- 海賊キャラクター固有の特殊アクション
通常アクションでは海賊の移動と探索による宝探しを行います。
移動ではアクリル製の定規を使ってペンで直線を引きます。現在の位置から馬なら6マイルまで、徒歩なら3マイルまで移動可能です。ただし直線でしか移動できず、途中で曲がることはできません。山岳地帯や海は侵入することができないので、移動ルートはよく考えましょう。
続いて探索です。海賊たちの勝利条件は「探索で宝物を見つける」ことなので、基本にして必須なアクションでもあります。
探索に使うのが大きさの異なる二つの探索円です。こちらもアクリル製。
簡単な探索では小さい探索円を、詳細な探索では大きい探索円を使用します。探索したい場所に探索円を置き、探索円の内側に沿ってペンで円を描きます。これで描いた円が探索範囲となり、この範囲に宝物が隠されていればそれを発見することができるのです!
ただし、探索は自分のいる場所の周辺に限ります。具体的には探索円の中に自分の現在地が含まれるようにする必要があります。現在地が中心である必要は無いので、現在地から南側を重点的に探索する、といったことは可能ですが、現在地から遠く離れた場所を探索することはできません(一部キャラクターの特殊能力を除く)。そのため、探索したい場所に馬や徒歩で移動しながら探索範囲を広げていきましょう。
海賊が探索を実行した時、ジョン・シルバーはその範囲に隠された宝物があるかを確認します。もし宝物がある場合——ジョン・シルバーは宝箱の中に(秘密裏に)財宝タイルを入れて海賊に渡します。宝箱を渡された海賊はドキドキしながら宝箱を開けてください。その中に財宝が入っていたら、宝物を発見したということ。その海賊の勝利になります!
一方で探索範囲に宝物が無かった場合、ジョン・シルバーには2つの選択肢があります。「そこには無い」とただ告げるか、宝箱の中に(秘密裏に)宝箱マーカーを入れて海賊に渡すか、です。宝箱を渡された海賊はドキドキしながら宝箱を開け……財宝では無いことにガッカリすることでしょう。
とはいえ、宝箱マーカーはただのハズレではありません。宝箱マーカーには〝アイテム〟と〝情報〟の2種類があり、アイテムは使用することで手番中に追加のアクションを行うことができますし、情報は宝物の位置に関するヒント(現在地より西にある等)を自分だけが得ることができるのです。
前述の通りジョン・シルバーもこの宝箱マーカーを渡すことでヒントタイルのプレイの選択肢が増えるメリットがあります。もらえるかどうかはジョン・シルバーの気持ち次第ですが、上手いタイミングで探索すれば良いこともあるかもしれませんね。
続いては特殊アクション。特殊アクションはそれぞれ使用回数に制限があります。それぞれのキャラクターカードの裏には固有の特殊能力を含む特殊アクションのチェック欄がありますよ。
検証アクションはヒントタイルに置かれた真偽マーカー(真実マーカーかうそつきマーカー)を確認するアクション。7枚までプレイされるヒントタイルが真実かどうかはとても重要なので是非とも確認したいところですが……検証は各自2回までしか行えません。どのヒントタイルを確認するかはよく考える必要があるでしょう。
全力疾走は制限無く島の中の自由な地点に移動できるアクション。ゲーム中に1回しかできませんが、島の端っこを探索し終えた後など、通常の移動では時間がかかってしまうタイミングで上手く使いたいですね。
羅針盤アクションは羅針盤ヒントを得るアクションです。このアクションを選択した場合、自分の現在地に羅針盤(大)を置きます。ジョン・シルバーは羅針盤で示された8つの方角——東西南北・北東・北西・南東・南西のうち宝物がある方向を確認します。その後、ジョン・シルバーは手札の「羅針盤ヒントタイル」の中から1枚を選んでその海賊に渡します。羅針盤ヒントタイルには8つの方角のうち2つの方角にドクロマークが付いており、これは現在地から見てその方角には宝物が無いことを示します。このヒントでは嘘がつけないため、場合によっては大きなヒントになるでしょう。
ただし、羅針盤アクションは1回しか行えません(アン・ボニーは特殊能力で2回)。また渡す羅針盤ヒントはジョン・シルバーが選ぶため、上手なタイミングで使わないと大した情報にならないものが渡されるかもしれません。使い所が重要なアクションです。
これに加えて、海賊たちは固有の特殊能力を持ちます。追加のエリアヒントを得るもの、離れた場所の探索を行うものなど、種類は多くないものの強力な能力ばかりです。海賊たちはこういった特殊能力も使いつつ、宝探しを進めることになります。
これを繰り返し、最初に探索で宝物を見つければその海賊の勝利。もしくはその前に塔から脱出したジョン・シルバーが宝物の場所にたどり着けばジョン・シルバーの勝利となります。
Let’s Play!
というわけでお試しプレイです!
今回は友人3人を集めての4人プレイ。私がジョン・シルバー、友人たちが海賊を担当です。
早速準備開始。大きなマップにアクリル製の羅針盤、マーカーにコンパス——コンポーネントを広げていくだけでも心が躍ります。もう楽しくなってきた!
……しかし、用具が多い。初めてなのでどれがなんなのかを確認するのも大変です。大幅に時間がかかってしまいましたが何とか準備完了です。
友人たちはそれぞれ海賊のアン・ボニー、ジム・ホーキンズ、オリビエ・ルバスールのキャラクターを選びました。この記事ではこの海賊の名前で呼ぶことにしましょう。アンは島の北西、ジムは中央よりの北東、オリビエは南西の辺りがスタート地点です。
まずはジョン・シルバーである私が宝物を隠します。初プレイなのであまり特殊なところにはしたくないですが、とはいえ分かりやすい場所だとすぐに見つかる気もします。どこにしようかな……?
しばし考えた後、下の写真の位置に決定しました。
写真中央の黒いバツ印の位置が宝物の隠し場所です。バツ印で完全に隠れていますが、小さな小屋のような建物がある場所です。その建物の中に隠すことにしましょう。
隠し場所を決めたら海賊たち3人にランダムにエリアヒントを1枚ずつ渡します。渡すものはランダムに決めますが、何を渡したかは確認しながら配ります。どうやら島の中央付近のエリアヒントが配られたようです。各自がエリアヒントを確認してミニマップに何かを描いたところでゲームスタートです。
1日目、ジョン・シルバーはまず最初のヒントタイルをプレイします。うそつきマーカーを手に入れるのは2日目なので、この1日目のヒントタイルは必ず真実を示すことになります。いきなり範囲が狭まることは避けたいので、あまりヒントにならないものを選びたいところ。
手札の3枚のヒントタイルを吟味して……よし、最初はこれにしよう。
「六分儀」をプレイします。任意の海賊のいる場所から宝物のある方角を含めた3つの方角を示すヒントタイルです。羅針盤の方角は東西南北と北東、北西、南東、南西の8方向。できるだけ範囲が絞れないようにするには……北西にいるアンのところに羅針盤を置きます。
アンの位置から見ると隠した宝物は南東の方角になります。そこで「東・南東・南の方向のどこかに宝物があるぞ」と宣言。黒マーカーで方角を描いていきます。
オリビエ「全然絞れないなー」
アン「とりあえず私より北西の端には無いのね」
最初のヒントはこんなもんでしょう。さて、私のアクションが終わったら海賊の手番です。1日目はアンの手番。近くには無いだろうと踏んだアンは馬を使い南へ6マイル移動します。前半は1アクションしかできないためこれで手番終了。
続く2日目でうそつきマーカーを手に入れます。これ以降はプレイしたヒントタイルが真実かどうかは「検証」アクションをしなければ確証を得られません。ふふふ、騙し通してやるぞ——と思いつつ、ジョン・シルバーはこれで終わり。手番となったジムも自分の付近に宝物は無いと考え、北東の初期位置から馬で東南東へ移動、島の東端付近に到着します。島の東側から攻めるつもりのようです。
3日目は2枚目のヒントタイルをプレイします。ここからはうそつきマーカーも使えるので、どんどん海賊たちを混乱させたいところ。そこで選んだのがこちら。
「高度を調べる」です。宝物の位置について火山エリア・海エリア・崩壊した神殿のどれかから遠いことを宣言します。おそらく火山エリアは高度が高い場所、海エリアは高度が低い場所を表すのでしょう。崩壊した神殿は中ほどの高度なのかな?
「宝物は崩壊した神殿から5マイル以上先にあるぞ」と宣言します(カードは4マイルとありますがエラッタです)。いきなりうそつきマーカーを使うのも怖いので大人しく真実マーカーを置きます。崩壊した神殿から5マイルの円を描くと……意外と大きいな。とはいえ、最初の六分儀ヒントの時点でこの辺りに無さそうなことはみんな見当を付けていそうなのであまり変わらないでしょう。
手番のオリビエは早速「検証」アクションで今のヒントが真実かを確認してきました。いきなり真実である確証を得られてしまいましたが、まあうそつきマーカーを見られてこの後の2枚のヒントが真実だとバレるよりはマシです。(もう一枚のうそつきマーカーを手に入れるのは4枚目のヒントを置いた後のため)
4日目、ジョン・シルバーの身柄が島の塔に移されます。場所を選ぶのは手番のアン。島にある8ヶ所から選ばれた塔はこちら。
アンの初期位置のすぐ近く、一番北東にある塔に身柄が移されました。この辺りに宝物が無いことはほぼ明らかなので仕方ないですね。何とか隠し通せることを願います。そしてそのままアンの手番。
アン「羅針盤アクションを使用する!」
アンは他の海賊は1回しかできない羅針盤アクションを2回使えるため、早めに1回目を使って範囲を絞ろうという作戦のようです。羅針盤アクションのヒントはウソがつけないため、あまり有用なヒントは与えたくないところ。何にせよアンの位置に羅針盤を置きます。
アンの位置からだと宝物は東方向。東にドクロマークが無い羅針盤ヒントタイルを渡さねばなりません。手札の羅針盤ヒントタイルを確認して……よし、これにしよう。
〝北西と南西に宝物は無い〟です。これなら島の西の端の方にいるアンにとってはたいしたヒントにならないはず。他の海賊に見られないようにそっと渡します。
アン「あ〜……(苦笑い)」
渡したヒントタイルを見たアンは苦い顔をしています。ふふふ、やはり思ったほどのヒントにはならなかったようだな。
5日目、3枚目のヒントタイルをプレイします。今回選んだのはこちら。
「まだまだ遠くに」で、宝物から6マイル以上離れたコマを選びます。今回も真実マーカーを置くことにしましょう。東にいるジムはギリギリ6マイル以内にいるので、西側にいるアンかオリビエですが……範囲が狭まらないようにアンを選びます。
コンパスを取り出してアンを中心に6マイルの線をボード上に描いていきます。うーむ、このボード上に直接線を描く感覚がたまらん。楽しい。内心でそんなことを思いつつ、「アンから6マイル、つまりこの円の中に宝物は無い」と宣言します。
アン「これは真実っぽいかなー?」
ジム「もしウソだったら俺から遠いなあ」
真実だろうと予想はするも、だんだん疑心暗鬼になってきた様子。よしよし、いい感じだ。
手番になったジムは徒歩で西に移動しつつ簡単な探索をしてきます。
意外と宝物の近くに来たな……とはいえ探索範囲に宝物はありません。「そこには無い」と告げることもできますが、ここは——。
ジョン・シルバー「スッ(無言で宝箱に宝箱マーカーを入れてジムに渡す)」
ジムはちょっとだけ「お?」という期待の顔をしますが、中身は宝箱マーカーのスコップ。財宝ではありませんが、好きな時に追加で簡単な探索ができるアイテムです。こちらとしても今後出すヒントタイルの選択肢を増やすために宝箱マーカーを渡しておきたかったところなのでちょうどよかった。
次の日はオリビエの手番。自分のいる南西の方には無いだろうと予想し、誰もいない北東を攻めるようです。オリビエは固有の特殊能力によって馬での移動を選ぶと一度に2回、計12マイル移動できます。一直線に北東に向かい、島を横断するように一気に北東の街に到着。さすがの移動力に驚きはしますが、宝物のところは通り過ぎていったようなので一安心。ふふふ、何も無いところをさまようがいい。
そして7日目。ここで手札のヒントタイルを黒丸ヒントタイルに交換します。海賊にとって黒丸を渡されることは死を意味するらしく、これまで以上に重要なヒントになり得るものに変わります。交換した手札を確認すると……むむむ、確かに一気に範囲が絞れるヒントが多い。これはこれまで以上に出し方を気をつける必要がありそうです。
海賊たちもここからは一度に2回のアクションができるようになります。まさにここからが本番というところでしょう。くっくっく、そう簡単に宝物は見つけさせないぞ。
手番のアンは馬でさらに南へ6マイル移動。さっきのヒント「まだまだ遠くに」の範囲外に到着します。そして2回目のアクションで詳細な探索を実行。宝物を探してきます。
ちょうど南西の半島にある森を覆うように探索円を描いてきました。なかなか上手い円の描き方ですが、宝物は無し。宝箱マーカーは1個渡した後なので、今度は「そこには無い」と告げて終わりにします。
アン「うーん、こっちの範囲じゃないのか。次は東の方に行こう。……これですぐ奥の建物(上の画像の探索範囲の右下にある建物)にあったら笑うけど。本当はそっちまで探索したかったのだけど……」
ジョン・シルバー「はっはっは。確かにそこにある可能性は残っているな」
まあ実際何も無いのですが、一応煽っておきましょう。とはいえアンはこの場所に見切りをつけて東側の探索に行くつもりのようです。隠し場所に近付いてきそうなのでヒヤヒヤします。
8日目は新たなヒントタイルをプレイする日。ついに黒丸ヒントタイルです。海賊たちの位置も確認しつつ、プレイすることにしたものがこちら。
「距離」のヒントタイルです。特定のコマからの宝物までの距離を3種類の範囲のどれかを告げなければいけません。4〜7マイルであれば内側が4マイル、外側が7マイルのドーナツ状の二重円を描いて、そのドーナツの範囲に宝物があることになります。
これまでの〝この範囲には無い〟というヒントと比べると格段に範囲が狭まってしまいますが……ここでうそつきマーカーの出番です。これを使えばこのヒントは無意味なものとできます。
とはいえ、おそらく急激に探索範囲が狭まるこのヒントにうそつきマーカーを使ってくることは海賊たちも読んでくるでしょう。——ならば、と。私は「距離」を表にして、
ジョン・シルバー「宝物はオリビエから4〜7マイルの距離にある」
と海賊たちに告げます。そして裏向きのうそつきマーカーを置きます。
もしこのヒントが本当なら、宝物はこのドーナツの範囲にあることになります。
オリビエ「一気に範囲が絞られたな」
ジム「本当ならそうだけど……さすがにそれはないだろう」
アン「これまでのヒントは真実っぽいし、このヒントにうそつきマーカー使ってきたんじゃない?」
やはり一気に狭まった範囲にうそつきマーカーを勘ぐる海賊たち。実際にうそつきマーカーを置いてますし、その予想は正しいです。ここまでは予想通り。そこに——。
「——それなら、範囲の外になる南東にあるんじゃないか?」
来ました。私が待ち望んでいた言葉が。
上の画像を見てもらえばわかりますが、実際には宝物は指定した範囲の中、オリビエから約5マイルの位置にあります。うそつきマーカーは名前こそ「ウソ」となってますが、答えた内容は嘘か真実かもわからないあてにならない情報であることを表すものです。つまりヒントの範囲にあっても無くてもいいのです。
ですが、そこは人間。「どうせなら宝物を範囲から外してくるだろう」とつい考えてしまうのです。そのまま真実だと思われて発見されることを恐れるんじゃないかと。まあ実際その恐れはあるんですけど。この疑心暗鬼にさせることこそが今回のうそつきマーカーの狙いです。
その後のジムは早速検証アクションで今の「距離」のマーカーを確認してきます。見えたのはうそつきマーカー。さらに羅針盤アクションも使用してヒントを得ようとしてきます。宝物は西にあるので、「北西と東には無い」というヒントタイルを渡します。
ジム「うむむ、やっぱりもっと南、円の外か……?」
よしよし、範囲から外れた南東の半島の辺りに意識が向いてきたようです。前半のヒントが北西に無いことを示すものばかりだったのも、反対側の南東に意識を向かせることに寄与しているようです。
続くオリビエは馬で北東の小島に移動して詳細な探索を実行。南に行く前に北東の可能性を潰しに行くようです。範囲内を調べられたのはドキッとしましたが、そこは宝物から離れた島。ほっと一安心。だいぶ東側に来たので、探索に対しては宝箱マーカーの情報「西にある」を渡します。これで渡した宝箱マーカーは2枚。宝物のシンボルがあるヒントタイルも自由に出せそうです。
アンも検証アクションで念のため「距離」のマーカーを確認しますが、見えるのは予想通りのうそつきマーカー。そして南西の半島に見切りをつけ、東方向へと移動してきます。
11日目。ジムは西に移動し、湾の北側にある街を調べるべく西に移動してきます。そのすぐ北には隠した宝物があるのでヒヤヒヤしますが、「距離」の円の外側を重点的に調べるように探索円を描いてきます。ジムは特殊能力で詳細な探索の時に探索円(大)の内側ではなく外側を使って線を引くため探索範囲が広いのが怖いところ。内心のヒヤヒヤを隠しつつ、「そこには無い」と告げます。
そして12日目は2枚目の黒丸ヒントタイルとして「羅針盤」をプレイ。最初の「六分儀」と同じように任意のコマから宝物の方角を示すヒントタイルですが、示す方角は六分儀より少ない2つ。ここは北東にいるオリビエを指定します。宝物は南西にあるので、
ジョン・シルバー「宝物はオリビエから南か南西にあるぞ」
と宣言。2枚目のうそつきマーカーも既に手に入れていますが、ここは真実マーカーを置きます。
先ほど「西にある」という宝箱マーカーの情報を得ているオリビエは念のため島の西側の浅瀬を調べますがもちろんハズレです。
さあ、後半戦。ここからが正念場です。13日目のアンは2回目の羅針盤アクションを実行。島の中央からならヒントを得られるだろうと期待しているようです。
実はアンの位置から東方向、ものすごく近くに宝物はあります。内心はドキドキですが、渡すヒントタイルは「北と南西には無い」というもの。「ほほ〜?」と得心した顔をしていますが、大したヒントにはなってないはず。南西の半島じゃないことはバレたかもしれませんが、どうせ見切りをつけられているので大丈夫でしょう。そのまま詳細な探索も実行し、南側を調べるように円を描きます。ジムと同じく街にある可能性を考えたようですが、「そこには無い」と告げます。
14日目は3枚目の黒丸ヒントタイル。選んだのは「消去法」という宝物シンボルが付いたヒントタイル。
宝物が無いエリアを示すヒントタイルです。今回は建造物に隠しているので、「建造物/遺跡」が該当します。
ジョン・シルバー「森/木に宝物は無い」
と真実を告げますが……ここで2枚目のうそつきマーカーを使います。このタイミングで範囲を絞られたくはないですし、これで逆に「森/木」にあると誤解してくれる可能性も期待できます。
手番のジムは南側へ移動しつつ港の辺りを探索してきます。翌日のオリビエも北東の小島に見切りをつけて馬で一気に南へ移動してきます。思惑通り南の方角へ移動していく海賊たち。よしよし、宝物から離れていきそうだ。これなら隠し通せそうだぞ?
そして16日目は最後のヒントタイルの日。うそつきマーカーは使い切ってるので真実しか述べられません。ちょっと悩みますが……どうせなら楽しくいこうと思い立ち、選んだのがこちら。
「白状する」というヒントタイルです。海賊たち全員が「はい」か「いいえ」で答えられる質問をして、その中の1つの質問を選んで答える、というもの。
海賊たちの質問によっては宝物を発見される危険性もありますが……せっかくの初プレイ。ここは悩んでもらいましょう。
どんな質問がいいか考える海賊たち。悩んだ末の質問は……。
アン「ジムとオリビエの間で定規の幅(約1マイル)の範囲に宝物はあるか?」
ジム「南西の半島のエリア(白い点線で区切られたエリア)に宝物はあるか?」
オリビエ「今自分がいるエリアかその左のエリア(港町を含むエリア)に宝物はあるか?」
……ふむ、オリビエの質問は「はい」になります。港町を含むエリアは火山の方に伸びていて、そこに宝物があるのです。しかし、ジムかオリビエの質問に答えれば範囲の確実性が高まりそうです。ここは……。
ジョン・シルバー「アンの質問は『いいえ』だ」
と回答。示す範囲を四角く囲み、バツ印を付けます。そして裏向きの真実マーカーを置きます。
多少探索範囲は狭まりましたが、これでより南側を探索するようになれば宝物からも離れます。これでヒントタイルは終わりです。さあラストスパートだ!
手番のアンは全力疾走で一気に南東の浅瀬まで移動。詳細な探索をしてきます。もちろんハズレ。続くジムも東へ移動しながら先ほどの質問の範囲より南側の陸地を探索。これもハズレです。そしてオリビエも1回目のアクションで南へ徒歩で移動しつつ簡単な探索。海沿いの建物を調べますがこれもハズレです。みんないい感じに宝物から離れたところを探索してくれています。
ここでオリビエは2回目のアクションで全力疾走を選択。なんと行き先は南西の半島。実は調べ残した隙間にある可能性に掛けるようです。
しかし、残念ながら宝物はそこにはありません。これでオリビエに宝物を見つけられる可能性は無いでしょう。よしよし、と心の中でガッツポーズするジョン・シルバー。
そして訪れた19日目。ついにジョン・シルバーが脱走です。ジョン・シルバーができるのは馬での移動(6マイル)だけ。これで宝物を見つけられる前に隠し場所へたどり着けばジョン・シルバー——私の勝ちです。
ミニマップで確認する限り、隠し場所へはおよそ10マイル。到着には2手番かかります。となると、この手番では到着できないので海賊たちも残り1回(2アクション)ずつ行動ができます。そこで見つけられなければ私の勝ちになりそうです。
ということで塔から脱走して移動します。宝物は南東ですが、まっすぐ行くより少し西に寄って南南東くらいに移動することにしましょう。南西にいるオリビエの方に宝物があるかもしれないと思わせるためです。
アンは徒歩での簡単な探索をしますが、今いるのは宝物から遠く離れた南東の端。もちろんハズレです。そして2アクション目で最後の望みを掛けて特殊能力「おさるのキング・ジョージ」を使用してきます。自分のいる場所に関係なく、好きな場所を探索円(小)で探索できるもの。これで宝物の位置を当てれば一発逆転の勝利ですが……果たしてどこを調べるか。ドキドキして見守る中、探索してきたのは——。
ジョン・シルバー「そこには無い」
ガックリと肩を落とすアン。ドキドキしましたが、やはり「距離」の円の外にあると思ったままのようです。くくく、勝利は近いぞ。
続いてはジム。私の位置から次の手番で到達できる場所に来てるのだろうと考えたジムは、湾の北に面する街へ戻ることを選択。全力疾走で街へ移動し、詳細な探索と渡していたスコップ(追加で簡単な探索ができる)を使って街の中をしらみつぶしに調べてきます。
ジョン・シルバー「スッ(無言で宝箱に宝箱マーカーを入れてジムに渡す)」
「おっ?」という期待の顔をしつつ、ドキドキしながら宝箱を開けるジムですが……中身はハズレの宝箱マーカー。ぬか喜びさせてきたジョン・シルバー(私)の行動を予想はしていたのになんだかんだ期待してしまったようで、心底悔しそう。こちらとしてはしてやったりですがね!
そして最後はオリビエの手番。これを乗り切れば私の手番で隠し場所にたどり着けます。オリビエは詳細な探索を実行しますが、いるのは遠く離れた南西の半島。当然「そこには無い」と回答します。
そして最後のアクションはオリビエの特殊能力「遠眼鏡」。「おさるのキング・ジョージ」と同じく、自由な場所を探索できる上、こちらは探索円(大)を使用します。
オリビエ「うーん、もう少し西の方か?」
アン「いや、ここまで来たら『距離』の範囲の中という可能性も……」
ジム「全然わからーん!」
おそらくこれが最後のアクションだろうと察している海賊たちはあーだこーだと話し合い。順当に南東か? これまでの探索の隙間か? はたまた意外なところか? もちろん答えは出ません。そして意を決して探索円を描くオリビエ。
ふふふ、もはや運頼みの探索なんて当たるわけがない。これは勝ったな。さてさてどこを探索し——。
——ん?
…………。
ジョン・シルバー「スッ(無言で宝箱をオリビエに渡す)」
宝箱を渡されたオリビエは「おっ?」という顔をするも、さっきのジムのような空振りも考えて複雑な表情。そしてゆっくりと宝箱を開けると……。
オリビエ「——財宝だー!!」
アンとジム「おおー!」
私「ちくしょぉぉぉ!!!」
……ルール上、隠し場所が線の上にあれば宝物は発見できます。ギリギリでしたが、オリビエの探索範囲の線は宝物を隠した小さな小屋に重なっています。本当にギリギリですが——財宝は発見されてしまったのでした。
オリビエの勝利です!
プレイ後の感想
ぐあー! 悔しいー! あと一歩だったのにー!
……はっ。悔しさに我を忘れていまいました。感想感想。
島を舞台にした宝探しゲームということですが、かなり新鮮なプレイ感覚でとても楽しかったです。
「何かを隠してそれを探す」というゲームは過去にも色々ありましたが、たいていはマス目だったりタイルだったりできちんと探す範囲や区画が決められているものです。曖昧さはプレイの難しさに繋がるので、アナログなボードゲームではそれが普通でしょう。
それに対して『宝島』は完全にフリーです。今回は小屋というポイントに財宝を隠しましたが、別に森のど真ん中や浅瀬の適当な位置でもいいのです。探す海賊も自由に移動して円を描いてと、行動の自由度が高く感じられて宝探しをしている気分がとても心地良い。これまでたくさんのボードゲームを遊んできましたが、新鮮度はかなり高かったです。
手番のやることなども遊んでみれば結構シンプル。慣れてくればサクサク遊べると思います。多少複雑な部分はありますが、思っていたよりはシンプルなゲームという印象です。
そして実際に大きな地図にカラーペンで描いていくというシステムが素晴らしい。探索した範囲やヒントで得た情報がペンで描かれ、地図を埋めていくという行為は子どもの頃からイメージする宝探しの行動そのもの。ゲーム的にも全員が見える地図に探索済みの範囲などが描かれていることで、記憶力に頼らず視覚的に自分の行動を考えられるので快適にプレイできるようになっているのは評価ポイントでしょう。
手番の回数や日数、ヒントが出るタイミングやうそつきマーカーの存在などもよく考えられていると思います。少ないヒントで宝物を探す海賊たちにとっては本当に全然わからないのは遊んでてストレスになることが考えられますが、遊んだ感覚では初プレイでもちゃんと探索範囲は絞られていって、最後の最後まで望みを捨てずに探し続けることができるバランスになっています。
とはいえ、宝探しゲームの宿命か、初手番で偶然見つけてしまったりすることもあるでしょう。逆に探索円と探索円の微妙な隙間で宝物を見つけられないこともあるでしょう。はっきりとした区切りが無いが故に、微妙な裁定を迫られる時もあるかと思います。
そういった〝事故〟が起きやすいゲームでもあるかと思いますが……それも含めてこのゲームの魅力でしょう。
おそらくですが、これをコンピュータゲームでやってもあんまり面白く無い気がします。地図を囲むメンバー、実際に描いていく図形、悩む海賊、ニヤニヤするジョン・シルバー……そういった雰囲気を楽しむ気持ちが大事なゲームだと思います。
ちょっと残念なのはエラッタ(誤記)が多いことでしょうか。説明書の初っ端からヒントタイルのエラッタが書いてありますし(説明書に書けるなら直して欲しかった……印刷のタイミングだとは思いますが)、説明書の中でもわかりにくい表現や矛盾のある内容が見受けられます。(例えば、ルール説明では検証アクションで見た真偽マーカーの内容を話すのは自由で嘘を語っても良いとあるのに、「よくある質問」には〝内容に関する情報を話すのは許されない〟と書いてあったりする)
原語版の時点でそうなのか、翻訳の過程でミスがあったのかはわかりませんが、その辺りは注意が必要です。……とはいえ前述の通り雰囲気を楽しむことが重要なゲームだと思いますので、あまり厳密なルールに拘らず楽しく遊んでいただくのがいいと思います。会話を禁じられるのも楽しくないですしね。
ゲームをする上で大変なのはジョン・シルバーの担当です。ゲームの難易度はジョン・シルバーのヒントの出し方にかかっていますし、時には曖昧な判定も求められます。
上のリプレイでも最後の探索は宝物を小屋の「真ん中」に隠したと考えれば探索範囲外と言うこともできます。今回は小さな小屋なので、さすがに小屋に線がかかっただけでも「発見した」としましたが、大きめの建物に隠した場合はそうはいかないでしょう(大きな建物の端っこに線がかかっただけで発見したとは言い難いですよね?)。その場合は自分の中で建物の「どこ」に隠したかまで考えておく必要があるかもしれません。そうした曖昧な判定は時に大変な場合もあると思います。
ですが、ぜひジョン・シルバー役こそ楽しんで遊んでもらいたい。原作の小説に登場するジョン・シルバーのように、狡猾で冷酷で、でも陽気と熱気を持ったキャラクターとなって場の雰囲気を楽しむことができれば、最終的にゲームに負けようとも、ある意味あなたの勝利でもあると思います。ルールブックにも「迷ったら海賊たちに有利な判定をしよう」とあります。勝ち負けを競うのは大切ですが、楽しめなかったら意味ないですからね。
他の海賊たちも、ぜひジョン・シルバーと一緒になって、楽しい〝騙し合い〟をしてみてください。どんな結末だろうと、楽しい時間を過ごせると思いますよ?
というわけで、『宝島 完全日本語版』のファーストインプレッションでした!
ジョン・シルバーと海賊たちの知恵比べ、ぜひ楽しんでみてください!
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