仕事でアメリカのミシガン州、アナーバーの町に出張に行ってました。大した範囲で行動していないとはいえ、日本とは大きく違う世界は刺激がいっぱい。その様子は下の記事で。
アメリカといえばボードゲームも売ってるのでは? と、出張中に現地でボードゲームを探した私。最初は巨大スーパーマーケットのおもちゃ売り場で発見して、いくつか購入しました。スーパーマーケットで購入したボードゲームの紹介は下の記事で。
でも、せっかくならもっとマニアックな店で日本で売っていないようなものが買いたいなー、とお店をネットで検索すると……ありました。どうやら滞在しているアナーバーの街の中央付近にコミックとボードゲームの専門店『Vault of Midnight』という店があるようです。これは行かないわけにはいかない!
そこで待っていたのはステキでマニアックな世界。……この辺の話はアメリカ出張の記事で書いたので飛ばしましょう。
と、いうわけで今回はそんなVault of Midnightというコミックとボードゲームの専門店で買ったボードゲームをご紹介!
なお、こちらもほとんどはまだ開封しただけでまともに遊んでません。ルールとコンポーネントを見ただけのざっくりとした紹介になってますのでご了承ください。遊んで面白かったら、また個別に紹介しますね。
Vault of Midnight編
ミシガン大学のある街、アナーバーの中心付近にあるコミック本とボードゲームの専門店。コミックは日本のマンガの英語版も置いてありましたよ。そんなマニアックなお店で吟味して、まだ日本では未発売と思われるもので面白そうかつ言語依存度が低そうなゲームを選んで買ってきました!
というわけで1つずつご紹介。
Dungeon Academy
- ゲームデザイナー:Julian Allain
- イラストレーター:Régis Torres
- パブリッシャー:Matagot
- 発売年:2019年
- プレイ人数:1〜6人
- プレイ時間:20分
- 対象年齢:10才〜
王国で最も権威ある学園「ダンジョンアカデミー」。この学園に入学し、多くを学んできたキミは、ついに卒業試験の時を迎えようとしていた。しかし、卒業試験で待ち受けるのは最後にして最大の……ダンジョンだ!
このゲームではプレイヤーたちは著名な学園「ダンジョンアカデミー」の卒業証書を手に入れるべく、学園に用意されたダンジョンに入り、他のプレイヤーよりも多くの敵を倒し、アイテムを得て、そして誰よりも早くダンジョンを駆け抜けることを競います。4つの階層からなるダンジョンを攻略し終わった時、最も多くの名誉(勝利点)を得ていたプレイヤーが勝利者となり、卒業証書を得ることができるのです!……ん? 一人しか卒業できないの?
まずプレイヤーはヒーローカードを1枚ランダムに引きます。このヒーローがあなた自身となり、ダンジョンを駆けることになるのです。ヒーローはそれぞれ赤マークのHealth(体力)と青マークのMana(マナ)を持ち、どちらかが0未満になると倒れてしまいます。また、各ヒーローは敵を倒しやすかったり特定の条件で勝利点が増えるなどの固有の能力も持っています。ヒーローによって体力は多いけどマナは少ない、またはその逆、中には両方少ない代わりに能力が強いなど様々な特徴をもっていますので、ヒーローの能力に合わせてダンジョンの攻略方法を考える必要がありそうです。
そんなヒーローが攻略するダンジョンは4つの階層からなり、各階層は4×4の16の部屋で構成されます。さて、この部屋の内容がどう決まるかというと——使うのはダイスです。
ダイス1個が1つの部屋となり、16個のダイスによってダンジョンは作られます。ダイスの各面にはモンスターやポーションのマークが描かれており、出目によってその部屋の内容が決まるのです。準備ではダンジョンの中に16個のダイスを振り入れてすぐにフタをします。どんなダンジョンになっているかは始まるまでわかりません。
そしてダンジョンを攻略するためにプレイヤーたちがすることは、そのダンジョンを駆け抜ける道順を素早く描くこと。各プレイヤーには4階層分の4×4のマス目が描かれた紙が配られます。この紙に自分のヒーローがダンジョンを攻略するために必要な道順を考え、線を引きます。この時、ダンジョンは外側の好きなところから入り、外側の好きなところから出ることができます。ただし、1つの部屋は1度しか通れません。
各部屋に待ち受けるのは小モンスターと大モンスター、それとポーション。それぞれ赤色は体力に、青色はマナに対応してます。例えば道中で赤の小モンスターと出会った場合、モンスターは自動的に倒せますが体力を1点失います。青の大モンスターならマナを2点失って撃破です。ポーションは赤なら体力、青ならマナを1点回復します。大小に関わらずモンスターを倒せば基本的に勝利点が1点。さらに特定のモンスターを多く倒す(小モンスターばかり倒す、赤のモンスターばかり倒すなど)とボーナス点がもらえるクエストもあります。こうした部屋を体力やマナを失って倒れないように上手く駆け抜けるのです。
上の画像のように線を引いた場合には以下の順で処理が行われます:
まずゴースト(青の小モンスター)、ブロブ(赤の小モンスター)を倒して体力とマナを1点ずつ失います。その後、青と赤のポーションを通って失った体力とマナを1点ずつ回復。次はコロッサス(赤の大モンスター)で通常なら2点の体力を失いますが、自分のヒーローであるウォーリアの能力(各階層で1回のみコロッサスを体力を失わずに倒せる)を使って体力を失わずに倒します。その後リーパー(青の大モンスター)を倒してマナが2点減少。次は再びコロッサスを倒し、今度は能力が使えないので体力が2点減少します。その後マナを1点回復し、ゴーストをもう1体倒してマナ1点を失います。最後は青のポーション2つでマナを3点回復し、無事にダンジョンから脱出します。
上記のような処理を実際に行なうのは後になりますが、上の画像のようなルートの線が描けた時点で素早くExitカードを取ります。Exitカードはルートが完成したプレイヤーから順に取っていき、ダンジョンを脱出したスピードを表します。
全員が脱出するか時間切れになったらルート描きは終了。その後、脱出した順番(Exitカードの順番)で実際に前述のような処理を行って、モンスターを倒した数や無事に脱出できているかを判定します。上の例なら計6体のモンスターを倒しているので基本点は6点。マナは回復できましたが、体力は2点減少した状態で終了です。
無事にダンジョンを攻略したヒーローには勝利点の他に戦利品が与えられます。そしてこの戦利品を選ぶ優先順位がダンジョンを脱出する早さで決まるのです。戦利品は勝利点が増える彫像や体力・マナが増加する装備品、好きな部屋からダンジョンに入れる指輪/脱出できる靴など勝利に近付くには欠かせないものばかり。そのためにもダンジョンを駆け抜ける早さも重要となるのです。
ただし、ダンジョンは4階層あり、次の階層に移動しても基本的に体力やマナは回復しません。次のダンジョンに挑む体力を残しつつ、多くの敵を倒せるルートを素早く考え、より良い戦利品を得ることが高得点への道となるのでしょう。
第2階層では通り道が塞がれる迷宮ダイスが増えたり、最後の第4階層では強力なボスが登場することも。一筋縄ではいかない『ダンジョンアカデミー』。さあ、無事に卒業証書を手にするのは誰だ!?
Everdell(邦題:エバーデール)
- ゲームデザイナー:James A. Wilson
- イラストレーター:Andrew Bosley
- パブリッシャー:Starling Games
- 発売年:2018年
- プレイ人数:1〜4人
- プレイ時間:40〜80分
- 対象年齢:14才〜
Everdellにある美しい谷の中で高くそびえる大樹のふもと、苔むしたくぼ地と曲がりくねった小川の間——そこには繁栄を続ける動物たちの文明が根付いていた。長き時と共に成長する文明の中、数多くの街が生まれていく。そして新たな一年の始まりで、仲間たちと共に新たな街を築こうとする動物がまた一匹——。
『Everdell(邦題:エバーデール)』はそんな動物たちの文明が発達した世界で、より発展し活気のある街を作ることを目指すワーカープレースメント+街づくりのゲームです。買う時に店員さんからも「これは本当にオススメだよ!良い買い物したね!」と太鼓判を押されました(笑)。ちなみに最初「エバーデル」と呼んでましたが、「エバーデール」の方が近いみたいです。
ゲームとしては仲間の動物(ワーカー)を各地に派遣して資源を手に入れ、その資源を使って自分の街に新たな建物を建築し、住民となる動物を集めていきます。建物や動物も様々で、最終的に街にある建物や動物たちが得点となります。さらに、たくさんの建物を建てて住民の動物が集まったら収穫祭のようなイベントも開催できます。そうしたイベントは街の発展に寄与して……ゲーム的には点数が増えることになります。
ゲームは一年間、4つの季節を巡ります。冬(の終わり)から始まり、春、夏、秋と過ぎ……秋の終わり、つまり新たな冬の訪れで終了になります。仲間のワーカーは各季節で各地に派遣され、新たな季節になるとプレイヤーのところに戻ってきます。さらに季節が進めば仲間のワーカーも増えていきます。
手番でできることはシンプル。1.ワーカーを置く、2.カードをプレイする、3.新たな季節に備える、の3種類。最後の「新たな季節に備える」はラウンド終了のようなものなので、ほとんどはワーカーを置くかカードをプレイするかの二択ですね。
ワーカーを置けば場所に応じた資源が手に入ります。場所によって得られる物は違いますが、ほとんどの場所は1匹のワーカーしか入れず、早い者勝ち。ワーカーを派遣したい場所に先に相手がワーカーを置いてしまうとすぐには入れません。邪魔し合うゲームではありませんが、この辺は競争になるポイントですね。手に入る資源のうち、基本的に木材、樹脂、小石は建物の建造に、ベリーは動物を街に呼ぶのに使うことができます。
そして資源を集めたら街を作るべくカードをプレイしていきます。カードは自分の手札かMeadow(草地)というボード上の共通の場所のどちらかからプレイできます。建物でも動物でも街に来てもらうことで最終的に点数が増えます。自分の街には最大で15枚までカードをプレイ可能です。
さらに各建物や動物はそれぞれ特殊な能力を持つ他、特定の動物は特定の建物があれば資源無しでプレイすることもできます!(郵便局があれば郵便屋の鳩がノーコストで呼べたりします)
カードのタイプは以下の5種類。カード能力もタイプごとに傾向が決まっています。
- Tan Traveler(小麦色の旅人):プレイ時のみ発動の能力。プレイ後は特に効果は無い。
- Green Production(緑の生産):プレイ時のほか、春と秋を迎える時にも能力が発動します。
- Blue Governance(青の組織):特定のカードをプレイする時やした後に効果が発動するもの。
- Red Destination(赤の行き先):プレイして街に置かれた後、ワーカーを配置することで能力が発動します。また、OPENのマークがある場合は他のプレイヤーもそこにワーカーを派遣できます。
- Purple Prosperity(紫の繁栄):ゲーム終了時にボーナスポイントを生み出します。
ただ、カードの種類は非常に多いです。128枚もカードがあって、ほとんどのカードは各2〜4枚程度。何種類あるかは数えていませんが、正直覚えられる気はしません。どんなカードを引くかによっても戦略は変わるでしょうから、柔軟な対応が必要となりそうですね。
全てのワーカーを置き終わり、カードもこれ以上プレイするものが無くなったところで「新たな季節に備える」アクションを行ないます。これにより次の季節に進む代わりに置いたワーカーが戻ってくる上、季節ごとにワーカーが増えていくことになります。……ちなみにこの季節の変化は同時に行なうとは限らず、各プレイヤー別々に行ないます。つまり誰かが春になっても誰かは冬のままになるのです。不思議な世界ですが、これはこれでワーカーを戻す(=場所を空ける)タイミングが異なることになるので、どのタイミングで季節を変えるかも重要になるでしょう。
後半で重要になる得点方法がイベントを開催すること。
イベントには内容が固定の基本イベント4種類と毎ゲームランダムに選ばれるスペシャルイベント4枚が用意されています。
イベントはそれぞれ開催するための条件が設定されており、その条件をクリアした状態でワーカーを派遣することで開催できます。全て早い者勝ちで、各イベントは一人しか開催できないので相手がどのイベントを狙っているかも考えておかないと先に取られてしまうかも?
基本イベントは前述のカードタイプで同じタイプを街に3〜4枚揃えることが条件。例えばHarvest Festival(収穫祭)は「緑の生産」のカードを街に4枚以上集めることで開催できるようになります。基本イベントの得点は全て3点。
スペシャルイベントはほとんどが特定のカードが街にあることを要求するもの。前述の通りカードの種類が多いこともあって要求されているカードが出ないこともあるので、取れるかどうかは運次第なところもありそうです。ただ、得点は基本イベントよりも高くなりやすいので、狙えるなら狙いたいところです。
こうしてワーカーの仲間と活動し、街に建物と動物を集めてイベントを開催し……最終的には秋になってできることを全て行ったらパスとなり、全員がパスをしたところでゲーム終了。街の建物や動物カード、開催したイベント、その他カードの効果による得点などを合計し、得点が高いプレイヤーが勝者となり、最も輝く街を作り上げた者として表彰されることになります。
と、ゲームとしての印象はそんなところですが……何より気に入ったのはその見た目。コンポーネントがかわいい。とにかくかわいい。雰囲気バッチリなのです。
実際これを買った理由も、お店でボードを広げて展示してあったのを見て一目惚れに近い感覚を得たからです。カードに描かれた動物たちや建物、ボード上に置かれたEver Tree、色だけでなく形も異なる各プレイヤーのワーカーたち……全てがこのEverdellの世界に入り込ませてくれます。この童話のような穏やかな雰囲気、それでいてしっかりとした芯を感じさせる世界観が見た目から感じられたものです。
そんなEverdellはアークライトさんで日本語版が来年の1月9日に『エバーデール 完全日本語版』として発売予定だそうです。もうちょっと待てば日本語版出たのか……でも先に遊べたから後悔してないっ。
というわけで、みなさんもEverdellのステキな世界観を楽しんでください! オススメです!
※実際にプレイした様子も記事にしました! 下の記事をぜひご覧ください!
Everdell: Pearlbrook(邦題:エバーデール 拡張 真珠の入り江)
- ゲームデザイナー:James A. Wilson
- イラストレーター:Andrew Bosley
- パブリッシャー:Starling Games
- 発売年:2019年
- プレイ人数:2〜4人
- プレイ時間:60〜90分
- 対象年齢:14才〜
『Everdell』の世界、Ever Treeの下を流れる小川が続く先にあるPearlbrook川。揺らめいて光るその水面の下には、水に住む生き物たちの不思議な文明が待っていました——。
『Everdell: Pearlbrook(邦題:エバーデール 拡張 真珠の入り江)』は上で紹介した『Everdell』の拡張です。『Everdell』にこの『Everdell: Pearlbrook』を加えることで、新たな世界と新たなゲーム体験が待っているということです。
この拡張では、『Everdell』のボードにPearlbrook川のボードが追加されます。川底では蟹や鯉など、地上とは違った生物たちが住んでおり、そんな水底の生き物たちと交流するため、あなたのところに新しい仲間、カエルの外交官が加わります。カエルの外交官を通じて彼らと交流することで、新しく貴重な資源であるパールを集めることができます。
さらに基本イベントがワンダー(不思議な建築物)の建造に置き換わり、また各プレイヤーは装飾品カードを持つことになります。どちらも新たな資源であるパールを使うことで作ることができるものです。通常のカードにも新たな建物として船や港、新たな動物としてフェレットの船頭やバジリスクのメッセンジャーなどが加わり、より賑やかなEverdellの世界を味わうことができそうです。
新たに増えた川の場所には川カードが裏向きで置かれます。この場所には水陸両生であるカエルの外交官しか行くことができません(逆にカエルは地上のワーカーとしては使えません)。また、街がある程度発展して場所ごとの条件(街に旅人タイプのカードが2枚以上など)を満たすことでようやく訪れることができるようになります。
川カードには2種類、Citizen(住民)とLocation(場所)があり、初めて訪れた場合にはどんな住民または場所が待っているかは分かりません(その代わり、初めて訪れた場合にはボーナスとしてパールが獲得できます)。訪れてカードを表にすることで初めてそこにいる住民や場所のことが分かります。
基本的に水の住民に出会えればカードを捨てることでポイントとパールが、水の場所(建物)を訪れた場合はポイントと資源を支払うことでカードとパールを獲得できます。こうした水底の文明との交流によってあなたの街が新たな発展を遂げるのです。
基本イベントの代わりとなるワンダーはたくさんの資源とカードを要求する代わりに建造することができれば高得点を得られます。基本イベントが全て3点だったのに対し、ワンダーは10〜25点。文字通り桁が違います。
装飾品は追加要素で、ゲーム開始時にランダムに2枚ずつ配られます。各装飾品は異なる効果とボーナスポイントを持っていて、全てパール1つで制作することができます。効果も強力で、通常は一度しか発動しない旅人タイプのカードの効果を再発動したり、街にあるカードに応じて多数の資源を獲得できたりと通常ゲームには無かった劇的な効果をもたらします。その上でボーナスポイントにもなるというなら作らない手は無いでしょう。
……と言いたいところですが、そもそもパールを手に入れる機会が少ないのが難しいところ。基本的にカエルの外交官でしかパールは手に入りませんが、1匹しかいないので各季節で動けるのは1回だけ。全4回しかチャンスが無いのにワンダーの建造では多量の通常資源に加えて2〜3個のパールが必要です。いかにしてパールを手に入れてポイントに繋げるかが勝負になりそうです。
それはそうとしてやはりコンポーネントの出来は素晴らしい。カエルの造形も良いし、新たにカワウソのワーカーもついてきます(プレイ人数が増えるわけではないですが)。川カードに描かれた水の住民はこれまでと同じテイストの絵柄なのに、地上とは違った世界を感じさせてくれる丁寧なイラスト。まさに「ゲーム」の拡張であると同時に、「世界観」の拡張でもあると思えるものです。
そんな素敵な拡張版の紹介でした。こちらはまだ日本語版の発売予定は分かりませんが、いつか出してくれると信じて。待てない人は輸入するという手もありますよ?
※実際にプレイしました! 感想は以下のリンクの記事でご覧ください!
Swordcrafters
- ゲームデザイナー:Adam Rehberg & Chris Neuman
- イラストレーター:Rodrigo Camilo Alves De Almeida
- パブリッシャー:Adam’s Apple Games
- 発売年:2018年
- プレイ人数:1〜5人
- プレイ時間:30分
- 対象年齢:6才〜
今は平和な王国……しかし、王国の守護する守りの剣はこれまでの戦いの中で壊れてしまった。次なる脅威はいつ訪れるかわからない——そこで国王は鍛冶屋であるキミたちの下を訪れ、新たな守りの剣の製作を依頼してきた。王国を守護する、最も価値のある守りの剣を作るのは誰か!
ということで、プレイヤーは鍛冶屋として新たな守りの剣を作るゲームです。各々で剣の材料を集めて1本の剣を作り、後述の基準に従って剣の価値(VP)を計算、最もVPの高い剣を作ったプレイヤーの勝利となります。
さて、ゲーム開始時にまず各プレイヤーには下の写真のものが配られます。
鍔の付いた剣の柄です。立体です。手に持てます。
……ほとんどの方がもう予想できていると思いますが、これがゲーム終了時には下の写真の状態になります。
剣ができます。柄にタイルが組み合わさってできた剣身が取り付き、立体的な剣の完成です。ワクワクしてきました? これを見てワクワクした人は私の仲間です(笑)。
さて、ゲームとしてはこの剣身部分になるタイルを他のプレイヤーと取り合い、より価値の高い剣にすることを目指すことになります。
ゲームは6ラウンド行われ、各ラウンドでは次の3ステップを行います。
- 切断
- 選択
- 製作
各ラウンドでは剣身の材料となるソードタイルが15枚配られます。各ソードタイルには宝石が付いており、この宝石の組み合わせによっても剣の価値が変動します。そのため、各プレイヤーはより価値が高まるようにソードタイルを選ぶ必要があります。
ただし、このソードタイルは自由に選んで取れるわけではありません。ラウンドの開始時には15枚のソードタイルに1枚のフォージ(炉)タイルを加えた16枚が4×4にくっ付いた1枚の材料として提供されます。プレイヤーはまずこのソードタイルを切断して分割する必要があるのです。
切断では必ず1つの塊に対して直線で切ります。それによって1つの塊が2つに分かれるわけです。次のプレイヤーは分かれた2つの塊から1つを選び、同じように直線で切断します。これをスタートプレイヤーから始めて全プレイヤーが1回ずつ行うと、プレイヤー人数+1個に分割されたソードタイルの塊が作られます。
例えば下の画像のように切断されていきます。
その後、スタートプレイヤーから順に分割されたソードタイルの塊を獲得していきます。ちなみにフォージタイルは獲得すると次のラウンドのスタートプレイヤーになれます。最後に1つ余る塊は捨てられます。
そしてラウンドの最後は獲得したソードタイルを使って剣を製作します!
実際にはタイルを剣の柄に差し込んでいきます。差し込む順番は自由ですが、この時に獲得したソードタイルは全て差し込まなくてはいけません。最終的な宝石の並び方によって価値が変わるので、後のことも考えて剣を作る必要があるでしょう。
……まあ点数はともかく、徐々に伸びていく剣を見るだけでもテンションが上がりそうです。この文章を書いてるだけでも想像でちょっとワクワクしてます。
上記の手順を6ラウンド繰り返したらゲーム終了。最終的には剣の長さ、品質、魔法の3点で価値(VP)が評価されます。
剣の長さは全員が机の中央で剣を持ち、お互いの剣の長さを比べます。最も長い剣を持つプレイヤーがVPを獲得します。
……いやまあ剣の長さってつまりはソードタイルの数なんですが。でもルールブックに「机の中央で剣を持って比べる」って書いてあるんですよ。だからって浅目に差し込んで長くするとかはダメですよ?
品質の点数は宝石の並びで決まります。同じ宝石が隣接して長く並ぶほど高得点です。
魔法の点数はゲーム毎に基準が違います。ゲームの最初に3枚のソードマジックカードが表になり、それぞれでVPの獲得方法が異なります。ほとんどは特定の宝石の数が多いことが条件ですが、中には特定の宝石が少ないこと、特定のペアの数が多いこと、2種類の宝石の数の差が大きいことなどが条件になることもあります。それぞれのソードマジックカードで基準に合わせた順位を確認し、記載の点数を獲得します。
上記の基準で得たVPを合計し、最も高いVPを得たプレイヤーが勝利します。
ゲーム的には切断がポイントになるかな。どう切り分けていけば自分が欲しい組み合わせのソードタイルが得られるか、他のプレイヤーの性格や欲しがっている宝石を鑑みつつ慎重に検討する必要があるでしょう。ただ、種類を気にしすぎて数が少ないと長さや魔法のVPが少なくなるかもしれません。この辺りのバランス感覚が良い剣を作るカギになりそうです。
とまあ、ゲーム的にも面白そうですが、何より最後に完成した剣を持てば勝っても負けても楽しくはなれそうです(笑)。なんでも切先が付いたりモンスターと戦うことができる拡張セット付きのバージョンもあるらしいのですが、残念ながら売ってませんでした……。とはいえこれだけでも十分面白そうです。
「僕の作った最強の剣」を掲げる時が楽しみだ!
The Towers of ARKHANOS
- ゲームデザイナー:Daniel Alves & Eurico Cunha
- イラストレーター:Marcelo Bastos & Rodrigo Ramos
- パブリッシャー:Creative Game Studio, IDW Games
- 発売年:2019年
- プレイ人数:2〜4人
- プレイ時間:30〜45分
- 対象年齢:12才〜
魔法が満ちた王国で魔力が集中する場所を探すこと数十年——魔術師たちはついに魔力が集まる遺跡、Gil-Garth遺跡を発見した!再び目覚め、膨大な魔力を秘めるようになった遺跡は、すぐに各地の魔法スクールたちの注目を集めることとなる。彼らは遺跡の魔力を自分たちのものにすべく、遺跡の石を操り、魔力の源となるタワーを建てていった。ただ、不注意な魔術師がタワーの中に永遠に閉じ込められたりもしているようだけど……?
さあ、最も高い名声を得て、この魔法の塔を支配するのは誰だろうか?
『The Towers of ARKHANOS』ではプレイヤーはそれぞれ別の魔法スクールの一員となり、マスターや見習い魔術師たちを使って他のプレイヤーと一緒に4つの魔法の塔(タワー)を建造していきます。タワーを建造するには立方体の形をした遺跡の石——ダイスを柱として置いていく必要があります。時にはダイスの代わりに魔術師自身が柱となることも……。魔法を秘めた遺跡の石を操ればタワー建造の力となる魔法が使えるようにもなります。そうしてタワーの建造により多く貢献することで名声を集め、最終的に最も名声を集めたプレイヤーの勝利となります。
主に使うのはタワーのフロアタイルとダイス、マナプールボード。そして各プレイヤーは自分の魔法スクールの魔術師であるミープル、魔法を使うためのスペルブックを持ちます。
魔法の塔は4つ。中心に1つとその周囲に三角形を描くように3つのフロアタイルを並べます。これが各タワーの第一フロアになります。中央はセントラルタワー、その他が外周部タワーです。フロアタイルには柱を置く場所が3ヶ所あり、全ての柱を立てることでそのフロアは完成し、新たに上のフロアが作られていきます。この過程で、柱を置いたりフロアを完成させることで名声点を得ることができるのです。
各ラウンドの開始時に、ファーストプレイヤーはダイスバッグの中からプレイヤー人数+1個のダイスをランダムに引いて振ります。これがこのラウンドで使えるダイスです。
自分の手番になったら、まず柱にするダイスを選び、好きなタワーのフロアの柱部分に置きます。この時、一緒に自分のミープルをダイスの横に置きます。これによりタワーの建造に貢献したことを示すわけです。
さらに柱としてダイスを置くと、柱に描かれたアイコンに応じて柱のボーナスを受け取ります。これは名声点を得られるものやスペルブックの魔法を使えるようにする(活性化する)もの、中には自分のミープルを柱としてタワーに置くことができるものもあります。ただし、柱となったミープルはそのまま閉じ込められることになるので、選択は慎重に。
ただ、各フロアには置けるダイスの色や数字に制限があります。基本的にフロアタイルに描かれたダイスしか置くことができないのです。下の画像の例なら、左下が黄色の2・4・6のダイスしか置けません。右下は水色か紫色のダイスで5か6の出目のものだけ。左上は赤のダイスのみで同じ数字を置くことができません。右上のタイルに描かれた虹色はセントラルタワー特有で、置くダイスに制限がありません(あらゆるダイスを置くことができます)。
場合によっては置きたいフロアに対応したダイスが無いかも……そんな時こそスペルブックの魔法の出番です。柱のボーナスで活性化させた魔法はダイスの色や数字を変える力を持ちます。こうした魔法を駆使して、望みの行動を選んでいくのです。また、前述の通り中央のセントラルタワーは常にダイスの制限がなく、どんなダイスも置くことができます。魔法の活性化もできるので、いざという時は活用していきたいところです。
フロアにある3ヶ所の柱が埋まったらそのフロアは完成になります。この時、フロアにいる自分のミープルの影響力が高いプレイヤーが名声点を得ることができるのです。基本的に見習い魔術師は1点の影響力しかありませんが、各自1人だけ持つマスターは2点の影響力を持ちます。そうして点数を計算した後、ダイスの横に置かれたミープルは手元に戻り(柱として置かれたミープルはそのままです……)、その上に次のフロアが作られます。
これを机のダイスが残り1個になるまで行なったらラウンド終了。最後のダイスはマナプールへ置かれ、次のラウンドに進みます。これを8ラウンド(3人なら9ラウンド)行なったらゲーム終了。最終的に名声点が多いプレイヤーが勝利します。
普通のサイズのダイスの上にフロアを重ねていくのでそんなに高いタワーにはなりませんが、それでも立体に重ねていくのは楽しそう。ゲーム的には各ラウンドで振られたダイスの出目と手番の順番を見て、点数にできそうなタワーをよく考える必要がありそうです。
大まかな内容はこんな感じです。魔法の塔を舞台にした陣取り合戦、支配権を得るのは誰だ!
……以上が『Vault of Midnight』で購入したボードゲームたちでした。Everdell以外はまだ遊べていないので、早く遊んでみたい!
Everdellは日本語版の発売が決まっていますが、他のゲームたちは今のところ輸入品に限ると思います。ただ、どれも言語依存度は高くない(難しい英語を読む必要はあまりない)ので、興味が出たのがあればぜひ手に入れて遊んでみてください!
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